第6章 「鉱王グラビガルム― 鉱山都市の守護者」
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鉱王グラビガルム
― 鉱山都市の守護者 ―
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全身が鉱石と岩で覆われ、胸部には脈動する巨大な結晶。
・全身が黒鉱石と魔石の混合体
・皮膚は“動く地層”のように常にズルズル変形
・目は深紅のマグマのように燃える
・体内は輝く魔力コアが脈動
・身長8メートルの岩巨人形態
・戦闘時は重力場が歪み、周囲が押し潰される
「……我こそは重力を統べる鉱王、グラビガルム」
と喋る声は、地震そのもののように低く響く。
不滅構造
胸部の巨大魔石“都市核”により、
寿命∞/魔力∞/再生∞
魔王軍の記録ではこう記されていた。
「魔王様より強い。関わるな。」
性格
・古代都市を護る強烈な使命感
・外敵を“地上の侵略者”とみなし一切容赦しない
・魔石に近づく者=即排除対象
・ただし誇り高く、礼節ある敵には敬意を払う
グラビガルム
「……誰だ。
この沈んだ地脈に、再び足を踏み入れた愚か者は」
タクミ
「(うわ…話しかけられた)
えっと、すみません。
ここを再開発したい不動産開発屋です」
全員
「不動産開発屋って言うな!!」
グラビガルム
「再開発……?
かつてこの地を食い潰し、
鉱を掘り尽くし、
都市を墓場に変えた愚か者どもの仲間か」
タクミ
「いやいや!むしろその失敗の尻ぬぐい担当です!!」
リーナ
「ワタシタチ、前任者ト違ウヨ。
マトモニ、掘ッテ、マトモニ、儲ケルヨ」
ミラ(小声で)
「“マトモニ儲ける”と言い切るあたり、さすがリーナさんです…」
グラビガルムが腕を上げると、周囲の岩盤が「ズンッ」と沈み込む。
重力がねじ曲がった。
タクミ
「うわっ、足が…重っ…!」
ミラ
「重力加重率300%。
通常戦闘はほぼ不可能と推定されます」
ヴァン
「……良い。
重さは、闇の圧力……!
この縛られた空間こそ、俺の舞台だ!!」
カーミラ
「……行く。」
ヴァンが一気に飛び出す――
いや、“飛び出そうとした”。
だが重力に引きずられ、地面にバチィン!と叩きつけられる。
ヴァン
「ぐはっ……重っ……!
だが……この束縛、嫌いじゃない……!」
タクミ
「ドMなのか?」
それでもヴァンは立ち上がり、血の剣を構える。
ヴァン
「戦いの刻……! 我が宿命、ここに極まれり!
死神の断罪!!」
黒き斬撃が重力を裂き、一直線にグラビガルムの胸部へ――
バキィィィン!!
……綺麗に弾かれた。
ヴァン
「……効いて、ない?」
グラビガルム
「その程度の刃が、数千年の圧を浴び続けた我が身に届くと思うか」
カーミラが前へ出る。
カーミラ
「……任せろ。」
地面の重力が増しているにもかかわらず、
彼女は一歩一歩、普通に歩く。
タクミ
「え、この人だけ重力の概念無視してない?」
ミラ
「筋力が、物理法則を上回っているのだと思われます」
リーナ
「カーミラ、筋肉、正義」
カーミラの身体が低く沈み、旋風を巻き起こす。
カーミラ
「鋼鉄の旋風連撃――アイアン・スパイラル・ストライク。」
鋼鉄の嵐がグラビガルムの腕と胴を容赦なく叩き、
岩粉が飛び散る――が。
グラビガルム
「……痒い。」
カーミラ
「…………。」
タクミ
「痒いで済んだよ!!?」
さらに追撃で鋼天裂斬を叩き込む。
光の残像と共に斬撃が何本も走るが
鉱石の表面に浅い傷がついただけで、すぐに再生してしまう。
ミラ
「物理攻撃耐性:極大。
再生速度:理不尽レベルです」
ヴァン
「クク……良い…良いぞ……
刃が通らぬ絶望……!
闇が濃くなるほど、俺は高ぶる……!」
タクミ
「楽しそうにしてるけど今、普通に全滅コースだからね!?」
重力の王、宣告する
グラビガルムの目が、静かにタクミを見下ろす。
グラビガルム
「人間よ。
お前は“再生”と言ったな。
この都市を、再び蘇らせると」
タクミ
「……はい。
この、忘れられた町を、“ちゃんとしたカタチ”で立て直したい。
前みたいに、誰も得しない無駄遣いにはしない」
グラビガルム
「ならば、証を見せよ。
“奪うための開発”ではなく、
“繋ぐための再生”であると」
床がさらに沈み込む。
重力が跳ね上がり、立っているだけで膝が笑う。
ミラ
「タクミ様。
身体能力的にはあと数分で立てなくなります。
ご決断はお早めに」
タクミ
「(こんな状況で“ご決断”とか冷静に言われても!)」
リーナ
「タクミ、ドウスル?
