第9章 「モグラ族の村 ― モグーラの里」
荒廃した地底洞窟を抜けると、眼前に信じられない光景が広がった。
そこには無数の坑道と石造りの建物が迷路のように広がる地下都市。
土の壁には金属の輝きが埋め込まれ、地下水路からは清冽な水が流れている。
「ここが……モグラ族の都市か……」
ライラが剣を握りしめ、トビーは魔法陣を描きながら慎重に進む。
地面の振動や遠くから響く低い鳴き声に、彼らは警戒を怠らなかった。
すると、土の扉が開き、地中の住民たちが姿を現す。
彼らはモグラ族地中に特化した小柄で筋骨隆々の生物で、独自の掘削技術と金属加工術を持つ。
族長、グラモグが前に出て、低く、しかし威厳ある声で言った。
「地上人よ……。お前たちはなぜ我らの地を踏むのか。
ミルワームは我らの守護神を封印していた。封印が解けたせいで、地底が乱れ、村も危うくなったのだ」
タクミは深く頭を下げ、丁寧な言葉遣いで応じた。
「失礼いたします。地底の乱れは、私たちが招いたものではありませんが、もしお許しいただけるなら、共に復興に取り組みたく存じます。
資源と観光を融合したプロジェクトで、貴族の金属鉱山だけでなく、地底の文化や景観を活かしましょう」
ミラが眼鏡をくいっと上げ、静かに付け加える。
「税率交渉は私にお任せください。モグラ族の固定資産税制度や資源採掘の権利、観光収益の分配条件を調査し、最適な契約を組みます」
グラモグは一瞬、目を細める。
洞窟の奥で、巨大ミルワームがうずくまっているのが地面の振動からわかる。
村の住民たちは恐怖で身を縮める。
ライラは剣を構え、トビーは魔法陣を描く。
「ミルワームを討ち、地底を安全にする――それが条件ですな」
グラモグの言葉に、タクミはうなずく。
「承知いたしました。共に戦い、地底都市を復興させましょう」
戦いの舞台はすぐそこだ――
巨大ミルワームが地面を揺らし、タクミたちを威嚇する。
ライラの剣が光を帯び、トビーの魔法陣が光を放つ。
ミラは契約書とペンを手に、冷静に戦況を見守る。
「地上の投資家の眼力、そして我々のチーム力……どちらも試される時ですわ」
タクミは仲間たちを見渡し、深く息をつく。
「さあ……地底の資源と観光、そして地底都市の未来を掴むための戦いだ!」
洞窟全体に轟く地鳴りの中、戦いと交渉、復興の物語が幕を開けた。
ワンポイント解説
■タクミの地底観光プロジェクト
タクミが考える地底開発・観光の戦略は、単なる資源採掘に留まらず、不動産投資の視点も取り入れた総合プロジェクトです。
主なポイント
観光資源化
地底都市や鍾乳洞をツアー化し、冒険者や観光客を呼び込む。
巨大モンスター(石化した地底ヘビや討伐済みミルワーム跡)も展示物やアトラクションに活用。
地熱・水資源の活用
地底湖や温泉を観光施設として運営。
地熱発電による自家発電・エネルギー販売も可能。
鉱物資源の採掘と販売
金属鉱脈を安全に採掘し、販売利益を得る。
地底都市の建築技術を活かし、鉱山施設も価値ある不動産として管理。
地元住民(モグラ族)との協力
固定資産税や採掘権、観光収益の分配条件を交渉。
安全な共存体制を築くことで、長期的な安定収益を確保。
リスク管理
巨大モンスターや地盤リスクへの備え。
空き施設の活用、保険や安全対策を組み込む。
タクミはこのプロジェクトを通じ、地底という特殊環境を最大限に活かす「投資+観光」のフロンティア戦略を描いています。これにより、地方の物件では得られない高利回りと希少価値を狙うことが可能です。




