第5章 「脱獄計画スタート!まずは“看守をてなづける週間”」
勇者アレックスの封印室から脱出したタクミたちは、
監獄島の裏通路を歩きながら、早速“脱獄プロジェクト会議”を開始した。
タクミ
「というわけで!
まずは看守を、
てなづけます!!(金で)」
ミラ
「タクミさん、堂々と言いましたね」
カーミラ
「金は万能。」
ヴァン(影がゆらゆら)
「金で動く闇……いい……堕ちた魂の匂い……」
リーナ
「悪党ミタイ!!」
看守と囚人の“評価システム”がひどすぎた
監獄島の職員名簿には、謎の三段階評価があった。
暴力:☆☆☆☆☆
知能:★☆☆☆☆
精神の不安定さ:★★★★★★(限界突破)
タクミ
「評価項目の並び、やばくない!?」
ミラ
「暴力の星が多い人ほど“昇給しやすい”と書いてありますね」
タクミ
「昇給制度まで地獄かよ!!」
看守懐柔作戦”開始!
タクミは魔界コインの袋を持ちながら、
看守控室に突撃した。
タクミ
「みなさん!突然ですが――」
ザッ(机に金貨を広げる)
「この島、最低すぎません?」
看守A
「言ったぁーーー!?」
看守B
「こっちは給料が安すぎて……
月末は“水道水スープ”だけで生きてるんだよ!!」
看守C(粘液まみれ)
「ワタシタチ、労働時間ネ……24時間シフトヌチャ……」
タクミ
「ひどすぎる!!」
ミラ
「ここまでブラックだと、脱獄より改善のほうが難しいですね」
だが――
看守たちは金貨を見るなり、
一瞬で仲間になった。
看守D
「俺も協力する!!」
「むしろここから出たい!!」
「所長よりお前らのほうが信頼できる!!」
タクミ
(え……意外といける?)
タクミが囚人たちの牢へ向かうと
囚人A
「金か? 金だろ? 金だよな!?」
囚人B
「脱獄? いいぞ。俺も外出たいし」
囚人C
「むしろ俺たちが“助けて”やるよ」
タクミ
「えっ……なんかもう……協力体制?」
ミラ
「労働環境の悪さがすべての原因ですね」
リーナ
「監獄島、もはや限界!!」
刑務所の所長と副所長のブラック職場
■所長:ガルドロス
・身長3m、バリトンボイス
・座るだけで椅子が壊れる
・休日ゼロ
・ストレスで岩を握りつぶすのが日課
ガルドロス
「最近……職員の半分がバックレた……」
「残ったのは粘液のバイオオセンだけだ……」
■副所長:バイオオセン
・粘液系魔族。
・歩くたびにヌチャ……ヌチャ……
・職員に嫌われすぎて、アンケートで支持率1%
(同情票1票のみ)
バイオオセン
「ワタシ……頑張ッテルノニ……
職員全員、ワタシノ会議欠席スルヌチャ……」
タクミ
(なんか……かわいそうになってきた……)
ガルドロス
「もうだめだ……!俺たちは限界だ……!」
「改善?改革?そんな余裕……ない!!」
タクミは確信した。
「これ……脱獄できるわ」
「……あのさ。
看守も囚人も半分“出たい”って言ってる刑務所、
逆にどうやって成立してるの?」
ミラ
「タクミさん。
これは“脱獄可能”というより……」
カーミラ
「“崩壊寸前の職場”だ」
ヴァン(喜び)
「崩壊……闇……いい……」
リーナ
「安心してる場合じゃないのに安心しちゃうー!!」
タクミ
「よし!
この刑務所……買収します!!」
ミラ
「買収!? まさかの経営に乗り出すんですか!?」
タクミ
「最低最悪の監獄を、観光用にリニューアルするんだ!!
そしてそのまま勇者アレックスを逃がす!!」
カーミラ
「ついでに脱獄……」
ヴァン
「闇の観光……素晴らしい……」
リーナ
「悪党側ナノニ善人!!」
こうして
脱獄計画は順調に
いや異常に
滑り出したのだった。




