第4章 「海藻タワー詰まり物件」
海底都市アクア=マリーナの光は薄く、青く揺れる水面の中、タクミたちは次の物件に向かっていた。
「ここ……入居率がゼロに近いですね」
ミラがタクミ様と呼びながら、魔法で物件を解析する。
物件は高層の海底タワー。だが、水圧に負けたかのように外観は微妙に傾き、窓には海藻が張り付いている。
「ここも海底ならではの問題です」
タクミは淡々と魔法で排水系統を調査する。
・全階で排水管に海藻が侵入
・トイレ・シャワーが逆流
・海流の影響で排水速度が不安定
住民の声も悲痛だ。
「海底なのに、トイレが水逆流……最悪です!」
「夜中にシャワーを使ったら下の階まで水が来ました!」
「詰まりをとる」
カーミラは無言で拳を握り、配管の詰まり部分を鉄拳で切り開き排除する。
ヴァンは海藻に絡まれ、叫ぶ。
「離せ……!俺は海藻に屈しない……ッ!」
ミラが魔法で排水ルートを再構築する。
「タクミ様、海藻の侵入を完全に防ぐには、周辺の海藻を全て刈り取る必要があります。費用は莫大です」
タクミは魔法査定陣を展開する。
物件概要書(魔法査定反映版)
物件名:アクア海藻タワーC-3
所在地: 海底都市アクア=マリーナ 下層区
建物構造: 耐水コンクリート+強化ガラス
階数: 10階建て
ユニット数: 50戸
現状入居率: 5%
投資価値(魔法査定)
資産価値: ★★☆☆☆(排水問題により居住性極めて低い)
利回り: ★☆☆☆☆(修繕費用が高額で回収困難)
総合リスク: ★★★★★(排水逆流・海藻侵入・建物傾斜)
特記事項
排水管に海藻侵入、全階で詰まり
トイレ・シャワーが逆流する可能性
海流で建物微振動、外壁に海藻が付着
修繕費用は高額、維持管理が大変
建物調査ポイント
配管・排水系統の海藻侵入確認
水流の安定性と逆流リスクチェック
床・壁の傾斜・損傷の確認
外観・海藻の付着状態の観察
タクミは結論を下す。
「残念だ……海藻の侵入が建物全体に影響している。維持費と修繕費を考えると投資対象としては見送りだ」
「逆流 汚い」
カーミラはで頷き、ヴァンは天を仰ぐ。
「海藻の呪い……深淵は我が力でも制御できぬか……」
ミラはタクミ様の横でメモを閉じる。
「この物件は、手を出すと損失が大きすぎます。投資家としての判断は正しいです」
海底都市の深淵は、まだまだタクミたちに新たな試練の物件を用意していた。




