第1章 「プーチン来襲 ― 妖精たちの悲鳴と黒船来航」
南の海、妖精群島の静かな朝。
青い波がきらめき、花畑の光がそよ風に揺れる。
その平和を裂くように、水平線に巨大な影が現れる。
黒光りする巨大クルーザーが海を切り裂き、赤い旗とプーチン・オレルアンのマークがはためく。
小さな妖精たちは背筋が凍る。
「な、なにあれ…!?」
「こ、これは…オレルアンの印…!」
妖精王も顔を真っ青にして叫ぶ。
「カエレ! カエレ! コノ島、ワタシ達ノモノ…!」
しかし黒船の甲板には整然と並ぶロシアン兵と、砂浜を踏みつぶす巨大戦車が待ち構えていた。
「わわわ! う、嘘でしょ…こんな数…!」
「石を投げても…まったく効かない…!」
タクミは崖の上から双眼鏡を覗き、息を呑む。
「……黒船ペリーもびっくりだな…」
ヴァンはマントを翻し、暗黒剣を握りしめる。
「闇よ…闇よ…奴は、我らを超えた暗黒……!」
妖精たちは小さな体で石や貝を投げつつ、必死に叫ぶ。
「誰か助けて!」
「島を返してー!」
「軍事支配だ…こんなもの…!」
花畑の光が揺れる中、ひとりの小さな妖精リーナが現れる。
ティンカーベルのように小さく光を放ち、タクミに向かってウィンクする。
「タクミサン、ワタシ、テツダウ!」
カーミラは一言。
「……殴る」
ミラは手帳を開き、冷静に分析する。
「砂浜に配置された戦車と兵士…無理です、このままでは…」
黒船から降りる戦車が砂浜を踏みしめ、妖精たちの投げた石は粉々に砕ける。
プーチン・オレルアンは冷ややかに笑う。
「この妖精島は私の物だ、私の計画に逆らうことは許されない。妖精よ、タクミよ震えるがいい」
タクミは拳を握りしめる。
「……絶対に黙って見過ごすわけにはいかない…!」
波間に浮かぶ黒船とロシアン兵、戦車のキャタピラが砂浜を踏みつぶす音は、まるで歴史に残る恐怖の象徴のよう。小さな妖精たちの必死の抵抗も、圧倒的な武力の前ではかすかな悲鳴にすぎなかった。
まさに、おそロシアン来襲!妖精群島、島は震えあがった。
こうして、島の平和は一瞬にして崩れ、タクミたちの戦いの火蓋が切られた。




