第8章 「妖精王との最終交渉 ― 詐欺なし契約を作れ!」
かつて妖精の島は、純粋さで満ちあふれ、人間の旅人が来るたびに「これもどうぞ」「あれも差し上げましょう」と施し続けた。
だが、純粋さは時に牙をむく。
欲深い人間たちは、妖精たちから宝も土地も魔力も、全部“良心”ごと奪っていったのだ。
生き残るため、妖精たちは考えた。
「もう騙されないようにしよう」
そうして生まれたのが、“疑う文化”。
やがてそれは進化しすぎて、気づけば島の言語そのものが “詐欺” になっていた。
長老は語る。
「正直者は島から出て行った。嘘つきだけが生き残ったんじゃ」
そんな歴史があった。
◇◇◇
タクミは再び妖精王の玉座へ
タクミ
「妖精王。都市開発の件で、再交渉をお願いします」
妖精王は、豪華すぎる王冠をキラリと光らせ、
ニヤァァァ……と笑った。
妖精王
「また来タカ、人間。コノシマデ、生きて帰れマシタネ?」
タクミ
「それを言わないでください」
ヴァン
「俺は精神がまだ迷宮に閉じ込められてるんだが?」
妖精王(無言で微笑む)←この微笑みだけで皆に「もう騙されるなよ」と伝わる
タクミ
「妖精王、もう騙し合いはやめましょう。
*“詐欺なし契約”を作りませんか?」
妖精王
「ノー詐欺?
Impossibleデース!!
詐欺シナイト妖精死にマス!」
タクミ
(そんなデ〇ノートみたいな生態系!?)
ヴァン
「呼吸するように嘘ついてるもんな!」
タクミは一瞬考え、
悪魔のような笑顔を浮かべた。
タクミ
「じゃあ
“詐欺してもいい契約書”を作りませんか?」
妖精王
「…………」
王の目がカッと見開かれ、玉座からずり落ちる。
妖精王
「それ……可能デース!!」
ヴァン
「いやおかしいだろ!!!」
契約書ドラフト案を提示
タクミ
「では、双方が“詐欺してもOK”と明記した契約書を……」
妖精官僚A
「詐欺前提で契約って何語デスカ?」
妖精官僚B
「条文を読んだ瞬間、嘘になる条文どう書くデス?」
妖精王
「条文1!
“互いに相手を絶対に信用しないこと!”」
ミラ
「スタートから友情が死んでる!」
ヴァン
「契約破り放題じゃないか!」
妖精王
「条文2!
“詐欺を詐欺だと思った瞬間、それは詐欺ではない”!」
タクミ
「哲学かよ!」
妖精官僚C
「もはや詐欺学デスネ」
妖精王
(無言で「これもう都市開発関係なくね?」と言っている)
妖精都市開発の平和条項
タクミはあえて、真正面から書いた。
タクミ
「条文X。
“都市開発地区のみ、詐欺行為を禁止とする。
違反すると詐欺力が全部吸われる”」
妖精王
「スカムエネルギー全部!?
妖精、ただのピュア生物に戻りマス!」
タクミ
「だからこそ、みんな都市開発地区では真面目に働くんです」
妖精官僚たちはざわつく。
「詐欺しないの怖い……!」
「でもスカム吸われたらもっと怖い……!」
ついに妖精王は玉座を叩いた。
妖精王
「契約、成立デース!!
妖精都市開発は“詐欺ゼロ特区”でやりまショウ!」
契約書にサインしながら、妖精王はタクミをじっと見た。
妖精王
「アナタ……
悪魔ヨリ悪魔ネ……!」
ヴァン
「それ褒めてないからな!?」
ミラ
(無言で親指を立てる)
タクミ
「さあ、これで本当の妖精の都市開発が始まる!」




