第4章 「階層調査開始 ― 地獄の1000階点検ツアー」
タクミたちはついに、魔界1000階ダンジョンの全階層点検ツアーを開始した。
現場の惨状を把握しない限り、補修工事どころの話ではない。
エレベーターは500年前に壊れていて、当然歩く。
カーミラが最初にぼそっと言う。
カーミラ「……歩きづらい。」
足元には瓦礫、天井からの落石、謎の粘液、爆発痕。
洞窟全体が “歩きづらい” の限界突破。
100階:ゴブリンの暴動階層
扉を開いた瞬間、ゴブリンが横断幕を掲げて暴れていた。
「労働時間を短くしろ!」
「トイレ増設しろ!」
「給料を“金貨1枚→金貨2枚”にしろ!」
タクミ
「要求、意外とまとも!? そして地味に高い!」
リーナ
「経費ガ……経費ガ……赤字」
胸を押さえ、数値が見えるように目が光る。
(現在:赤字 237万魔界コイン)
ヴァンは剣を構え、
「闇に堕ちた哀しき民よ……我が名が救いとなろう……」
と中二病全開でつぶやく。
ミラ
「やめて、刺激したら暴動激化します」
300階:毒沼ゾーン(腐臭MAX)
階段を降りると、鼻が曲がる腐臭。
沼一帯が青紫に泡立ち、気泡が弾けるたびに悪臭が爆発。
ミラ
「……浄化設備の稼働率0%。
この臭い、たぶん魔界の法律に……いや、宇宙法にも違反します」
タクミ
「宇宙法!? そんな危険レベル!?」
リーナ
「コノ臭イ……観光客来ナイ……赤字……赤字…………(2回目の過呼吸)」
カーミラは無言で毒沼を避けて歩くが、足元の瓦礫がガラガラ崩れる。
カーミラ「……歩きづらい。」(本日2回目)
500階:地獄の“床なし”スライム階
階の扉を開いた瞬間、全員の歩みが止まる。
床がない。
全部スライムが溶かして“海”になっている。
スライム
「ぷるん♡」
ミラ
「安全基準どころじゃありません!! この階……“概念としての床”が存在しません!!」
タクミ
「概念消滅……そんなのあり!?」
ヴァン
「大丈夫だ……! 我が影歩法なら、空を歩ける……!」
→ 実際は2歩で落下
→ スライムが嬉しそうにぷるぷる震える
リーナ
「転落事故……労災……補償金……赤字ァァァ!!」
(赤字:782万魔界コインに上昇)
800階:古代魔法陣の誤作動で“毎日爆発”階
次の階へ降りると、
ボンッッッッ!!!
と爆音。
床一面の古代魔法陣がバグって光り、
「起動 → 暴発 → 再起動」
を永遠に繰り返している。
ミラ
「これは……“毎日爆発”じゃありません。
毎秒爆発です……!」
タクミ
「何それもうテロ施設レベルじゃん!?」
ヴァン
「フッ……爆炎の洗礼、我が魂を焼き尽くせ……」
(実際は髪の毛がチリチリに)
リーナは爆風で計算機が壊れ、
「修繕費……想定外……破産……破産ッッ!!」
と三度目の絶叫。
カーミラは爆発の衝撃で瓦礫が足元に転がってきたため、
そっとよけながら一言。
カーミラ「……歩きづらい。」(本日3回目、しかも最も真理)
タクミ
「1000階全部……この調子ってこと……?」
ミラ
「はい。労災保険料の試算が……銀河レベルまで跳ね上がっています……」
リーナ
「銀河規模の……赤字ッ……!!!」
(赤字:推定1億4000万魔界コイン)
ヴァン
「ならば……我らの魂で黒字を刻むのみ……」
※誰も意味がわからない
カーミラは溜息をつき、ひたすら瓦礫を避けて歩く。
カーミラ「……本気で歩きづらい。」




