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12/12全話完結【ランキング32位達成】累計3万3千PV『異世界不動産投資講座~脱・社畜28歳、レバレッジで人生を変える~』  作者: 虫松
第十五部 妖精群島開拓編

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第1章 「詐欺と楽園の境界線 ― 未開地へ旅立つ異世界不動産投資」

南方の海に浮かぶ“妖精群島”。


地図では青い海に囲まれ、白砂のビーチに常夏の花が咲き乱れ、

誰もが「絶対に開発すれば大儲け」と思う夢のリゾート地。


だが、その名前を口にするたびに、

人間と魔界の不動産業界では必ずこう言われる。


『妖精は信用するな。景色を信じろ。妖精は信じるな。』

〈噂1〉契約書は開いた瞬間にサイン済みになる。


読むと同時に契約が成立する“呪いの仕様”。


読み終わらなくても、開いた時点でアウト。


不動産屋がこう言ったとされる。


「妖精の契約書は読む時間より後悔の時間のほうが長い」


〈噂2〉指をさされると借金が発生する。

妖精は冗談でもよく指をさす。

彼らに悪気はない。

文化だからだ。


だが一説によると――


「昨日笑って指さされたら、翌日には五千万の借金になってた」


という話もある。


〈噂3〉笑いかけられたら家を取られる。

妖精の“笑顔”は、

人間でいう“押印”。


旅人の間ではこう言われている。


「妖精の笑顔は自然災害。

見たらまず自分の資産をチェックしろ」


〈噂4〉花の精たちが勝手に家を乗っ取る。

妖精群島に建てた家は、気づけば花の精だらけ。

彼らはこう叫ぶ。


「ここ、私たちの巣になりました〜!」


気付けば“花の精の保護条例”により、

立ち退かせると100年の投獄。


〈噂5〉妖精の盗みは『文化』扱い。

盗むのは悪ではなく、“社交スキルのひとつ”。


旅行ガイドにもこう書かれている。


「財布は盗まれて当たり前。

むしろ盗まれなかったら嫌われています。」


魔界での総称はこうだ。

“美しき地獄島”。


タクミ、カーミラ、ヴァン、ミラは

その地獄島へ、未開の不動産を求めて旅立とうとしていた。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


魔界防塞都市を完成させたタクミは、

都市運営・防衛・治安・税務・苦情対応・住民説明会を


ALL AI結界に丸投げした。


AI結界

《了解。私は働き、あなたはリゾートの地で遊ぶ。

 効率100%。悪魔的ブラック企業ですね。》


タクミ

(……ちょっと刺さるんだよなコイツ)


こうしてタクミは、

カーミラ、ヴァン、ミラの“異世界不動産投資チーム”を連れ、

未知なる異世界の投資先へ旅立った。


目的地は、南方に浮かぶ―


妖精群島フェアリー・アーキペラゴ


白砂のビーチ、

宝石のように澄んだ海、

花々が歌い、

鳥が踊り、

空気がほんのり甘い。


ヴァン

「まるで楽園だな……!

 ここに別荘建てて一生寝てたい!」


カーミラ

「……嫌な気配しかしない。

 景色だけ良い場所は信用してはいけない。」


タクミ

「景色で油断させて、詐欺るための島だからね……」


ミラ

「ワクワクしますね! 詐欺って聞いただけで体が震えてきました!」


タクミ

「なんでお前はそんなに輝いてるんだよ!」


島の入口 “詐欺の本場”歓迎エリア


足を踏み入れた瞬間、

ひとりの小柄な妖精がくるっと回って微笑んだ。


妖精

「こんにちは旅の方♡ 結婚しますか? 契約しますか?」


タクミ

「開口一番が結婚詐欺!? 選択肢が重すぎる!!」


妖精

「どちらも♡ セットで♡ お得♡」


ミラ

「結婚詐欺、もうやってますね。

 フルコンボの可能性があります。」


ヴァン

「笑顔の破壊力がすげえ! 俺ちょっと心揺れた!」


カーミラ

「揺れるな。魂売られるぞ。」


タクミは慌ててヴァンの襟首を引っ張る。

「近づくな! 微笑みを返したら資産持っていかれるぞ!」


妖精

「“微笑み返し”確認♡

 はい、あなたの土地と家と未来の子供の名前、いただきます♡」


タクミ

「言っただけで取られたーーー!!?」


ミラ

「声に出したら契約成立なんですね。

 この島、鬼畜すぎる。」


そして、別の妖精が飛んできた


妖精B

「あなたの後ろ姿が素敵だったので……

 はい、恋愛ローン契約♡」


タクミ

「後ろ姿で借金背負わされる世界なんて聞いたことない!」


ヴァン

「おいタクミ、恋愛ローンってなんだよ!」


妖精B

「優しくするたび利率あがるローンです♡

 シンプルでしょ?」


カーミラ

「悪魔の金融商品じゃないか……」


島の観光案内板(恐怖)

“妖精群島へようこそ

 詐欺と契約は文化です

 安心して被害に遭ってね♡”


タクミ

「安心できるかーーーー!!」


ミラ

「もう好き……」


カーミラ

「分からない。この子の感性が怖い。」


ヴァン

「タクミ、これ本当に開発するのか? 人類の心折れないか?」


タクミ

「大丈夫――

 人間より詐欺が強い場所は、逆に宝の山

 こういう未開地こそ、不動産投資の醍醐味だよ!」


妖精達

「いらっしゃいませ♡ 素直な旅人さん♡

 今日からあなたは、我らの“永久お得意様”です♡」


タクミ

「お得意様って言い換えるな! 奴隷契約の匂いしかしない!!」


カーミラ

「結局……地獄の始まりね。」


ミラ

「わくわく地獄です!」


ヴァン

「……タクミ、どうする?」


タクミ

「決まってる。

 詐欺の楽園なら、逆に勝ち目がある。

 俺たちは“詐欺に負けないリゾート”を作りに来たんだ!」


妖精たち

「ふふ♡ まずは契約書を見てね♡

 見た瞬間、契約だけど♡」


タクミ

「もうやだこの島ァァァ!!」


こうしてタクミの、人生最大の“詐欺契約地獄バトル”が始まった。


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