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02「side~彩羽×雪」

 どのくらい、その場に立ち尽くしていたかわからない。すぐだったかもしれないし、何時間も経過していたかもしれない。時間の経過も測れなくなるほど、俺の頭は混乱していた。



 何故、旧世界の遺産がここにある? そんな報告は聞いたことがない。遺産目録にだって、記載はなかったはずだ。南方の連中が、コレの存在を隠していたということになる。


 何故? この「機械」がまだ動くからか? いや、「機械」の動力となる「電気」は失われて久しい。


 待て。仮に、ここの所員の中に雷を操る者がいたとしたらどうだ? 動力の供給に関しては、一応解決する。


 しかし今、動力の供給源となる能力者はいないし、能力の発動も感知できなかった。つまり、「機械」の起動は「電力」によるものでも、それに類似する能力によるものでもないわけだ。


 あれだけの光を発していた鉄の箱は、嘘のように静まり返って沈黙を守っている。試しにいくつかのボタンに触れてみたが、無駄に終わった。


 僅かに動力が残っていて、アイツが触れたことで起動し、その力を使い果たした?



 アイツが……。



 金糸雀(かなりあ)が……?




 しまった! 金糸雀がいなくなったんだ!


 知識部所属役人の悪い癖だが、一度考え出すと他事は脳内から全て排除される。金糸雀に知られでもしたら、俺の命はないかもしれない。

 気温のせいではない寒気に襲われ、追い立てられながら、彼女の捜索を開始する。


「金糸雀!」


 禁書庫全体に響くよう声を張り上げたが、虚しい谺が返ってくるだけだった。どうやら、ここにはいないようだ。

 とりあえず、所員に「機械」のことを聞くのが先決だ。闇雲に探し回った所で、労力の無駄である。非常事態こそ、冷静かつ効率的に、だ。

 彼女よりも「機械」に気を取られてしまった自分に幻滅しながら、俺は役員宿舎へと向かった。




 下っ端に聞いても無意味だろうと判断し、直接南方役所長を尋ねたが、重要な情報は得られなかった。

 能力を使って脅しをかけてみたが、「起動したことは一度もない」の一点張り。その言葉を信用するほかにない。役立たずのハゲが。


 ――一番の役立たずは、俺か。


 金糸雀が必死に伸ばした手を、掴んでやれなかった。助けを求めていたのに、応えてやれなかった。全力で守ってやると言ったのは、どの口だ。



 自己嫌悪に浸っていても、彼女は戻ってこない。いや、アイツのことだから、案外ひょっこり戻ってきているかも?


 御都合主義な淡い期待を胸に、俺は再び禁書庫へ続く階段を駆け降りた。



 地下空間に反響する俺の靴音に混じって、何か音がする。歩みを止めて耳を澄ますと、本をめくる乾いた音が聞こえてきた。


 この時間では、所員はすでに業務を終えて帰宅している。淡かった期待が色濃く膨らみ、転げるように残りの階段を降りる。


「金糸雀!」


 顔から火が出る、とはこのことだろうか。


 喜色満面で呼ばわったものの、そこにいたのは金糸雀と性別すら違う、一人の少年だった。



                            *

 時同じく、禁書庫内━。


 淡い光と共に、彼はこの地に舞い降りた。

 …いや、迷い込んだ(・・・・・)の方が正しいかも知れない。

 見慣れない風景、慣れない匂いと共に目に飛び込んできたのは大量の蔵書。しかもかなり貴重な物に見える。


(…痛て……ったく、あの(やろう)……何処に落としやがった??)


 落ちた衝撃でか、身体のあちこちが悲鳴を上げていた。幸か不幸か、Jの姿は辺りに見当たらない。

 小さく胸を撫で下ろすと、とりあえず状況を知る為に動く事にする。


(あいつ)の方は、雀たちが何とかしてくれるだろ…)


 飛ばされたのが自分で良かったと彼は思った。

 ただでさえ不慣れなJが来た処で、何も手は打てなかっただろう。だから、これで良かったのだ。自分にそう言い聞かせ、書庫の中をうろうろと歩いてみる。何か手掛かりはないか…そう思い辺りを見回していると、微かに見覚えのある物が視界の隅にちらついた。


(…閻魔庁の印…)


 奥の部屋、暗がりでよくは見えなかったがそこには箱型の「機械」のような物が置いてある。何の為の機械かは分からないが、大分古びれた機械(ソレ)は今はすでに動かないという事だけは明白だった。この場に雀が居れば喜々として修理や調査に乗り出すのだろうが…今の状況じゃあ、それも望めない。仕方なくその手掛かりは諦めて、手近にある本に目を通すことにする。


