第2章 「忘れられた町を調査開始」
忘れられた町の中心部。
錆びた風が吹き、ひと気ゼロの高層タワマン群が沈黙している。
タクミたち不動産チームは、まず駅前から調査を開始した。
カーミラ
「都市計画失敗」
ヴァン
「むしろ“呪われた計画”だろ……。魔王様も何を考えていたんだ……」
ミラは古い案内板をのぞきこみながら、冷静に分析する。
ミラ
「この設備群……すべて大型魔力炉で動いてたみたい。
保守されないまま魔力だけ消費して、近隣一帯が枯れ果ててる。」
タクミ
「なんで誰も止めなかったんだよ……」
そのとき、リーナがピョンと宙を舞った。
リーナ
「タクミ!ミテ! 変ナノ、アルヨ!!」
タクミ
「へ? どこだ?」
リーナが指さしたのは、
半壊したタワマンの足元……
雑草で隠れた、巨大な“ひび割れ”。
ミラ
「地面が……呼吸してる?」
ズ……ゴォ……。
まるで地下で何かが脈動しているように、
道路がかすかに上下していた。
カーミラ
「なにこれ……。地盤沈下? でもリズムがある……」
ヴァン
「地下に……何か動いてるのか?」
タクミが慎重に近づき、ひび割れに手をかざした。
その瞬間。
ボフッ!!!
ひびの隙間から、黒紫色の“魔霧”が噴き上がった!
タクミ
「うわっ!? なんだこれ!!」
ヴァン
「っ……毒性がある! 吸うなタクミ!!」
ミラ
「これは自然発生の魔素じゃない……もっと濃い……。
魔力の腐敗……いや、“圧縮された何か”が漏れ出してる……!」
カーミラが剣を抜き、周囲を警戒する。
カーミラ
「この霧……ただの魔霧じゃないわ。
源が、もっと深いところにある……地下の奥に。」
リーナだけは、ふらふらと霧の流れる方向を見つめていた。
リーナ
「……アレ? ナンカ、ヒカッテル……?」
タクミ
「え、光? どこ?」
リーナ
「シタ!アナ! キラキラ、シテル!!」
タクミたちが覗き込むと、
ひび割れの奥、暗闇のさらに奥の奥。
ほんの一瞬だけ、
暗黒の中に青白い“点の光”がキラッと反射した。
タクミ
「……なんだ今の?」
ミラ
「鉱物……? でもこの土地に反射する金属は……」
カーミラ
「ゴミ」
ヴァン
「地下に何かある……絶対にあるぞタクミ!」
タクミは、ごくりと息をのんだ。
タクミ
「まさか……
観光資源、ほんとにあったりするのか……?」
ミラが笑う。
ミラ
「タクミ様 失敗は成功の基です。」
タクミ
「いやその理論は違うけど!? でも……行くしかないか。」
リーナ
「タクミ、イク? タンケンスル?」
バイオオセン館長
「ヌチャ♡ こういう暗い穴……わたし、大好き♡
入ろうよ……ヌチャァ♡」
タクミ
「説得力ゼロ!! やめて!」
そうしてタクミ一行は、
忘れられた町の“地下への入口”へと、
偶然にも最初の一歩を踏み出した。
この先に何があるのか――
まだ誰も知らない。




