第7章 「妖精たちの反乱 ― 地元勢力が目覚める」
妖精島の奥深く、巨大な妖精樹の根元で、タクミ、ヴァン、カーミラ、ミラ、そして妖精王と仲間たちが顔をそろえていた。
夜の森は静かだが、遥か彼方の海沿いからは、プーチン・オレルアンの“おそロシアンホテル”がまき散らすショー音響とプロモーション花火が轟いていた。
まるで島を呑み込む獣の咆哮のように。
妖精王が、ぷるぷる震えながら拳を握りしめる。
怒りの決起…しかし声が弱い
妖精王「ワレワレ、もうガマンできまセーン!! 妖精島は…妖精ノモノーッ!!」
周囲の妖精たちが一斉に
「オオオオオッ!!」
と声を上げるが、そのほとんどが身長20センチの小さな妖精。
威勢だけは良いが、プーチン軍の重機を前にすると力の差が歴然だった。
リーナが小さな胸を張り、
「タクミ! ワタシタチ戦ウノ! 島ノ誇リヲ取リス戻!」
と宣言すると、タクミは苦笑しつつも頷いた。
タクミ「…よし、地元勢力の反撃だ。みんな、やれる範囲で“やりすぎない妨害”にしてくれよ?」
妖精王「セーフティ第一! モラル大事!!」
妖精たちは散り散りに飛び立った。
■作戦名:フェアリー式・おそロシアン妨害大作戦
① 詐欺案内作戦
妖精たちは観光客の前にふわっと現れ、
かわいらしく道案内するフリをしつつ…
「こちらデ、すっごい人気スポット!」
(→ただの湿地帯)
「ここ超絶インスタ映エー!」
(→サルの群れの前)
結果:観光客は大混乱。 Googleレビューが一瞬だけ★1に。
② 詐欺アトラクション作戦
妖精たちが木の枝に魔法のホタルを吊り下げ、
「期間限定! “フェアリー・ナイト・ツアー・ロシアン版”デース!!」
と偽アトラクションを開く。
しかし中身は…ただの“森の夜散歩”。
それでも観光客は意外と感動してしまう。
③ 自然魔法を利用した微妨害
・オレルアン兵士の靴下が一斉に行方不明になる
・戦車の上に鳥の巣ができる
・ホテルの前に大量の光るキノコが生えてしまう
・重機のクレーンが“なぜか”上を向いたまま動かなくなる
妖精たちが大喜びする一方、現場は大混乱。
しかし。
プーチンは妖精の妨害を見て眉一つ動かさず、静かに命じた。
プーチン「兵士を倍増しろ。島の“微妙な不具合”をすべて取り締まれ。」
その瞬間、浜辺から重武装の兵士たちが雪崩のように森へ向かった。
オレルアン兵士
「そこ! 無許可ガイド行為! アウト!」
「その光るキノコ、天然記念物だろ! 保護対象だ!」
「勝手にルート変更すんな! 観光法に違反だ!」
妖精たち
「キャーーーッ!!」
「に、にげるデース!!」
「うわ、こわいこわいこわい!!」
リーナが叫ぶ。
「ヤメテ! 妖精ハサギヲシテルダケ悪イコトシテナイ!!」
兵士は冷静に返す。
「妨害は妨害だ。さぁ、戻ってもらおう。」
妖精たちは山の奥へと退散。
反撃作戦は、残念ながら失敗に終わった。
夜の森。
タクミの前に、しょんぼりした妖精王がぽふっと座り込む。
妖精王「タクミ…もうムリデス……。強すぎマス……。
我々、資本ト軍事に勝テナイヨ……」
タクミは深く息を吐き、彼の背中をそっと支えた。
タクミ「まだ終わったわけじゃない。
こっちだって仲間は増えてる。
ここからが本当の勝負だよ。」
リーナも涙目でタクミの肩にとまり、
「タクミ…私たち、信じてる…!」
その瞬間、島の夜空に、再びプーチン・オレルアンのホテルの花火がド派手に打ち上がった。
それはまるで
「妖精島はオレルアンのものだ」
と宣言するかのように。
タクミたちは炎のような花火を見つめながら、
次なる反撃を静かに決意するのであった。




