最終話 遺跡都市ミストリア・２年ぶりの決勝戦
古代文明の息吹が漂う都市、。 遺跡都市ミストリア。
“砂漠のピラミッド国家”と並ぶ遺産を抱えるこの街は、
今、過去最大級の熱狂に包まれていた。
中央広場には風に揺れる告知ポスター。
《武神決闘大会・決勝戦》
勇者アレックス VS 鋼鉄の女カーミラ
闘技場〈コロッセア・ミストリア〉
かつて闇竜ネクロスとの激闘で崩れ落ち、
復旧に2年を要した、伝説の戦場。
今日、その地に――
空を覆うほどの観客が押し寄せていた。
炎のような歓声が空を震わせ、
金色の旗がひるがえる。
その最前列に、タクミが静かに立っていた。
◆◇◆
タクミ（心の声）
「……長かった。本当に、地獄みたいな旅だった」
ふと、これまでの壮絶な冒険が脳裏をよぎる。
第一部 投資家への道
第二部 レバレッジ型経営
第三部 帝都《紅蓮亭》再生編
第四部 異世界不動産開拓サーガ編
第五部 地底都市再生プロジェクト編
第六部 異世界ビジネスホテル編
第七部 天空都市と遺跡編
第八部 波乱の武道大会編
第九部 魔のアトランティス編
第十部 古代魔導塔編
第十一部 空の世界で投資物件編
第十二部 海底都市編
第十三部 魔界鬼怒川温泉再生編
第十四部 魔界防塞都市構築編
第十五部 妖精群島開拓編
第十六部 リゾートホテル戦争編
第十七部 竜王半島開発編
第十八部 1000階ダンジョン老朽化物件編
第十九部 呪われた砂漠リゾート編
第二十部 破滅の森で地獄の開拓編
第二十一部 S級犯罪者の監獄島編
第二十二部 伝説の忘れられた町再生計画編
第二十三部 魔界バブル跡地・無限ローン地帯再生編
「絶望物件を希望に変え続けた、奇跡の連続だった。」
地底だろうが空だろうが、海底だろうが砂漠だろうが、
魔界の温泉だろうが、1000階ダンジョンだろうが、
タクミは毎回
「無理！！ 絶対無理！！」
と叫びながらも、
気づけば誰よりも早く再生の芽を見つけ、
誰よりも大胆にレバレッジをかけて、
誰よりも派手にトラブルに巻き込まれ、
そして必ず“黒字にして帰ってくる男”になった。
どの編も地獄のようで、どの編も唯一無二。
タクミが開拓した土地には、必ず笑顔と商機が生まれた。
仲間たちが集う
ミラ
「タクミ様。これまでの軌跡……胸にしみますね」
リーナ
「タクミ、つよい。不動産、だいじネ！」
ヴァン
「闇の旅路……ついに終焉の刻が来る……」
カーミラ
「……決勝」
バイオオセン
「興奮の匂い……試合前の熱気……最高だヌチャ♡」
続々と仲間たちが会場へ来る。
◆川沿い旅館「椿山荘」
リーネ、グラン、ルナ
◆帝都ホテル「紅蓮亭」
女将カミーユ
◆地底湖ホテル「ルミナグロウ」
ミカとヴァルキュリア
彼らは、タクミが再生してきた都市の“証人”だった。
ミラ
「タクミ様、本当に……ここまで、歩んできたのですね」
タクミ
「ああ……もう十分すぎるほど地獄を見てきたよ」
ヴァン
「だがまだ終わりではない……」
タクミ
「え？ なにその不吉な――」
そのとき！
轟音が鳴り響き、
決勝戦入場のファンファーレが闘技場を揺らす。
観客
「アアアアアアアアアアア！！！！！」
「来たぞォォォ！！！」
実況席
「さあ！！ 魔界最大武闘大会、決勝戦！！」
「勇者アレックスが登場！！！」
アレックスが剣を掲げると、
場内が真っ白になるほどの閃光と歓声が弾けた。
続いて
実況
「対するは！！ 鋼鉄の女！！ カーミラ！！」
カーミラが無言で、拳を鳴らす。
それだけで観客席が爆発したように沸いた。
タクミ
「さあ……ついに始まる」
ミラ
「タクミ様……次は、どんな未来が待っているのでしょう」
タクミ
「さあな。でも」
リーナ
「タクミ、どこでも行ケル！」
タクミ
「……そうだ。みんながいれば、俺はどこでも行ける」
実況
「それでは！！！
《決勝戦――勇者アレックス VS 鋼鉄の女カーミラ》
開ッ……戦ッ！！！！」
凄まじい地響きとともに、
最強同士の激突が火蓋を切った！！！
タクミの不動産投王の道はまだまだ続く
『異世界不動産投資講座～脱・社畜28歳、レバレッジで人生を変える～』
完結
