表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/12全話完結【ランキング32位達成】累計3万3千PV『異世界不動産投資講座~脱・社畜28歳、レバレッジで人生を変える~』  作者: 虫松
第五部 地底都市再生プロジェクト編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

36/238

第1章 「地底の青い光 ― ミスリル鉱山の発見」

――ゴウン……ゴウン……。


地底の奥深く、岩壁が鈍く唸る。湿った風が流れ、トビーの魔法灯が暗闇を照らした瞬間、

そこに現れたのは、青白く脈動する巨大な鉱脈だった。


「こ、これは……!」

タクミが息を呑む。

まるで大地そのものが鼓動しているかのように、光はゆらりと動き、天井に反射して星空を描き出す。


「まるで夜空を閉じ込めたみたいだ……」

ライラが剣を抜き、反射する光を見つめながら微笑んだ。

「この光……地底にも、未来があるって感じね。」


ミスリル、それは伝説級の金属。

魔力伝導率は黄金の百倍、腐食しない、しかも軽い。

帝国中の魔導技術者が喉から手が出るほど欲しがる“神金”である。


タクミは熱を帯びた声で言った。

「これだ……この資源を活かせば、地底都市は再生できる!

採掘、精錬、そして観光化……全部繋げば、地底に新しい産業都市を作れる!」


ミラが眼鏡をくいっと上げ、即座に書類を取り出す。

「資源価値は莫大です。今のうちに権利申請を。帝都に戻って地底開発許可を正式に取りましょう」


タクミはうなずき、光る鉱脈にそっと手を当てた。

「地底の未来を掘り出す第一歩だ――!」


だが、その背後で――。

ゴトン……ゴトン……と低い音が響く。

モグラ族の長老たちが、岩陰から姿を現した。

長い爪、煤けた毛並み、そしてその眼には深い怒りと悲しみが宿っている。


「地上の者ども……お前たちは何をしようとしている?」


タクミが言葉を失う中、長老グラモグが杖を突き立てる。

ドンッ――!

地面が揺れ、ミスリルの光が一瞬くすんだ。


「ミスリルは我らの聖なる金属。掘れば地脈が乱れ、地熱が暴れ、地底が崩れる。

お前たちの文明が、また地を傷つけるのか!」


タクミは息をのみ、必死に言葉を探す。

「俺たちは……破壊するために来たんじゃない。この鉱脈を地底と地上、両方の未来に変えるためだ!」


グラモグは目を細め、沈黙する。

やがて、長い髭を撫でながら低く告げた。


「ならば証明せよ、地上人。この地を“掘り”ではなく“共に生きる”場にできると――」


翌朝。

タクミとミラは帝都へ向かうため、地底昇降機へ乗り込んだ。

ミラは書類の束を整えながら呟く。


「帝国開発庁は厳格ですわ。地底採掘となれば、許可だけで数十項目。ですが交渉は私の得意分野です」


タクミは笑い、拳を握った。

「地底と地上、どちらも笑っていられる未来を作る。そのためなら、どんな書類でも書いてやるさ!」


地底の光が遠ざかり、二人を乗せた昇降機がゆっくりと帝都へと上昇していく。

その足元では、ミスリルの鉱脈が再び脈動し、まるで地底の心臓が彼らの決意を見守るように青く光り続けていた。


ワンポイント解説


■ミスリル鉱脈とは?

ミスリルは架空金属の中でも特に高い魔力伝導率を持つ希少鉱。

採掘には「地熱」「地脈」「精霊の流れ」を乱さない技術が必要で、

地底文明では神聖金属(聖金)として崇拝の対象にもなっている。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