 文字が分からないのではないかと、一瞬危惧したがその心配はなさそうだ。

 一冊の本を手に取る。何とも分厚い本だった。

 それをぱらぱら捲っていると、遠くから人の足音が聞こえてくる。耳を澄まし、その足音を探る。


(相手は一人…今捕まる訳にはいかないだろ…)


 どう足掻いても、今の自分は「不審人物」以外の何物でもない。見つかれば捕まる…。迷う余地はない。ズボンの中に隠してある変形式の「警棒」を確認して息を顰める。


 その間にも、雪は少しでも多くの情報を得ようと急いで本に目を走らせていた。そして。

 一瞬影が重なり、次の瞬間知らない「眼鏡の男」が目の前に現れた…。


         *


 居残りの所員か? いや、能力が感じられない。能力所有者であるならば、それとわかるオーラのようなものを纏っているのだが、この少年にはない。


「……一般民か? 禁書庫(ここ)で何をしている」


 少年は、俺と鏡映しの怪訝な顔を返した。


「見て分からないか、本を読んでる……」

「それは、見ればわかる。何が目的(・・・・)でここにいるのかを聞いてるんだ」

「それが分かればとっくにこの場から居なくなってるよ。俺が知るか」


 こちらが苛立つと、同じ態度で返してくる。何なんだ、コイツ。役人に敬意を払わない一般民など初めて見る。


 わけのわからない言動といい、まさか――。


 ポケットから身分証明書を取り出し、少年の鼻先に突きつける。非常事態こそ、冷静に。まずは彼が何者かを知らなくてはいけない。


「東方セカイ知識部所属の、西條(さいじょう)彩羽(あやは)だ。君の身分証を見せなさい」

「東方……? 聞いたことがない地名だな……?」


 俺の要求を無視して、思案顔で呟く。その顔はとぼけている様子ではなく、本気で知らないようだった。この世界に生きていて、東方を聞いたことがないなど「人」としては有り得ない。

 ということは、この少年は「物」だ。まともな教育も受けず、世間一般の情報も遮断されたセカイで育ったのだろう。身なりはきちんとしているから、恐らく誰か「所有者」がいるはずだ。はぐれるか何かして、迷い込んでしまったか。落し物は、持ち主に返すのが筋だ。



「はい、確保。東方を聞いたことがないなんて、お前の『所有者』はその程度のことも教えてくれなかったのか?」


 腰に下げていた縄で、少年の手を素早く拘束する。不審者の逮捕も役人の仕事の一つ、手慣れたものだ。

 少年は呆気にとられて、しばらく自分の手と俺の手を代わる代わる見詰めていた。


 そして、徐に噛みついてきた。


 ……言葉と口と、両方で。


「うるせぇ! ……何が『所有者』だ。自分以外の野郎にそんなもん認めた覚えはないね」


 あまりに予想外のことで、避ける術もないまま右手に歯形を付けられる。


「いっ……! 躾がなってないな、買われたばかりか? それで逃げ出して来たんだろ。これ以上抵抗するなら容赦しないぞ、大人しくしろ」



 そう言うと、少年は不満気だったが一応抵抗するのをやめた。改めてよく見ると、端正な顔立ちをしている。

 俺の視線に気付き、少年はにっこりと笑った。うん、売りに出されていてもおかしくはないな。十分買い手がつく。



「……」


 微笑みを湛えたまま、少年はズボンから小型の警棒を取り出し、脇腹目掛けて逆袈裟に切り上げてきた。自然な動作、おまけに速い。


 厄介だな、戦い慣れてる。


 身を捻ってかわしたものの、今度はふらついた軸足を狙って足払いを掛けてくる。不安定な態勢だったが、まともに喰らうよりマシだ。無理やり跳躍して、とりあえず相手のリーチから外れた。

 着地で軽くバランスを崩す。やっぱり、無茶だったか。


「おっと! ……ふぅん、鑑賞用かと思ったけど、護衛用か?」


 手錠を掛けている状態でも、あの動き。警備部の連中とやりあっても、良い線いきそうだ。ただの「落し物」かと思って油断していたが、気を引き締めて掛からないといけないな、コレは。



「あんた……相当強いだろ。普通の人間な感じがしない……」


 向こうの方でも、俺を評価してくれたようだ。全くもって嬉しくないが。


「だから『役人』だって言ってるだろ。ただの『人』じゃないのは当然だ」


 溜息交じりに答えると、少年は俯いてしまった。手に掛けられた縄を見詰め、静かに呟く。


「あんたの言葉で言うなら、俺は『管理官』だ。……尤も、このセカイのじゃなさそうだけどな」

「『管理官』? 南方(ここ)じゃないなら、どこの所属だ?」


 問うと、少年はまた思案顔をしてあらぬ方向を見る。所属があるんだったら最初から言えよ。


「所属……。『閻魔庁』直属、記憶管理事務所内・管理局、空間移動管理官だ」

「……聞いたことがないし、『知識』にもないな。第一、身分証がない時点で不審人物確定だ」


 耳を傾けたのが間違いだったか。所属も即答できない役人など、いるわけがないのだ。思い出すふりして、捏造していただけか。それにしても、もう少しまともな嘘を吐けばいいものを……本当に無知なんだな。

 しかし、その割には口が達者だ。戦闘能力といい、何者だ?



