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12/12全話完結【ランキング32位達成】累計3万3千PV『異世界不動産投資講座~脱・社畜28歳、レバレッジで人生を変える~』  作者: 虫松
第十二部 海底都市編(ウォーターワールド)

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第7章 「深海魔甲蟹レヴィア=シェルとの死闘 ―巨大企業の牙を砕け」

海底都市アクア=マリーナ。

中央排水区の奥で、巨大な咆哮が響きわたった。


ゴゴゴゴゴォォォォ……!


海底の汚水に反応し、

“それ”は呼び寄せられた。


深海魔甲蟹レヴィア=シェル。


甲殻は黒鉄のように硬く、

巨大な鋏はビルの壁を一撃で砕けるほど。


タクミが解析魔法を展開する。


「この獣……排水の汚染源を餌として集まる習性がある。

 レムナント社が汚水管理を放置していた結果だ!」


ミラが警告する。


「タクミ様、接近します!」


ヴァンは先陣を切り、黒刀を構えて叫ぶ。


「我が影より生まれし黒き刃よ──

 深淵を裂けええぇぇ!!」


ザシュッ!


だが、レヴィア=シェルの甲殻には

傷ひとつ付かなかった。


次の瞬間。


ブシュウウウゥ!!!


周囲の高濃度海水が霧状になって吹き上がり、

ヴァンの全身を包んだ。


「ぎゃあああああああ!!

 な、なんだこの……塩分濃度ッ……!?」


タクミ(え?)


ミラ「タクミ様……ヴァンさん、まさか……」


ヴァンは地面に膝をつき、プルプル震えていた。


「し、塩……塩分が……

 おれの“闇の細胞”の浸透圧バランスを……ッ

 崩して……ッ!!」


タクミ「要するに、塩に弱い体質ってことか」


ヴァン「言い方ァ!!!」

(深海で塩に弱い致命的体質が露呈)


ヴァンが動けない今、

〈鉄拳のカーミラ〉が一歩前に出る。


「……排除対象」


その一言で大地が揺れた。


ドゴォンッ!!!


レヴィア=シェルの巨大鋏を、

カーミラは素手で受け止めた。


ヴァン「人類じゃねえ……!」


タクミ「相変わらずだな……!」


だが相手は深海魔獣。

鋏が海流を操り、衝撃波を生み出す。


カーミラは吹き飛ばされ、岩柱に激突する。


ガシャアアアアン!!!!


それでも彼女は立ち上がった。


「……支援必要」


静かに言っているが、実際は骨が何本か折れている。


タクミが即座に判断する。


「ミラ、浄化魔法で“真水”を生成。ヴァンにかけるんだ!」


ミラ「了解です、タクミ様!」


ミラが魔法陣を展開し、

大量の清浄水をヴァンに浴びせる。


ジャバァァァッ!!


すると──


ヴァンの全身が黒く輝き始めた。


「う、うおおおお……!!

 細胞が……潤う……!!

 真水……ッ!

 これぞ我が魂のエリクサァァァ!!」


タクミ「ただの水だぞ」


ヴァン「言い方ァ!!!!!」


ヴァンは完全復活し、黒刀を構える。


「塩に屈したが……

 今の俺は“純水仕様ピュアモード”だ……!」


タクミ「そんなモードあったのか……」


ミラ「ありません、今作りましたね」


カーミラは鋏を受け止めたまま叫ぶ。


「今。撃破可能」


タクミは一瞬で弱点を見抜いた。


「レヴィア=シェルの内部は“淡水”!

 甲殻の隙間から内部に浄水を流し込めば水圧で破壊できる!!」


ヴァン「淡水……!

 同族よ……おまえの魂、浄化してくれる!!」


タクミ「同族ではない」



カーミラが鋏を押し返し、

隙間を無理やり開ける。


ゴギギギギッ!


「……開放」


ヴァンが黒刀で水流の通路を作り、

タクミが生成した大量の真水を一気に流し込む!


ドオオオオオオッ!!!


内部水圧が急上昇。


レヴィア=シェルの甲殻に

巨大なひびが入る。


ピシ……バキィィィィン!!!


深海魔甲蟹は叫び声を上げ、

そのまま大きく崩れ落ちた。


――大怪獣、沈黙。


タクミ


「レムナント社……こんな怪物まで使うとは」


ミラ


「タクミ様、CEOホエールとの直接対決が近いかと」


カーミラ


「……排除対象。次」


ヴァンは地面に座り込み、震えていた。


「深海なのに……塩が弱点の俺……

 存在意義が揺らぐ……」


タクミ


「次から真水タンク持っていこう」


ヴァン


「赤ちゃん扱いかァ!!」


ミラ


「タクミ様、ヴァンさんは乳児だったのですか?」


ヴァン


「違うわ!!!」


海底に響く、情けない叫び声。


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