コノ鉱山、ホントニ使ウ?
危ナイ。死ヌ。デモ、儲カル」
タクミ
「最後に“儲かる”付け足すな!!」
だが、タクミは歯を食いしばる。
タクミ
「……グラビガルムさん。
俺はこの鉱山都市を、“掘り尽くして終わり”にはしません。
鉱石も、魔力も、“資源”として扱う。
同時にここを、“生きた都市”として機能させたいんです」
グラビガルム
「生きた……都市?」
タクミ
「掘って、売って、捨てる――じゃない。
掘って、使って、循環させて、
“この土地の価値”を、永続させる。
……それが、不動産開発の“正解”だと、俺は思ってます」
沈黙。
重力の圧力だけが、ズシン…ズシン…と音を立てる。
ヴァン
「タクミ……中二病的に言えば……
“朽ちない魂の器を作る”ってことだな……!」
カーミラ
「……少しだけ、マシなことを言ったな」
ミラ
「タクミ様のプランが実現すれば、
経済的にも魔力インフラ的にも“理想モデル”になりえます」
リーナ
「オカネ、死ナナイ。 街モ、人モ、続ク。
タクミ、ソウ言ッテル」
バイオオセン(壁にぬちゃっと張り付きながら)
「長期投資……ヌチャ♡
継続収益……ヌチャヌチャ♡
アタシ、ソウイウの、大好キ♡」
タクミ
「おまえだけ帰れ」
タクミは深呼吸し、足下の地図を広げる。
タクミ
「ミラ、この都市の地脈図、出せる?」
ミラ
「もちろんでございます」
魔力投影された立体地図に、地下のライン地脈が浮かぶ。
その中心に、グラビガルムの位置が赤く点滅している。
タクミ
「……この人、ただのボスじゃない。
この都市全体の、“重力制御核”だ」
ヴァン
「つまり……?」
タクミ
「この人の力を“敵”でなく、
“インフラ”として使えれば
この地下鉱山都市は、“崩れない”。
重力を制御して、
地盤そのものを安定化できる」
ミラ
「なるほど……。
重力を利用した“自動地盤制御都市”……理論上は可能です」
リーナ
「グラビガルム、インフラ社長、ヤル?」
グラビガルムの鉱石の瞳が、かすかに揺れる。
グラビガルム
「我が力を……都市のために使えと?」
タクミ
「“守護者”なんですよね、あなた。
なら、守る対象を“鉱山だけ”じゃなく、
“ここで生きる者たちすべて”に拡張しませんか?」
静寂。
重力が、ほんの少しだけ軽くなった。
グラビガルム
「……軽口ばかりの人間だと思ったが。その提案、嫌いではない」
タクミ
「(軽口ばかりとは言われた)」
グラビガルム
「ならば、人間よ。この言葉を覚えておけ。この街は、二度と“掘り尽くされて”はならぬ。
資源に溺れた者から私は容赦なく奪い去る。」
タクミ
「……了解です。“掘り尽くし禁止条項”、契約に入れておきます」
ミラ
「タクミ様、契約書案すでに作成済みです」
タクミ
「仕事が早い!」
リーナ
「採掘、制限付き。デモ、長ク儲カル。最高」
地底の守護者・鉱王グラビガルムは、
完全な敵ではなく条件付きの共同パートナーへと変わった。
忘れられた町の地下に眠る**莫大な魔力の“脈”**は、
ついに再生への一歩を踏み出したのだった。
そしてタクミは確信する。
タクミ
「……ここ、マジで“宝石鉱山リゾート都市”いけるな」
ヴァン
「闇の輝きが……都市を照らす……良い……」
カーミラ
「……やっと、まともな資源。」
ミラ
「都市再生プラン、次フェーズへ移行可能です」
リーナ
「掘ル、売ル、街作ル。 仕事、始マル!」
バイオオセン
「地下鉱山スパ施設……ヌチャ♡
汗も毒も全部流ス……最高ヨ……ヌチャヌチャ♡」
タクミ
「お前のスパだけは絶対に許さない」
忘れられた町リゾート再生計画は、
ここから“鉱山リゾート都市として、本格的な再構築フェーズに突入していく。




