第6章 「破滅の森の暴走 ― ランプーン封印作戦」
破滅の森の中心、“滅びの樹”が黒い瘴気を噴き上げ、
空全体がまるで巨大な闇の口のように開きはじめた。
魔人ランプーンの嘲笑が森じゅうに反響する。
ランプーン
「さあ地獄の開幕だ。
この森の魔獣どもをすべて S+ランク に進化させてやる…!」
直後、森の獣たちが一斉に悲鳴を上げ、
筋肉が膨張し、牙が伸び、目が血のように赤く光る。
タクミは震える。
「ちょ…待って。あんなの観光ルートどころか、災害指定だろ…!」
ミラは冷静にタブレットを撫で、さらりと告げた。
ミラ
「タクミさん。保険料、
たった今、“国家予算レベル” に更新されました」
タクミ
「いやもう保険って概念じゃねえよそれ!!」
破壊の森+S魔獣軍団、突撃!
木々をなぎ倒し、巨獣が咆哮しながら迫る。
その瞬間、カーミラが一歩前に出た。
目が紅く発光し、無表情のまま拳を鳴らす。
カーミラ
「殲滅する。」
ヴァンが両手を広げ、血の炎を噴き上げた。
燃え盛る炎が彼の影を巨大化させ、森一帯が赤黒く染まる。
ヴァン(中二病MAX)
「戦いの刻…降臨。
我が宿命、ここに極まれり!
死神の断罪!!」
地面の影が波のように広がり、
S+魔獣の足元を絡め取った!
カーミラがそこへ突っ込む。
カーミラの必殺技
「鋼鉄の旋風連撃!」
カーミラの身体が回転し、
拳・肘・膝・蹴りが高速の連撃となって嵐を巻き起こす。
巨獣の装甲のような皮膚が粉砕され、
いくつもの閃光と爆風が森を切り裂く。
ヴァン
「さあ…もっと喰らえ!我が影胎よ、
喰らえ!喰らえ!喰らい尽くせぇぇぇぇッ!!!」
影の牙が巨大魔獣をバリバリと飲み込む。
タクミ(ビビりながら)
「おまえら二人とも怖すぎるんだよ!! ……でも助かるぅ!!」
滅びの樹の上空に、砂の塊が渦を巻いて人型を形成する。
魔人ランプーン
「無駄だ。
この森がある限り、貴様らの投資は永遠に朽ちる!」
砂嵐が広がり、魔法を乱す。
ミラがタブレットで乱気流を分析しながらつぶやく。
ミラ
「タクミさん、ランプーンの砂魔力…滅びの樹の根っこに吸わせれば逆転できます」
タクミ
「根っこ!?そんな都合よく——」
地面が震え、黒い根がゴゴゴと伸びてくる。
根「(バリバリッ!)」
※意思があるかのように動く
タクミ
「え、動くの!?じゃあ行けそうじゃん!行くわ!!」
■魔界製巨大魔法装置
《悪魔呪反転炉(デビル=リバース・リアクター)》通称:“逆転装置”
魔法を吸収・分解し、逆に森を安定化させるエネルギーへ変換する、禁断の魔界建設兵器。
■基本スペック
◆用途
・魔法災害地域の「負の魔力」を吸収し、都市インフラとして利用可能なエネルギーに転換する。
・特に砂系・瘴気系・腐敗系魔力に強い。
◆サイズ
・高さ:18メートル
・直径:12メートル
・重量:87トン
・設置には魔界基準の建築確認が必要(人間界では100%通らない)
◆必要素材
・魔界鋼鉄
・虚無石(ランプーンの魔力を吸うレア鉱石)
・滅びの樹の根(※これがコア部品)
・魔王国産・冷却スライム樹脂(爆熱防止用)
◆稼働方式
● 負魔力吸収モード
ランプーンの魔法を吸い込み、炉内部で反転処理。
● 森安定化モード
処理後のエネルギーを周囲の地脈へ還元。
地形の暴走・瘴気の噴出を止める。
● 超過負荷モード(危険)
吸収上限を超えると周辺1kmが停電し、たまに爆発。
カーミラが「……危険すぎる」と眉をひそめるレベル。
■性能(数値)
最大吸収魔力:S級魔法 3発分
砂魔法吸収効率:95%
瘴気・腐敗魔力吸収効率:72%
エネルギー反転速度:0.8秒
最大連続稼働時間:30分(過熱する)
■価格
■販売価格(税込)
4億6,800万魔界コイン(=人間界換算 約50億円)
「お金があれば、世の中の9割のものは買える」
タクミが魔界製の巨大魔法装置に飛び乗り、
滅びの樹の根っこを接続する。
タクミ
「砂魔法吸収モード……起動!!」
装置が光り、
ランプーンの砂魔力がズズズッと吸われていく。
装置
《吸収開始》
(ズオォォォォォッ!!)
砂魔法が装置の中へねじ込まれ、
内部で反転し、地脈へ白光となって逆流していく――。
ヴァン
「すげぇ…影が震えている…ッ!」
カーミラ
「これで、終わりよランプーン」
ランプーン
「や、やめろォォォ!!」
砂の身体が崩れ、形を保てなくなる。
カーミラ&ヴァン
「影纏う血夜十字陣」
ヴァンが影を十字に広げ、血炎が中心へ収束。
カーミラはその中心へ拳を合わせる。
二人
「撃滅ッッ!!」
十字の爆光がランプーンの身体を貫き、
砂の魔人は断末魔を上げながら爆散した。
静まる
瘴気が消え、滅びの樹は黒い光を収める。
タクミ
「……倒した、のか?」
ミラが微笑む。
ミラ
「ええ。タクミさんの“逆転装置”が決め手でしたよ」
ヴァンは影を引っ込め、胸を張る。
ヴァン
「ふ…勝利の味は、血のように甘美だ」
カーミラは無言でヴァンの頭を叩く。
カーミラ
「調子に乗るな」
ヴァン
「いってぇ!!血より痛ぇ!!」
タクミ
「よし!これで“危険体験型サファリツアー”が作れるぞ!」
破滅の森はついに、
狂気の観光地へと生まれ変わる準備を始めるのだった。




