表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/12全話完結【ランキング32位達成】累計3万3千PV『異世界不動産投資講座~脱・社畜28歳、レバレッジで人生を変える~』  作者: 虫松
第十一部 空の世界で投資物件編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

100/238

第7章 「空層銀行 ― 支店長の強欲のマモン」

タクミとミラは、空層銀行の最上階ラウンジに通された。

そこは巨大な浮遊魔力石が宙に浮かび、無数の魔法陣が床に刻まれた異空間。


「さあ、地上人よ。何を求めて上層島まで来たのかね?」

空層銀行の頭取、マモンが椅子に腰かけ、指先で宙の金貨を自在に操る。

その金貨は、魔力を帯びたまま浮遊し、空気を震わせる。


「ここで融資を受けたい……浮遊島の修繕資金だ」

タクミは落ち着いた声で告げる。

「しかし、地上人に貸すことは基本的に不可能だ」

マモンの声には笑みが混じる。


「例外はある。だが条件は厳しい」

マモンは指先を一振りし、魔法の帳簿ゴールドアーカイブを呼び出す。

帳簿のページが風に揺れ、浮遊島の浮力・魔力バランス・住民権利が赤く光る。

「この帳簿の項目を全てクリアできれば、貸そう」


ミラが即座に分析する。

「タクミ様、財務・魔力・土地権利・住民保護……すべてを帳簿に反映させる必要があります」


その瞬間、スカイ=ハリケーンの怒りが空気を裂いた。

「タクミィィィ……地上人に貸すとは許さぬ!」

旋風が銀行の窓を揺らし、金貨の浮遊陣列を乱す。


タクミは指を広げ、魔法陣を展開する。

「住民の権利も、浮遊島の安全も、俺が守る!」

防御結界《天空権利保護法陣》が展開され、金貨の魔力も安定を取り戻す。


マモンは微笑む。

「よろしい……では契約条件を魔法バトルで決めよう」


空中の魔法陣に数字と契約条項が浮かぶ。

「この契約を正しく結ばないと、浮遊島の修繕費は無効。違反すれば資金は消滅する」


タクミは魔力を込めた筆を手に取り、空の契約魔法陣に触れる。

ミラは解析魔法を展開し、条項の落とし穴を探す。

「金利、担保、浮遊権、魔力安定……すべて完璧に調整します」


スカイ=ハリケーンが空中で竜巻を起こし、契約魔法陣を乱そうとする。

タクミは必殺魔法《均衡の契約陣》で魔力ラインを再構築し、空賊の干渉を防ぐ。


タクミが空層銀行のラウンジに立つ。

その瞬間、旋風と雷鳴が吹き抜け、スカイ=ハリケーンが空中に降臨した。


「地上人に融資を許すなど、空の秩序を乱す行為だ!

 浮遊権は空の民のものであり、力なき者には渡さぬ!」


彼の魔導翼が旋回するたび、空間に浮かぶ魔力陣が微細に変形する。

その影響で、銀行の契約魔法陣の安定が揺らぎ始めた。


タクミは冷静に魔力計測器を取り出す。

「スカイの干渉は《契約条項操作干渉》……

 単なる力押しではなく、魔力ラインの書き換えを狙っている」


ミラが解析魔法を展開する。

「タクミ様、この干渉は可視化できます。

 彼の魔法ラインを逆算して、反作用を与えれば条項を守れるわ」


空中の契約魔法陣に、光の網目状の補正ラインを張り巡らせる。

そのラインは、現実世界で言えば「リアルタイム契約監査と条項補正」そのものだ。


スカイ=ハリケーンは巧妙に契約陣の一部条項を書き換えようとする。

「貸付条件の担保価値を不正に改竄す……

 なるほど、地上人の投資家を試す高度な戦法か」

タクミは思わず呟く。


「ただの力任せじゃない……これ、まさに空の金融戦術だ」


ヴァンが上空から《闇の波動空斬》を構え、攻撃を牽制する。

カーミラは言葉少なに、契約陣の柱を押さえ、物理的安定を維持。


タクミは魔法筆を取り、契約条項に符号魔法を刻む。

「補正、逆作用、再同期……これで条項の安定率は100%に保たれる」

ミラもサポートし、魔法陣を多層防御に切り替える。


スカイ=ハリケーンはさらに高度な干渉を試みる。

「今度は契約金利の魔力値を改変して、浮遊権の権利保持者を混乱させる!」


タクミは瞬時に解析し、条項補正魔法《均衡の契約陣・上級版》を発動。

契約魔法陣の光がスカイの干渉を吸収し、反射する。

条項改変の魔力は逆にスカイ自身の魔力ラインに跳ね返る。


「なるほど……知略で返すとは、地上人も悪くない」

スカイが悔しげに呟く。

彼の旋風は弱まり、空の権利は守られた。


マモンも満足げに笑う。

「よかろう……これで、契約は完全に成立した」


数分の攻防の末、契約陣は完全に安定し、金貨は浮遊島に融資として落下。

スカイ=ハリケーンは旋風を巻き上げながらも、退却せざるを得ない。

マモンは満足げに頷く。

「よかろう……お前たち、融資を受ける権利を得た」


タクミは深く息をつく。

「住民も浮遊島も、そして契約も……守り抜いた」

ミラは微笑み、帳簿の魔法陣を閉じた。


空層銀行の上空には、金と魔力の秩序が再び静かに流れ始めた。

だが、スカイ=ハリケーンの復讐心は消えず、次の波乱の予感を残す……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