「あっそ」


 面倒臭そうに溜息を吐く。いちいち癇に障るな、コイツ。


「ところで」

「何だ?」


 少年はくるりと向きを変え、奥の部屋にある「機械」を指示した。


「そこの、何で閻魔庁の印が押してあるものが、こんなトコに転がってんのか聞きたいんだけど?」

「その『機械』のことを知ってるのか!?」


 縛られた手で器用に頭を掻き、変わらず面倒臭そうに答える。


「だから……どう見ても閻魔庁の印が押されてんだよ。知ってるとかじゃなくてさ……」


 確かに、何かの印が押されていた。即席の嘘については出来過ぎか……?



 彼の所属を反芻し、脳内に電撃が走る。


「待て、『空間移動』とか言ってたな……」

「ああ……どうかしたか?」


 こちらの態度がおかしいとでも言うように、少年は苦笑いする。その表情が、余計に苛立った。

 乱暴に胸倉を掴み、引き寄せる。


「まさか、お前の仕業か!? 金糸雀をどこへやった!?」

「だからさ……あんた、人の話を聞かないタイプだろ……。KYだな……」


 こめかみに手を当てる仕種。本当に、癇に障るヤツ。言葉の意味はわからないが、馬鹿にされているのであろう事は察しがついた。


「あぁ!? 『けーわい』って何だ!? さっきから意味わかんねぇ事ばっか言いやがって……!」

「KYは『空気が読めない』だよ。当たってんだろ?」

「なっ!?」


 呆れているのか、見下しているのか、少年は憐みを含んだ眼をする。ついカッとなり、胸倉を掴んだ手で更に締め上げた。


「お前に! そんな事言われる筋合いな、い……」



 語気の勢いが衰えたのは、尻込みしたせいではない。手に、妙な感触があったからだ。ほぼ条件反射で、少年の胸元に目をやる。


 ……防具?


 開いた襟元からは、胸を保護するような形のモノが覗いていた。


「いやん、えっち」


 胸に視線が固定されているのに気付いた少年が、素晴らしい棒読みで非難してきた。


 男のくせに、何でこんなモノ付けてるんだ?

 少年を改めて、まじまじと見る。

 整った顔は、中性的で……どちらかといえば、女顔。そういえば身体付きが嫌に曲線的で、女みたいだな。



 ――「みたい」というか、それは、つまり。



「は!? なっ……え!? お、女!?」

「悪いが、俺にも事情があるんでね。あんたに捕まるわけにはいかないんだ」


 混乱する俺を余所に、少年、いや少女?は、俺の手を至極冷静に払った。相手の冷静さが、余計に俺の浅はかさを浮き彫りにする。いっそ、正面切って詰ってくれた方が良いのだが、彼女は見事にスルーした。微塵も気にとめた様子はない。


 やっぱり、男なのか? 一瞬期待するが、すでに俺の眼には女にしか見えなくなっていた。

 相手が気にしていなくとも、謝罪せねばなるまい。心の底では傷ついている可能性だってある。


「……悪かったな」


 謝罪せねばとは思ったが、自分の行いに対する恥ずかしさと、冷めきらない苛立ちのせいで何とも半端なことになった。

 それでも、彼女は意外そうに目を丸くする。拍子抜けしたのか、先程までとは打って変った態度に出る。


「こちらこそ……説明が足りなかった。すまない。俺……いや、私は(せつ)だ。神谷 雪」


 ああ、やはり女なのか。体温が嫌な感じに急上昇する。多分、今相当赤面しているだろう。顔から火が出る、第二弾。


「女性とは気付かず、すまない。金糸雀が……妻が消えてしまって、動転してたんだ」



 彼女はしばらく黙り込み、何か考えていた。あまり認めたくはないし、納得できないが、あちらの方が知識があるようだ……少なくとも、この件に関しては。


「悪いが状況を整理したい。奥さんの居なくなった時間と場所、それと状態を話してくれないか?」

「ああ……君の方が詳しそうだし、頼むよ。金糸雀が居なくなったのは、三十分程前。目を離した隙に、あの『機械』に触るか何かしたらしい。気が付いた時には、光に飲み込まれてた……」

