第4章 「勇者アレックス、禁忌の鎖と対面!」
黒塗り階層の最奥。
そこは、もはや“牢獄”というより
地形そのものが巨大な鎖で編まれた異界だった。
吊り橋も、床も、壁も、柱も、
すべてがガチャガチャと自動的に組み替わり、
時折“鎖の嵐”となって空間そのものを切り裂く。
タクミ
「なにこれ!?
牢屋ってより“禁断のチェーンテーマパーク”じゃん!!
絶叫アトラクション濃度120%!!」
リーナ
「チョット楽シイッ!!…イヤ怖イ!!ドッチ!!?」
ミラ(冷静)
「移動式鎖牢屋地形……再現不可能。保険料は天井突破ですね」
タクミ
「だから計算するなって言ってるだろ!!」
その時
ヴァンの足元の影が、ズルリッ…と広がり始めた。
ヴァン
「影が…震えている…
この地形、闇と鎖の相性が良すぎる…!!
あああ…血が…燃える……!」
次の瞬間、
ヴァンの両腕から“血の炎柱”が噴き上がる!
リーナ
「チョョ!!燃エテル!!完全ニ燃えテル!!」
ミラ
「暴走率120%ですね。通常より20%お得です」
タクミ
「お得じゃない!!やめろ!!」
ヴァン(トランス状態)
「鎖よ……闇の舞台と化せ……
“ブラッディ・シャドウインフェルノォォ”!!」
血の炎柱が通路を焼き払い、
道の“鎖”を赤熱化して強制的に固定化する。
その隙に――
カーミラが地面を蹴り、一直線に最奥へ突撃。
カーミラ
「道は作る。タクミ、行け!!」
彼女の拳がうなり、
鋼鉄必殺技 鋼鉄の旋風連撃
螺旋状の破壊波が鎖の壁を抉り、
“禁忌の封印室”への扉が姿を見せた。
タクミ
「すげえ!完全に怪獣映画の突破シーンじゃん!!」
リーナ
「カーミラ、相変ワラズ暴力的美!!」
ミラ
「お見事です。破壊規模はギリ保険適用外ですね」
タクミ
「逆に褒めてるんだよねそれ!?」
扉が自動的に開く。
そこは静寂の空間。
中心には、
巨大な“鎖の茨”に絡まれた青年が、
まるで祈るように両腕を組まれて固定されていた。
その瞳は閉じており、
もう何年も光を見ていないような静けさ。
タクミ
「……勇者アレックス生きてる?……」
ゆっくりと、青年が目を開く。
アレックス
「……誰だ……?
ここは……もう地上じゃないのか……
外の世界は……まだ、救えるのか……?」
タクミは息を呑む。
ミラ
「生命反応、正常。でも精神疲労は限界ですね」
リーナ
「助ケナイト……!」
タクミ
「勇者アレックス。あなたの処刑は“3ヶ月後”だ。
だがその日こそ“唯一の脱獄チャンス”だ」
アレックス
「……処刑の日?
なんでそんな日がチャンスに……?」
タクミ、一歩前へ出る。
タクミ
「理由はひとつ。
その日だけは、外までの進路が“完全に解放される”からだ。
処刑場への運搬ルートは
看守も監獄装置も“停止状態”になる。
逃げるなら、その日しかない。」
アレックス「……!」
カーミラ
「全力で脱獄させる。」
ミラ
「処刑行列は公衆の前を通ります。
妨害はしにくい。追跡は遅れるでしょう」
リーナ
「アナタを守ル!!絶対ニ!!」
タクミ
「つまりその日は“処刑”じゃなく、“帰還の日”になる。 」
アレックスは静かに、震える声で尋ねる。
アレックス
「……本当に……外へ戻れるのか?」
タクミ
「戻る。戻す。
勇者の力はまだ必要だ。
世界は、お前を待ってる」
短い沈黙。
やがてアレックスは、
ゆっくりと微笑んだ。
アレックス
「……わかった。
信じる。
3ヶ月後……地上で会おう」
タクミ
「決まりだな。脱獄計画、始動だ!!」
背後で鎖がガチャリと動き出す。
カーミラ
「タクミ、急げ。看守が来る」
ヴァン(まだ燃えてる)
「ハァ…ハァ……影が……もっと血を求めている……!」
タクミ
「お前は一旦落ち着けぇ!!」
こうして
勇者アレックス救出作戦《処刑日に脱獄プラン》が始まった。
地獄の鎖が音を立て、
脱獄の運命がゆっくりと動き出す……!




