第8章 「心理戦 ― CEOプーチンとの直接対決」
妖精群島の夜空には、プーチン・オレルアンのリゾートホテルが煌々と光っていた。
その“最上階、黄金の会議室”。
タクミは、ただ一人で呼び出された。
扉が開くと、
そこにはプーチンが深紅の革張りの椅子にふんぞり返り、
高層階の夜景を背に、氷のような眼光を光らせていた。
プーチン
「よく来たな、タクミ。
不動産王である、私のホテルに喧嘩を売るとは随分胆の据わった男じゃないか。」
タクミ
「喧嘩じゃありません。
あなたのやり方が、この島を壊しているんです。」
プーチンの口角がにやりと動く。
「壊す? 違うな。
“開発”だよ。
弱小の妖精どもが守ってきた原始の島を、
私がこの手で世界最高峰のエンタメに作り変える。
それが何か悪いか?」
巨大スクリーンには、オレルアンホテルの豪華施設や莫大な売上データが映し出される。
完全なる“実力のマウント”だ。
タクミは一歩、前に出る。
タクミ
「金で作れるものは確かに凄い。
豪華施設も最高級エンタメも、あなたの資本力なら容易でしょう。
でも
心は作れません。
信頼は金では買えない。
観光の根幹はそこです!」
プーチンの眉がわずかに動く。
タクミは畳みかける。
「フェアリーホテルは小さく、地味かもしれない。
けれど、ここには“嘘をつかないサービス”がある。
妖精たちが胸を張って働ける職場がある。
詐欺ゼロ特区は、あなたのホテルには絶対に真似できない“信頼のブランド”です!」
プーチン
「黙れェェェッ!!!!」
その声は会議室を震わせた。
プーチン
「信頼? 心?
そんな曖昧なものに何の価値がある!!
客は豪華さを求める!
刺激を求める!
金を払った分の“派手な非日常”を求めるんだ!」
彼はテーブルを拳で叩きつけた。
「私のホテルは世界のどこよりも煌びやかで、
どこよりも快適で、
どこよりも強い!
お前のケチで貧相な“地元密着のおもてなし”など、
金と力でねじ伏せてやる!!」
タクミ
「……残念です、プーチンさん。」
プーチン
「何が残念だ!!」
タクミ
「ホテルを愛する者なら、
本当はもう気づいてるはずです。
“豪華さだけでは、人の心は掴めない”って。」
プーチンの表情がわずかに硬直する。
タクミ
「あなたは間違ってます、プーチンさん!!
ホテルは戦場じゃない。
ホテルは人の“帰る場所”、
“癒される場所”、
“思い出が生まれる場所”なんだ!!
そこに嘘があっちゃいけないんですッ!!」
会議室の空気が震える。
プーチンは荒い呼吸でタクミを睨みつけるが、反論できない。
タクミ
「確かに、金も、設備も、広告も、
あんたのホテルには敵わない。
だが俺には……
お客様の満足した笑顔がある。
そして、
ここに生きる者たちの誇りを預かっている!」
声が部屋に響いた。
プーチンは拳を握りしめ、
机をドンッと叩く。
プーチン
「リゾートホテル戦争に負けたくせに偉そうに言うなぁッ!!」
プーチン
「タクミ、認めろ。
お前は負けた。
観光客は我がオレルアンに流れている。
宣伝力でもサービス力でも圧倒的差だ!」
タクミ
「……まだ、負けてない。」
プーチン
「負けを認めろ!!
そして……
オレルアンホールディングスの傘下に入れ。
フェアリーホテルの経営権は私が握る。
お前は支配下で働けばいい。」
タクミ
「断る。」
一言で。
プーチンの笑みが消えた。
プーチン
「今、何と言った……?」
タクミ
「断ると言った。
俺はお客様の心を裏切らない。
仲間も妖精たちも裏切らない。
ホテルをあなたに売るぐらいなら、燃やす方がマシだ。」
沈黙。
数秒の静寂のあと、
プーチンは顔を歪ませ笑い出す。
プーチン
「ハハハ……
いいだろうタクミ。
ならばこの島で、生き残れるかどうか……
勝負はこれからだ。」
タクミ
「望むところだ。
俺はフェアリーホテルを守る。」
ふたりの視線が重なり、
会議室の空気が震えた。
プーチン
「タクミ……そのホテルごと破産しろ!
お前を完膚なきまで叩き潰す。
この島ごと、オレルアンの色に染め上げてやる。」
タクミ
「俺は絶対に屈しない。
フェアな観光と、この島の笑顔は、
絶対に守り抜く。」
魂と魂の戦い。
この瞬間から、
妖精島ホテル戦争は“本当の戦争”へと変貌するのだった。




