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【ランキング32位達成】累計1万8千PV『異世界不動産投資講座~脱・社畜28歳、レバレッジで人生を変える~』  作者: 虫松
第三部 不動産再生 帝都《紅蓮亭》編

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第4章 「再建設計図と帝都の壁」

《紅蓮亭》の再建作業は、想像以上に過酷だった。

廃墟と化した館内には、老朽化した梁、腐った床板、ほとんど使い物にならない風呂釜や洗面台。

帝都の上級階級に受け入れられるためには、単なる修繕では足りない。


タクミは資料を広げ、設計図を前に頭を抱えた。


「……資金が底を尽きるまで、あとどれくらい残っている?」


カミーユがため息交じりに答える。

「あと三ヶ月分の家賃の支払い分しかありません。このペースで材料を買えば、最初の棟梁にも払えませんね」


タクミは窓の外を眺める。帝都の街は喧騒に満ち、商人や貴族たちの豪奢な宿が立ち並ぶ。

その中で《紅蓮亭》を再生するには、安易な模倣では勝てない。


「そうか……他のホテルに潜入して、最新設備を体験してこよう」


数日後、タクミは帝都の新鋭ホテルを視察。

煌びやかな大理石の廊下、魔法で自動制御される温泉、空調と香りの魔法で整えられた客室。

便利すぎる異世界ホテルの数々に、タクミは思わず息を呑む。


「同じことをしても、紅蓮亭には勝てない……独自の“おもてなし”が必要だ」


戻ると、街角の掲示板に手書きの求人広告を貼った。

『紅蓮亭 再建スタッフ募集、経験不問、訳あり歓迎』


翌日、やってきたのは、個性豊かな若者たちだった。


元スリ少女リタ:鋭い観察力と盗みのテクを持つ、街の裏道にも詳しい

戦争帰りの料理人ボルク:腕は確かだが心に傷を抱える

口の悪い妖精メイド・ピピ:小柄だが瞬発力抜群、掃除・サービス魔法も扱える


タクミは心の中で呟いた。

「……これで“訳ありチーム”の完成だ」


作業初日。廃墟の屋根裏からはネズミが飛び出し、腐った床の下は沈む。

リタは器用に古材を運び、ボルクは魔法で温度管理を行いながら厨房を再生、ピピは小さな体で天井のほこりと魔除け符を掃き集めた。


だが、そんな中、噂が耳に入る。


帝都最大手グランドロイヤルが、新築の超豪華ホテルを建設中だってさ」


タクミは目を細めた。

「……帝都での勝負は、想像以上に熾烈になりそうだな」


リタが小さな声でつぶやく。

「……でも、私たちで紅蓮亭を蘇らせるんですよね?」


タクミは頷いた。

「もちろんだ。ここは、誰でも笑って泊まれる宿にする。金や権力じゃない、心で勝つんだ」


こうして、訳あり若手とベテランのカミーユを中心に、《紅蓮亭》再建の波乱劇が幕を開ける。

帝都という大舞台で、異世界転生者タクミの“独自のおもてなし戦略”が試されることとなる。


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