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12/12全話完結【ランキング32位達成】累計3万3千PV『異世界不動産投資講座~脱・社畜28歳、レバレッジで人生を変える~』  作者: 虫松
第十二部 海底都市編(ウォーターワールド)

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第11章 『司令室突入 ― 巨影のCEO、絶望の覚醒』

旗艦アビサル・ホエール


海族CEOホエールが支配する巨大クジラ型戦艦。その心臓部ともいえる司令室は、黒曜石のような壁と青白い魔力管が張り巡らされ、薄暗い光が波のように揺らめいていた。


その重厚な自動扉が、轟音と共に吹き飛んだ。


「侵入確認、司令室ッ!?」


「馬鹿な! 外殻シールドを突破しただと!?」


オペレーターたちの悲鳴が響く中、

瓦礫と蒸気の煙の中から、四つの影が姿を現した。


タクミ、カーミラ、ヴァン、ミラ。


アクア=マリーナを守るため、敵の中枢へと殴り込んだ勇者たちだった。


指揮台の中央。

豪奢な黒いタキシードに身を包んだ海族CEOホエールが、

バッと立ち上がった。


その巨大な身体が震えている。

恐怖、いや、それ以上の感情が表情に走った。


「……き、貴様ら……なぜここにいる!?

 ここは、私の旗艦の中心だぞッ!!」


普段は威圧的な彼の声が裏返り、司令室中に響き渡る。


タクミは無言で前に進み、その目でホエールを射抜いた。


「お前を止めるためだ、ホエール」


「ば、ばかげているッ!

 どうやって外殻装甲を突破した!?

 どうやって増圧室を潜り抜けた!?

 どうして。どうして貴様ら、雑魚がここへ来られるんだ!!」


ホエールの狼狽は本物だった。

この瞬間だけは、敵ながら哀れに思えるほどに。


だが


その震えは、すぐに別の感情へと変わる。


ホエールは突然、腹の底から響くような笑い声を放った。


「……フフ……フハハハハッ……!」


震えは収まり、目に狂気の光が灯る。


「いいだろう……!

 貴様らは特別だ。

 私の“本来の姿”を見せてやるッ!!」


司令室全体が、一瞬、異様な静寂に包まれた。


次の瞬間


ドゴォォンッ!!


司令室の床が爆発するかのように盛り上がり、

海水が吹き上がって渦巻く。


「な、なんだ!?」

「水圧逆流警報!? 制御不能です!!」


オペレーターたちが次々と吹き飛ばされる。


ホエールの足元から、青黒い魔力が天井を突き破るほど膨張した。


「見よ……これが“深海王の血”の力よ!」


ホエールの身体がみるみる変形する。


肉体が4倍に膨れ上がり、タキシードは音を立てて裂ける。

皮膚は深海のように黒光りし、顔が歪んでいき――

巨大なクジラの骸骨のような骨面が現れた。


腕は太く伸び、ヒレ状の刃へ。

背中からは魔力管のような触手が生え、司令室の魔力炉に突き刺さる。


内部魔力炉から、力を強制吸引し始めたのだ。


「これで……貴様ら程度の小魚、指一本で潰せる」


司令室全体が鳴動する。


天井は軋み、床はひび割れ、

空気と水が混ざり合う霧が渦巻く。


ホエールの一撃。


それだけで

司令室の巨大ホールが歪んだ。


壁面がえぐれ、天井から巨大なパネルが落下。

空間そのものが揺らぐほどの圧が発生していた。


カーミラがフレームを構え吠える。


「この化け物……ッ!」


ヴァンが影剣βを構えるが、

ホエールの魔力波動が影をも弾く。


ミラはタクミの背後で必死に結界を張り、

魔力の奔流に押し戻されそうになる。


そして


「おおおおおッ!!」


カーミラがホエールに突撃する。


だがホエールは尾を一閃。


ドガァァァァン!!


フレームごとカーミラが吹き飛ばされた。

金属の巨体が壁を砕き、天井に激突し、火花が散る。


「カーミラ!!」


タクミが叫ぶが

その足元の床が急激に沈下する。


司令室の魔力炉が異常反応を起こし、

床材が崩壊し始めていた。


「タクミ様、下層が――ッ!」


「掴まれ!!」


全員が叫ぶ間もなく、


ズドォォォォン!!


床が爆発的に抜け、

司令室の巨大な空洞へと、四人の身体が吸い込まれていく。


視界が白く弾け、重力が反転したような落下感。


頭上では、完全覚醒したホエールが、

骸骨の顔でこちらを覗き込み、嘲笑っていた。


「逃げられると思うな……

 真の深海王の前では、貴様らはただ沈むだけだ……!」


落下するタクミたち。

迫り来る暗闇の下層構造。


本当の戦いは、まだ始まっていなかった。


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