第11章 『タクミ、新たな無限ローン地獄へ』
宝石鉱山リゾート《ジェムシティ》が開業して数週間。
かつて“忘れられた町”と呼ばれた廃墟都市は、
いまや 世界屈指の魔力テーマリゾート へと進化していた。
◆ 観光客が駅前を埋め尽くす
◆ 魔石アトラクションは連日完売
◆ タワマンホテルは半年先まで満室
◆ 魔力湯(若返り温泉)は入浴者が10歳若返る大騒ぎ
◆ リーナの宝石スイーツは“食べる宝石”と呼ばれ世界的ヒット
タクミの名は、ついに〈魔界最高の都市再生マスター〉として全異世界に広がった。
そしてその日、タクミは呼び出された。
玉座の間。
魔王と天界代表が並んで座っているという、絶対におかしな光景。
魔王
「タクミ、不動産の力で世界を救ったな!」
天界長老
「そなたの都市計画は神も感服した!」
タクミ
「え、世界救った扱いなんですか!?
オレはただの投資家なんだけど!?」
カーミラ(淡々)
「タクミ、表彰状もらえるわよ」
ヴァン(厨二)
「光と闇の両勢力に称えられるとは……
タクミ、お前は選ばれし不動産の覇王……!」
タクミ
「言い方やめて!」
リーナ(キラキラ)
「タクミ、スゴイヒト! チョーエライ!」
ミラ(秘書口調)
「タクミ様、本日の授賞式スケジュールはこちらです」
バイオオセン(気持ち悪く)
「タクミぃ……わたし誇り……ヌチャ♡」
タクミ
「ヌチャ要らない!!!」
世界中の喝采を浴びながら、タクミは胸を張った。
タクミ
「よし!ついに俺の地獄案件も終わりか……
ここからはのんびり暮らして」
アラジン(上司)が、いつもの無表情で現れた。
アラジン
「タクミ。よくやった。
……だが 次の投資先 が決まったぞ。」
タクミ
「出たぁぁぁぁぁ!!!
また地獄!!!?」
アラジン
「今回のは格が違う。
“魔界最大の負債都市”――
無限ローン地帯 の再生だ。」
タクミ
「うわああああああああ!!
絶対ロクでもない!!
聞くだけで胃が死ぬ名前!!」
ヴァン
「負債の刻……始まるのか……(嬉しそう)」
カーミラ
「また大変そうね」
リーナ
「タクミ、ガンバレ? 死なないで?」
ミラ
「タクミ様、すでに資料1500ページを準備しました」
バイオオセン
「新しい地獄……ヌチャ♡」
タクミ
「ヌチャくんは魔霧ガスを発掘、管理してて!ここでお別れ!」
ジェムシティの祝砲が夜空に上がる。
しかしタクミはひとり青ざめた顔で叫んだ。
タクミ
「なんで俺だけ祝われるたびに
次の地獄が来るんだよぉぉぉ!!」
こうしてタクミの最新地獄案件が幕を開ける。
『魔界バブル跡地・無限ローン地帯再生編』
タクミ史上最大の“負債まみれの都市”が待ち受ける!!
✨ 第二十二部 伝説の忘れられた町の再生計画編 完✨




