第3章 「黒塗り階層 ― 勇者アレックス封印室へ」
黒塗り階層入口
階段を降りるほどに、空気が重く、冷たく、黒く……
まるで目の前に“何もない”闇が張り付いているようだった。
タクミ
「ここ……ほんとに刑務所なの?色からしてもう罪悪感MAXなんだけど…!」
ミラ(冷静)
「黒塗り階層は、記録上“入ったら出てこないフロア”。
所長ガルドロスでさえ“仕事したくないから行かない”と言っていました」
タクミ
「仕事したくないって理由で避ける場所!?もう確実にヤバいじゃん!!」
カーミラ(無言で拳を握る)
「……臭う。命を閉じ込める魔法だ」
ヴァン(恍惚)
「闇……影……精神のざわめき……すべてが僕を歓迎している……!」
リーナ
「歓迎シテルノ怖ッ!!」
ギミック①:重力がランダムで反転する廊下
一歩踏み出した瞬間――
ゴンッ!!
タクミ
「痛ッ!?なんで天井に頭ぶつけ……って浮いてる!?宙に浮いてる!?!?」
重力が突然逆転し、全員が天井へ“落ちていく”。
ヴァン
「ふふふ…逆さまの世界……影が足元にない……興奮する……!」
タクミ
「おまえだけ楽しそうだな!!?」
リーナ(宙に漂って回転)
「ワタシ、妖精だから落チナイ!……と思ッタラ落チテル!!なんでぇ!」
ミラ
(重力計のような魔導機を取り出す)
「タクミさん、ここは“1分ごとに重力方向がシャッフルされます」。
つまり――次は壁に落ちます」
タクミ
「壁!?なんで壁に落ちる必要あんの!!?俺の命の方向自由すぎる!!」
カーミラ
(タクミの襟首をつかんで固定)
「黙ってろ。落ちても私が拾う」
タクミ
「……惚れてまうやろ(死ぬ寸前だけど)!」
ギミック②:記憶が1分ごとに書き換わる監獄
次の部屋に入ろうとした瞬間、警告音が鳴る。
〈警告:この部屋では“1分ごとに記憶が上書き”されます〉
タクミ
「嫌な予感しかしない……」
一歩入った瞬間
1分後
タクミ
「あれ?ここどこ?俺なんで監獄に?ていうかなんでカーミラに手を掴まれてるの?」
カーミラ
「おまえが忘れるから握ってる。文句言うな」
ヴァン
「タクミぃ…覚えてる……?
僕が影を部屋中に撒いて“記憶固定陣”を貼ったこと……!」
タクミ
「え、そんなことしたの?天才じゃん!」
ミラ
「その代わり、ヴァンさんの記憶が上書きされました」
ヴァン
「………誰だお前ら」
タクミ
「おまえかぁぁぁぁ!!!」
リーナ
「アハハ!ヴァン、完全初期化!!たのしい!!」
カーミラ
「笑うなリーナ。どうにか再起動するぞ」
ミラ
「大丈夫です。“中二病モードに戻す”という再起動スイッチがあります」
タクミ
「そんな便利装置あるの!?!?」
ミラ
(ヴァンの影触角をポチッ)
ヴァン
「……我が影胎よ……蘇れ……ッ!
闇の深淵こそ我が魂、永劫ノ契約を――」
タクミ
「戻ったああああああ!!」
ギミック③:心理攻撃型看守魔物
黒いもやが動いたかと思った瞬間――
「――君、また失敗するよ」
タクミ
「急に心に刺さること言うのやめて!?!?」
黒い看守霊が囁くように近づく。
メモリーイーター
「お前の計画、全部失敗する。
アレックス?どうせ救えない。
お前は“何もできない凡人”――」
タクミ
「言い方ァ!!?」
カーミラ
(無言で霊体に拳を叩き込む)
「タクミは私たちの仲間だ。黙れ」
メモリーイーター
「ひっ!?なにこの女、心が黒すぎて食えない!!」
ミラ
「心食べられないほど黒いんですね、カーミラさん」
カーミラ
「褒めてるのか?」
ミラ
「事実を言いました」
ヴァン
「うふふ…もっと影を喰わせろ……!」
メモリーイーター
「いやああああ影だけは無理ィィ!!」
霊体が泣きながら消える。
タクミ
「精神的圧勝すぎんだろうちのメンバー!!」
ついに黒塗り封印室へ
重力逆転を乗り越え、
記憶上書き地獄を突破し、
心理攻撃の看守魔物を撃退し、
黒い鉄扉が現れる。
ミラ
「ここが“勇者アレックス封印室”。
監獄島最深部の、最も危険な場所です」
カーミラ
「……アレックスの気配が、微かにする」
タクミ
「ついに……見つけたんだな」
リーナ
「扉ナラ、ワタシ開ケルヨ!!(バチバチバチッ!!)」
ヴァン
「リーナ!それ爆発する扉だから触るな!!」
リーナ
「えっ!!?」
ミラ
「タクミさん、次の任務です。
“爆発扉を安全に開ける方法”を今すぐ考えてください」
タクミ
「待って!俺の頭まださっきの心理攻撃でへこんでるんだって!!?」
だが、その直後
扉の向こうから
“助けてくれ” と微かな声が響く。
カーミラ
「……アレックスだ」
タクミ
「よし……行くぞ!!絶対 助ける勇者を助けるぞ!!」




