第8章 「レムナント社・深海兵器部隊の襲撃 ― アクア=マリーナ絶体絶命」
深海都市アクア=マリーナ。
海底の静寂を裂く轟音が響く。
ドゴォォン! ガガガガッ! バチバチバチッ!
巨大な機械海底獣の大群が都市に迫っていた。
その数は数十、いや数百にのぼり、クジラ型の巨大戦艦から、鋭利な牙を持つサメ型自律兵器、四肢を無数に持つ蟹型機械、さらには高速潜航艇型まで揃う。
それぞれの兵器にはレムナント社の魔力増幅装置が内蔵され、都市に向かって放つ振動波や衝撃波は、海水を割るように迫る。
水圧と波動の干渉で、アクア=マリーナの建物はきしむ。壁は微細な亀裂を入れ、排水管からは逆流が始まる。
都市中央の防災管理室にタクミは駆け込む。
そこにはアクア=マリーナの市長、老齢だが気品ある小さなイルカ族の男性が座していた。
タクミは告げる。
「市長、この都市はレムナント社による耐水素材の手抜き工事、排水汚染、基礎腐食の危険が確認されました。住民の安全を守るため、法的告発を行います」
市長は眉をひそめる。
「タクミ殿……しかし、ホエールが直接監視している。この告発は……」
「だからこそ、今やるしかありません」
タクミの眼は真剣そのものだ。
ミラが魔法で告発書類を光の結界に封じ、改竄や抹消を防ぐ。
外を見ると、都市全体が水中の戦場と化していた。
クジラ型機械戦艦は都市の中央高層区を狙い、衝撃波を放つ。
サメ型兵器は高速で旋回し、住民避難ルートを妨害。
蟹型機械は港湾施設を破壊し、補給ラインを断つ。
潜航艇型兵器は都市下層の基礎に潜行し、亀裂拡大を狙う。
カーミラは巨大補強フレームを抱えて前進。
「支援必要」と無言で指示。フレームを打ち込むたびに海水の圧力が跳ね返る。
ヴァンは影剣βを抜き、遠距離から斬撃を飛ばす。
「海底の闇も、影の刃で貫く……俺を止められる者などいない…!」
だが、機械兵器の耐魔力装甲により、斬撃の大半が弾かれる。
塩分強度は改良済みとはいえ、圧力波で一時的に動きが鈍る。
深海の闇から巨大影が浮かぶ。
海族CEOホエールの旗艦。都市消滅用超高圧魔力砲を搭載した潜航戦艦が姿を現す。
「貴様らにこの海底都市を渡すつもりはない!
都市ごと吹き飛ばし、不正も全てなかったことにしてやる!!」
潜航戦艦から発せられる魔力波は、都市の浮力バランスに直接干渉する。
高層マンションは微かに傾き、排水管からの逆流がさらに加速。
住民は恐怖で叫び、避難ルートは波動により危険が増す。
タクミは瞬時に判断する。
住民避難の安全確保
ミラが魔法で避難ルートを結界化。水圧変化に合わせて浮力補正。
都市補強作業
カーミラが巨大補強フレームを一人で運び、亀裂に打ち込み都市傾斜を緩和。
告発の公正性維持
告発書類は光結界で保護、海底通信魔法で外部に告発内容を送信。
クア=マリーナ中央広場。
巨大水圧制御タワーのスクリーンに、市長の威厳ある姿が映し出される。
「住民諸君! 本日、我々の都市はレムナント社の深海兵器部隊の襲撃を受けた!
これは未曾有の事態である! ここに非常事態を宣言する!」
市長の声は水中拡声器を通して、都市全域に響き渡る。
防衛用の海底兵器、潜水艦型戦闘艇、武装機械魚人部隊が瞬時に起動。
水圧と海流に適応した兵士たちが整列する。
各隊は独自の深海装備を着用し、酸素供給装置と魔力バリアを完備している。
第一防衛隊:潜航艇群
都市外周の深海水路を旋回し、敵潜航兵器を索敵・迎撃。
ソナーと魔力波動センサーを駆使して、機械海底獣の位置をリアルタイムで把握。
第二防衛隊:水中戦闘歩兵
海族と人間の混成部隊。
高速推進ジェット装置で都市上層から下層まで縦横無尽に展開。
射撃と魔法攻撃を組み合わせ、都市内部に侵入する機械兵器を迎撃。
第三防衛隊:魔力砲台ユニット
各高層マンションの屋上や制御塔に設置された魔力砲台が、敵機械海底獣に連動攻撃。
発射される魔力弾は、水流補正と浮力補正を自動計算して命中精度を最大化。
タクミは市長の指揮室に入る。
巨大魔力制御盤を前に、都市全域の防衛システムを監視・調整する。
「ミラ、潜航艇隊の索敵情報をリアルタイム解析。敵の進行ルートを予測して反応を補正」
ミラは魔法陣を展開し、水中情報を可視化。
敵の速度、機動パターン、魔力波動の干渉まで解析し、タクミに報告する。
カーミラは都市の主要フレーム補強を最終確認。
「不正企業の攻撃に備え、ここを死守」と無言で拳を握る。
ヴァンは影剣βを抜き、遠隔魔法射撃で都市周囲の侵入ポイントを牽制。
「深海の闇も、影で斬り裂く……!」
非常事態宣言により、住民たちは避難ルートへ移動。
子供や高齢者も安全な魔力結界通路で誘導される。
住民の中には恐怖で泣き叫ぶ者もいたが、軍隊とタクミチームの指示で冷静さを保つ。
広場では水族の住民たちが集まり、市長の号令に従って秩序を維持。
遠くの水中都市部でも、防衛システムの起動音が轟き、戦闘態勢に入ったことが伝わる。
海中に炸裂する魔力波動。
機械海底獣の金属音と水圧による轟音が都市全域に反響。
潜航艇群の旋回音が水中に渦を作り、魔力砲台の閃光が深海の暗闇を切り裂く。
タクミはモニターを指さす。
「敵の主要機械体は都市中心への侵入を狙っている。
全防衛隊、即応! 住民は結界内に避難せよ!」
ミラが解析魔法で補佐し、都市防衛の全自動システムを操作。
カーミラとヴァンは物理・魔法両面で迎撃準備完了。
市長は非常事態宣言を発令。
防衛部隊は海底都市の外周を包囲し、住民は魔力結界通路に避難する。
巨大海獣の群れと機械兵器の波が都市を押し寄せ、アクア=マリーナはまさに絶体絶命の状況に。
タクミは魔力制御盤に手を置き、深く息を吸い込む。
「まだ諦めない…住民も都市も、絶対に守る!」
カーミラは補強フレームを握りしめ、ヴァンは影剣βを構える。
都市全体が水中で揺れる中、三人のチームは最後の防衛線として立ち向かう。
水中の闇を切り裂く魔力と刃の閃光、
押し寄せる機械海底獣の咆哮、
揺れる都市と避難する住民の悲鳴。
アクア=マリーナ海底都市の運命が、今、決まろうとしていた。




