第11章 「タクミ vs 所長ガルドロス 死体争奪大乱戦」
デスアイランドの死体安置所の奥
タクミたちが勇者アレックスの“氷結仮死体”を棺に入れようとした瞬間。
「フン……死体を盗むきか。三流の盗賊が使う手口だな」
暗闇から現れたのは、所長ガルドロス。
その身体が、音を立てて膨張し、皮膚が裂け、
中から巨大処刑魔獣ガルドロスが姿を現す。
「デスアイランドから、生きて出られると思ったかぁあああ!!」
咆哮一発。
床が爆ぜ、壁が崩れ、魔界刑務官たちが吹き飛ぶ。
さらに副所長バイオオセンが登場し、
体中の腫れ物から黒緑色の猛毒細菌霧を噴射。
「さぁ…感染の時間だ……ヌチャ♡」
監獄地獄の死闘が、完全開戦。
タクミは棺を守りつつ指示を飛ばす。
「時間を稼いでくれ!勇者アレックスが完全に溶けるまで絶対に渡すな!」
ヴァンが両腕を広げ、闇の紋章が全身に浮かび上がる。
ヴァン必殺技炸裂!
「中二病的に戦いの刻……!
我が宿命、ここに極まれり!!
死神の断罪ッ!!」
闇の大鎌が虚空から出現し、
魔獣ガルドロスの首を一直線に薙ぎ払う!
爆裂黒閃が監獄を波打たせ、
天井に巨大な闇の切断痕が刻まれた。
カーミラ怒りの鉄拳乱舞!
「魔獣ごときが調子に乗るな……!
鋼鉄の旋風連撃――ッ!!
アイアン・スパイラル・ストライク!!!」
銀色の螺旋がカーミラの拳から噴き出し、
空気を砕きながらガルドロスに直撃。
骨を砕く轟音。
地響き。
壁が崩落。
だが
効かない。
ガルドロスはカスリ傷さえ負っていない。
「……終わったか? 次は俺の番だ」
監獄壊滅、細菌地獄、絶望のカウントダウン
魔獣ガルドロスが一歩踏み出すだけで床が沈む。
ヴァンもカーミラも吹き飛ばされ、血を吐く。
副所長バイオオセンが滲み笑いを浮かべる。
「はぁい、感染拡大ァ♡
“腐肉菌”散布開始〜ヌチャヌチャ」
黒緑の霧が広がり、
触れた鉄がただちに腐食し、
魔界看守が次々と溶け落ちる。
カーミラの鋼鉄の皮膚にも斑点が現れ始める。
ヴァン
「カ、カーミラの身体が……腐って……!」
カーミラ
「誰が腐るか……鋼鉄が錆びただけだ……!」
(※実際にはめっちゃ痛い)
タクミは必死にアレックスを背負い直し、叫ぶ。
「くそっ……あと3分で蘇生フェーズに入る!
持ちこたえろおおお!!」
だがガルドロスが火山のように吠える。
「全員まとめて粉砕してやる!!」
巨大な影がタクミたちを覆う。
監獄崩壊開始。
仮死体争奪。最終局面。




