第6章 「巨大スケルトンモールを“冒険商店街”に!」
タクミたちが辿りついたのは、灰色の空の下にぽっかりと空いた巨大廃墟――
その名も、“スケルトンモール・アバドン”。
骨だけ残ったような骨格。
ひび割れたガラス。
風が吹くたびに、どこかの鉄板がカーン……と鳴く。
タクミ
「……ひ、ひどいなこれ。
けど、逆に言えば“伸びしろしかない”ってことだ!」
バイオオセン
「腐敗臭……湿った床……ひび割れた天井……ご褒美すぎるヌチャ♡」
タクミ
「営業妨害にもほどがあるわ!!」
モール内は、ダンジョンのような崩壊
エスカレーターは途中で折れ、
テナントの区画は壁が半分吹き飛び、
天井の一部は闇に飲まれ、何かの気配すらある。
その瞬間だった。
スピーカーの残骸から、重厚な声が響く。
バルバロッサ
「タクミよ。
このモールも、すでに差押え済みだ。
再生? 許可されていない。
ローンは永遠、契約は絶対。
貴様の企ては、ここで終わる。」
タクミ
「(出た……血契魔銀の主の幻声通信!)
まだ戦いは終わってねぇよ……!」
カーミラ
「黙れ。」
カーミラは無表情で一言。
それだけでスピーカーが“バチッ”とショートした。
タクミ
「この“廃墟感”、むしろ最強の武器になる……!!
そうだ……これはショッピングモールとして甦らせるんじゃない。
冒険商店街として売る!!」
バイオオセン
「ほう……? 腐臭マーケティング……最高だヌチャ」
タクミ
「そんなジャンルはねぇよ!」
“冒険商店街”計画、発表!!
タクミ
「見ろこの破壊されたフロア!
普通なら補修が大変だけど、逆に“冒険コース”にしちまえば、
わざわざ壊す必要もない!」
・割れた床 → トラップ風通路
・吹き飛んだ壁 → 秘密ルーム
・暗い通路 → 簡易お化けゾーン
タクミ
「空きテナントはカーミラが監修して“簡易ショップ”にする。
吸血鬼ファッションとか、血界スイーツとか……」
カーミラ
「血が騒ぐ。」
タクミ
「語彙ィ!!」
魔物アトラクション化計画
モールの地下から、黒い影がぞわりと湧いた。
タクミ
「あっ、魔物いるじゃん。
……でも安全管理すれば、これ“体験型アトラクション”になるぞ!」
バイオオセン
「魔物の飼育……排泄物……処理が必要……素晴らしすぎるヌチャ♡」
タクミ
「お前だけ別の方向で興奮してるのやめろ!!」
バルバロッサの妨害
突然、モール全体がゴゴゴゴ……と揺れた。
バルバロッサ
「タクミよ。
差押え物件を勝手に改装するとは
契約違反だ。」
タクミ
「わかってるよ……だからここからは、
合法ギリギリ再生術で対抗する!」
タクミの目が鋭く光る。
タクミ
「“商業施設”として再生するのはアウトでも、
“テーマパーク”扱いならセーフ!
さらに“アート展示物件”扱いなら建築基準も一部緩和!
そして“地域活性化の特区申請”を通せば補助金も狙える……!」
バイオオセン
「ヌチャァ……頭脳犯の妖気……」
カーミラ
「申請」
タクミ
「はい今すぐ申請します!!」
タクミ
「この廃墟は、
絶望の象徴じゃない……!!
冒険の入口だ!!
俺が絶対、復活させる!!」
モールの天井越しに、赤い魔力が灯る。
バルバロッサの怒りか、それとも新たな戦いの予兆か。
バルバロッサ
「面白い……
ならば、次の審査で貴様を叩き潰すとしよう。」




