第9章 「タクミ、絶望の中で“禁断の脱獄案”を思いつく!」
デスアイランド監獄島は所長ガルドロスにより完全封鎖された。
空には天使族式・対空バリアが何枚も重なり、
海には魔界式・逆流海流結界が渦巻き、
島の周囲では監獄ドローン(咬むタイプ)が巡回中。
勇者アレックスの処刑日まで
あと6日
タクミ
「……詰んだぁぁぁぁああ!!
空も海も封鎖!地下ルートも潰され!
通信魔法まで全部バリア!!」
ミラ
「脱獄保険は“不可能時は全額返金”なので、こちらも困ってます」
ヴァン
「影が囁いている……“絶望の味は甘い”…と……」
カーミラ
「呑気なこと言ってる場合か。
あの結界、私でも破れないレベルだ」
リーナ(妖精)
「アレックス、コロサレル!
ナンカ案ナイノ!?」
タクミは頭を抱えて膝をつく。
しかし次の瞬間、彼の目がギラァァッと光る。
タクミ
「…………待てよ……」
リーナ
「タクミ、また悪イ考エダ!!顔が悪役ノ顔ダ!!」
タクミ
「“処刑日だけは、外に出られる”……
つまりあの日だけ、勇者は地上に運ばれる!」
ミラ
「ですが処刑されてしまいますよ?」
タクミ
「なら、先に処刑しちゃえばいいんだよ!!」
全員
「はあああああああ!?!?」
タクミ
「アレックスを “疑似的に死なせて”
完全冷凍保存してしまえばいい!!
処刑日に遺体のフリして外へ搬出!
その後、蘇生すれば実質脱獄成功だ!!」
カーミラ
「……正気かお前」
ヴァン
「禁断……いい……闇の香りが強い……」
ミラ
「保険的にはギリ合法ですが……どうでしょうかね」
リーナ
「ヨクナイヨ!!?」
タクミ
「でもこれしかない!
処刑“前”にこちらで仮処刑して、
アレックスを凍らせたまま輸送する!」
勇者アレックス(奥の牢から)
「ちょっと待てぇぇぇぇい!!
俺の命をフリーズ保存の実験体にする気か!!?」
タクミ
「それでも助かる可能性は100倍になるんだ!
生きて外に出るにはこれしかない!!」
アレックス
「嫌だぁぁぁァァ!!死ぬ練習とか聞いたことねぇ!!?」
カーミラ
「タクミ……悪魔より悪魔みたいだな」
ヴァン
「禁断の冷凍勇者……芸術……」
ミラ
「準備だけはしておきますね。
冷凍保険は作れませんけど」
タクミ
「絶望の中でも、道はある!
“死んだふり作戦”で絶対に外へ出すぞ!!」
勇者アレックスを先に処刑しちゃおう冷凍保存作戦は発令された。
リーナ
「モウ後戻リデキナイ……!死アルノミ」




