第13章 「寝ぼけ勇者、覚醒秒読み! ガルドロス最終形態 vs 地獄の脱獄メンバー!!」
轟音。
崩壊する監獄。
タクミの腕の中で解凍された勇者アレックスが、ゆっくりと目を開けた。
「……ん? タクミ?
ここどこ……? 浴場? いや牢屋? え、処刑ショー今日?」
タクミが思わず叫ぶ。
「処刑される前に脱獄してんだよ!!
お前の仮死を利用してな!!」
「そっか〜……え、あれ?
なんか後ろででっかい怪物が暴れてるけど?」
背後。
ガルドロスが**最終形態・獄炎魔獣“ガルドロス・ギガヘルロード”へ変貌し、
核のような魔力を噴き上げていた。
「勇者……起きたか……
ならば二度目の死をくれてやろう……!」
アレックスは寝ぼけたまま言う。
「……二度目? あ、俺いま死んでたの?」
「そうだよ!!!」(全員の怒号)
ガルドロスが爪を振り下ろす。
“獄炎破壊衝爪!”
地面がマグマのように砕け、
タクミ・カーミラ・ヴァンが吹き飛ばされる。
ヴァンが血を吐きながらも構えた。
「暗黒の闇の雷よ、降り注ぎ、喰らいつくせ サンダーヴォルト!」
バリバリバリバリバリィィィ――ッ!!!
漆黒の雷が天を裂き、閃光が闇を切り裂いた。
黒雷が大地を裂きガルドロスへ直撃
しかし。
「……蚊でも刺したか?」
完全ノーダメ。
カーミラも怒号と共に攻撃。
「鋼鉄の旋風連撃!!」
鉄柱を捻り曲げる回転蹴りが炸裂するが、
「……くすぐったいな。」
まったく効かない。
タクミが叫ぶ。
「アレックス!!
寝ぼけてる場合じゃねえ!!
覚醒しろ!!」
アレックスは目をこすりながら、
「え〜……無理……眠い……
あの怪物なんか強そうだし……
今日休んでいい?」
(全員)「ダメだあああああ!!!」
タクミはアレックスの頬を両手で掴む。
「聞けアレックス!
“完全覚醒”したお前は、世界を揺るがす!!」
アレックスはポカンとする。
「え……俺ってそんな強いの?」
「そうだよ!!
お前は勇者なんだ!!」
少しだけ目が覚めるアレックス。
「……じゃあちょっと頑張る」
その瞬間、ガルドロスが咆哮。
「遅いわあああ!!!
滅獄砲!!!」
獄炎弾が迫る。
タクミはアレックスの背中を叩き叫ぶ。
「アレックス!!
反撃だ!!!
寝ぼけたままでいい!!
“身体が覚えてる技”でいい!!
本能で斬れえええ!!」
アレックスがフラフラと立つ。
「ん〜……じゃあ……
いつもの……これかな……」
腰の剣を抜く。
寝ぼけ半目のまま、しかし構えは完璧。
次の瞬間
ドンッ!!
アレックスが一歩踏み込み、
大地が爆発した。
タクミが目を見張る。
「速ぇえーー!!
寝ぼけてるのに強すぎだろ!!」
アレックスの一閃が獄炎を切り裂く。
“勇者式・寝起き一刀!!”
獄炎弾を真っ二つにして、
ガルドロスの胸まで到達する。
最終形態ガルドロスが初めて後退した。
「……なに?
今……俺、なんかした?」
タクミが絶叫する。
「したよ!!! 世界、救い始めてるよ!!!」
ガルドロスが怒り狂う。
「ふざけるなあああ!! 人間風情がァァァ!!!
ここからが本当の地獄だ!!」
アレックスは剣を構え、まだ半目でつぶやく。
「……じゃあ、ちょっと本気出す……
“ちゃんと起きたら”ね……」
タクミが叫ぶ。
「早く起きろおおおお!!!」




