第9章 「負債都市最終決戦!タクミの逆転ローン破断計画」
地鳴りがした。
未完成タワマン群、崩れたスケルトンモール、再生途上の街区。
すべての中心に黒い“魔法陣”が出現し、空気が震えている。
ミラ
「タクミ様……! これは……負債が“実体化”しています!」
リーナ
「わぁぁ……やばいヤツ……くるヨ!」
暗雲を裂き、巨大な影が降り立つ。
抵当魔王バルバロッサ。
銀行魔族たちの“負債”をすべて吸収し、
もはや魔王級を超えた“災害そのもの”へ進化していた。
バルバロッサ
「ローンは無限。負債は永遠。
都市ごと沈めてやろう、若き投資家よォォ!!」
タクミ
「負債で街を殺すなぁぁぁ!!!」
住民避難チーム
タクミ・ミラ・リーナが、街の人々を誘導する。
ミラ
「タクミ様、このままでは都市が丸ごと吸収されます!」
タクミ
「絶対に誰も死なせない!!」
リーナ
「こっち! まもれル! はやくー!!」
路上生活者だった老人も、家を失った家族も、
若者も、冒険者
みんなが再生した街に希望を見いだし、
必死に逃げていく。
タクミ
「(ここで、街を崩させるわけには……絶対いかない!!)」
バトルチーム
ヴァン、カーミラ、バイオオセンが前線へ。
バルバロッサ
「お前たちの攻撃など、利息の足しにもならぬわ!」
ヴァン
「負債の闇よ……我が魂を喰らい、刃となれ……
《無限債務殲滅黒斬》!!」
黒雷をまとう斬撃が空間を切り裂き、
バルバロッサの身体に亀裂が入る。
バルバロッサ
「ほう、小賢しい……だが無意味だッ!」
一瞬で傷が“利息”という名の魔力で復元される。
カーミラ
「硬すぎ」
渾身の拳を叩き込むも、
バルバロッサは逆に重力利息でカーミラを吹き飛ばす。
カーミラ
「……痛い」
バイオオセン
「負債のエネルギーが……濃い……最高ヌチャ♡」
タクミ(遠くから)
「興奮するな!!」
しかし
バイオオセンは“負債の濃さ”を読み取り、
敵の魔力の流れを完全に嗅ぎ分けていた。
バイオオセン
「タクミぃ……こっち……“利息の核”があるヌチャ……!」
◆タクミ
「利息の核……? そうか!!」
タクミの脳内で、不動産の知識が閃光のように走る。
タクミ
「負債の正体は“契約”だ。
なら破断すればいい!!」
ミラ
「タクミ様!? 何か策が!」
タクミ
「バルバロッサの力は、住民たちの“未完ローン”を吸収して肥大化してるんだ。
つまりこの街のローン契約を、俺が“新しい契約”に全部上書きすれば……!」
ミラ
「負債を、消せる……!?」
タクミ
「そうだ。
名付けて
《タクミ式・都市再編ローン破断計画》!!」
史上初の魔法 × 不動産術式
タクミは街の中心で魔法陣を描く。
タクミ
「この都市のすべてのローン契約を……
“収益配分型の都市株”に変換する!」
ミラ
「再編術式、起動します!!」
魔法陣が輝き、未完成マンション、モール、ホテル……
すべての契約書が空中に舞い上がった。
リーナ
「すごい……紙、ひかる……!」
タクミ
「住民の返済義務はゼロ!!
この都市が儲かれば儲かるほど、住民が収入を得る!!
もう誰も……ローンで苦しまない!!」
バルバロッサ
「な……なにィィッ!?
契約が……切れ……る……!?
私の力が……減衰……していく……!!」
ヴァン
「タクミ……今が決め時か……!」
タクミ
「行けえええ!!」
ヴァン
「《終焉債務滅殺閃》!!」
黒い光刃がバルバロッサを貫き、
負債の魔力が霧散した。
バルバロッサ
「ローンは……永遠……のはず……だ……
ぐ、ああああ……!!」
ドォォォンッ!!!
魔王バルバロッサ、完全破壊。
街を覆っていた負債の呪いが晴れた。
新たな朝が来る
住民
「……息ができる……」
「借金が……消えた……? 本当に?」
「タクミさん……ありがとう……!」
タクミ
「みんな……これからは街全体で儲けるんだ。
この都市はもう“負債都市じゃない”。
再生都市だ!」
ミラ
「タクミ様……ついにやりましたね」
リーナ
「タクミ、すごイ!」
バイオオセン
「負債の匂い……消え……ちょっと寂しいヌチャ……」
カーミラ
「終わった?」
タクミ
「終わった……!!」
涙ぐむ住民たちの笑顔。
夜明けの光が、再生した都市を照らす。
こうして、
タクミ史上最大最悪の“負債との戦い”は幕を閉じた。




