第2章 「竜族の地主たち ― 契約の壁」
竜王半島の荒れ果てた大地を進むタクミたち。不規則に裂けた地面、吹き上がる火山の煙、赤く輝く溶岩の川。景色は絶景だが、まさに地上最凶の不動産投資フィールドだった。
タクミがマップを広げる。
「まずは地主たちに面会だ。契約なくして、リゾート開発は始められない」
カーミラはじっと竜たちを観察し、一言。
「……危険」
ヴァンは空を見上げ、両手を広げて叫ぶ。
「我が中二病パワーよ! この炎と闇に打ち勝つ勇者の魂を見せてやる!」
リーナはキラキラ光る竜の鱗を拾い上げ、目を輝かせた。
「タクミ! この鱗…売ったら絶対金になるよ!」
ミラはタブレットを取り出して解析。
「土地の条件を整理します。火山口近くは飼料提供必須、オーシャンビューを妨げる樹は切らせない、咆哮による損害保証も必要です」
タクミはため息をつく。
「なるほど、契約の壁は厚いな…」
やがて半島各地の竜族が姿を現す。巨大な鱗の盾に、牙を覗かせ、羽を広げた姿は圧倒的威圧感。
一体目の竜族が低く唸る。
「火山口の近くに建てるなら、毎日我々の飼料を提供せよ」
二体目が翼を広げて怒鳴る。
「オーシャンビューを邪魔する樹は絶対に切らせぬ!」
三体目が咆哮すると地面が小さく震えた。
「咆哮による損害は保証せよ! でなければ開発は認めぬ!」
ヴァンは胸を張って叫ぶ。
「ほほう…ならば我が闇の契約書で貴様らの魂を封じてやる!」
リーナは横で舌を出す。
「やめろ!金にならない話はやめろ!」
タクミは苦笑いを浮かべ、落ち着いた声で言う。
「みんな、まずは冷静にデータ分析しよう。理屈と誠意で交渉するんだ」
カーミラは一言。
「……信用」
ミラはタブレットを叩きながら、竜族の要求を整理する。
「ここで妥協案を出せば、契約成立の可能性があります。私たちは竜の望むリゾートを具体化する戦略を立てましょう」
リーナは小さな手で竜の鱗を掲げる。
「竜さん、リゾートつくるよ! 一緒に金も稼ごう!」
こうして、タクミ不動産投資チームは新たな“未開の地”
竜王聖域
へと踏み込むのであった。
景色は神級、温泉も金鉱もある。
しかし
竜族が暴れすぎて大地はいつも更地
火山帯と地割れは毎日更新
不動産評価額が朝と夕方で違う
竜族の地主は契約にうるさすぎる
まさに地上最凶の投資エリアである。




