第3章 「ドラゴン銀行の融資係の審査の門」
帝都を離れ、辺境の街に降り立ったタクミたち。
目の前には、再生可能な廃墟寸前の宿や朽ちた建物が並ぶ。投資のチャンスはここにある。
「この荒廃した町の価値を取り戻す……俺たちならできる」
タクミの目は光り、ライラもトビーもその覚悟を感じ取った。
しかし、資金なしには始まらない。
タクミたちは街の地元ドラゴン銀行 辺境支店へと向かった。
門前には、巨大なドラゴンがどっしりと腰を下ろし、炎のような瞳で新人投資家たちを睨む。
「信用を見せよ。己の資産と未来価値、どこまで信頼できるかをな」
ドラゴンの低い声が響く中、タクミは深呼吸し、仲間のライラとトビーの目を見た。
「いくぞ。俺の商人魂、見せてやる」
===========
融資の流れ(異世界版)
①事前相談
タクミは銀行の支店長に相談する。
「開業準備段階でのアドバイスを受けたい」と伝え、必要書類や計画書の指摘を受けることで、後の審査がスムーズになる。
②申請書類の準備
事業計画書
自己資金の証明
開業準備に関する書類
過去の経験や投資計画の妥当性も評価対象になる。
トビーの魔法で数字を正確に示すことで、ドラゴンの納得を得やすくなる。
③融資面談と審査
支店長と面談。
「自己資金はいくらか」「事業の実現性は?」「リスク対応は?」
面談での熱意と計画の緻密さが重要。
ドラゴンの審査は、書類だけでなく、行動や説明力も評価対象だ。
④融資決定と契約
審査を通過すると、融資が決定される。
金額や返済条件を確認し、契約書に署名すると、資金が振り込まれ、物件購入の準備が整う。
================
融資面談それは信用を賭けた交渉
タクミは鞄から事業計画書を取り出す。
トビーの魔法で、宿の再生後の利益や維持費、地域経済への波及効果が立体的に映し出される。
「この商業ビルを再生し、荒廃した街に新たな価値を生み出します。
必要な資金は金貨500枚mだが、初期投資は最低限に抑え、運営資金の一部は自己資金から賄います」
ドラゴンは冷ややかに目を細める。
「自己資金は十分か。だが、追加融資が必要になる可能性は?」
タクミは一歩前に出た。
「必要があれば増枠も検討したい。そのために、こちらはリスク管理策を組み込んでいる」
計画書を指差し、修繕費、空室リスク、災害対策まで詳細に説明。
「この物件は表面利回りだけでなく、実質利回りも計算済み。空室が出た場合は、地域住民との契約や短期貸しで補填可能です。
これにより、追加融資が必要になっても銀行様に損失は出ません」
ドラゴンは鼻で笑う。
「若造よ……臆することなく言うな。だが数字だけでは信頼できぬ」
タクミは拳を握り、声を強める。
「数字も大事だが、俺の覚悟を見てくれ。荒廃した街で人々の生活を取り戻す。これはただの投資ではない、地域の未来への投資だ!
金貨の返済だけでなく、街を再生する価値を生み出す」
ライラが息を飲む。
「スゲー……若造の商人魂だ」
トビーも目を輝かせた。
「単なる資金繰りじゃなくて、戦略と熱意が一体化してる。ここまで説得力のあるプレゼン、初めて見たよ」
ドラゴンの炎がゆらりと揺れる。
「ふむ……その覚悟、数字以上に価値があるな」
タクミはさらに踏み込む。
「追加融資が必要になった場合、銀行様への利益率も確保できます。物件の再生で価値が上がれば、地価の担保として返済も安全です」
ドラゴンは翼を広げ、低く唸る。
「よかろう……若者よ、君の信用を認める。追加融資の枠も考慮に入れよう」
タクミは微笑み、拳を握った。
「これで、物件購入の準備が整う」
ライラがタクミの背中を見て囁く。
「……本当に商人だな。臆することなく戦う」
トビーも感心して付け加える。
「融資交渉の達人になる気配がプンプンする」
ドラゴンは低く呟いた。
「信用は金貨よりも重い。若者よ、その力で荒廃した町に価値を生み出せ」
こうして、ドラゴン銀行 辺境支店での激しい面談を乗り越え、タクミは異世界での不動産投資の第一歩を、商人魂と熱意で切り開いたのだった。
ワンポイント解説
地方銀行の特徴:地域貢献や将来性に目を向け、地元物件向き。
都市銀行の特徴:過去実績と大規模保証を重視、都市物件向き。
融資の流れ:事前相談 → 申請書類準備 → 面談・審査 → 契約
レバレッジ活用:手元資金を残して融資を受けることで、より大きな投資が可能になる。