「光に包まれた!? 時空転移と同じだ……そうだとしたら……」


 また、俺一人を放置してブツブツと考え込む。劣等感って、こんな気分のことなのか。まるで蚊帳の外、ひどく自分が惨めに思えた。それでも、何とか情報を手に入れなければならない。



 消える寸前の金糸雀の悲痛な声が、頭の中で鳴り響く。

 早く……早く、迎えに行ってやらないと。


「何か知っているなら……知っている限りで良い。教えてくれないか? 一体何が起こったんだ?」

「あ~……っと、そのだな……」


 冷静に見えていた彼女が、突然うろたえて視線を宙に彷徨わせる。


「頼む! 大事な女性(ひと)なんだ!」

「あ~……要するにだ。結論だけいう。良いか?」


 散々目を泳がせた結果、答えが出たらしい。頷いて先を促す。


「奥さんは無事だ」


 とても真面目な顔で答えてくれたのに失礼だが、思い切り肩透かしを喰らわされた。ある意味一番知りたい情報なのに、何だこの残念な感じ。


「……結論の『ん』あたりな回答だな……」

「あ、安否が分からないよりマシだろ!?」

「まぁ、そうだが……。無事だという根拠は?」

「時空が歪んだのを感じた時、俺はここにいた。一度に幾つもの道が開かれる可能性は、極めて低い。通常なら、同様に道が開いたと考えるのが妥当だろ?」



 彼女の話を、鵜呑みにして良いものか。コロコロ態度は変わる上に、眼が泳ぎ過ぎだ。……怪しい。


「……つまり、君が元いた場所に、金糸雀がいると推測されるわけか?」

「……多分。俺と入れ替わりで飛んだんだと思う」


 「多分」かよ。この分では、金糸雀が無事だという「結論」も危うくなってきたな。


「入れ替わったなら、元に戻ることも可能なんじゃないか?」

「……どうやって? それが分からないから、今こうしてるんじゃないのか?」


 クソ、腹立つ言い方だな。女ならもっと女らしい物言いができないのか。そんなんだから、男に間違えられるんだ。謝り損だった。

 心中では存分に毒を吐きながら、顔にはそれを出さずにおいた。また噛みつかれでもしたら、困る。


「……わかった。次は君の『事情』とやらを教えてくれ」

「事情……?」

「『俺にも事情があるから捕まるわけにはいかない』、そう言ったろ」

「ああ……それか。俺も向こうに用があるんだ……こんな訳の分からないセカイで捕まるわけにはいかないだろ?」

「訳のわからないセカイで悪かったな。君のセカイは、さぞかし素晴らしいんだろうね」


 言い返して驚く。俺にも、この世界に愛着があったのか? 今日は驚いてばかりだ、全く。そして一日馬車に揺られていた疲れが、徐々に身体を蝕んできている。精神的にも、肉体的にもそろそろ休息が欲しい。

 俺の疲労が伝わったのか、少女は困ったように俯いた。また視線を泳がせて、紡ぐべき言葉を探しているらしかった。



「話を戻そう。断定は出来ないが、奥さんが俺のいた所に飛んだなら、問題はない。あちらから帰す方法も、すぐに見つかると思う……これは真面目に」

「真面目に……ね」


 じゃあ、どれが真面目じゃなかったんだ。という揚げ足取りは、さておき。


「金糸雀は戻ってくるものとして、君はどうするんだ?」

「それを探したい。申し訳ないが、手伝って貰えないか? 俺じゃあ、不審人物以外の何物でもないしな……」


 思いがけない提案に、言葉が詰まった。即答は避けるべきだと、眠りかけの理性が警告を発する。



 この申し出を断ったとしたら、彼女は一人で行動することになる。地理も一般常識も、何も分からないこの世界で、独り。無理だろう、それは。一般民でさえ行動がかなり制限されているのに、身分証もない状態では何もできない。それどころか、警備部に捕まって処刑されるのがオチだ。


 世界に一人きりで放り出されて、命を狙われる……か。


 真意を窺う為に、彼女の眼をじっと見詰めた。彼女もまた、応えるかのように俺を見る。


 その瞳は――。



「ここで問題起こされても困るしな。それに、女の子を一人で放り出すわけにもいかない。……協力するよ」


 最初のは本音半分、照れ隠し半分。不器用だなぁ、俺。


 協力する証として、彼女の手に掛けた縄を解いてやった。二度と使うことがないと良いが。

 自由を取り戻した両手を確かめるように動かし、少し痕の付いてしまった手首を見詰める。明日には消える程度の物だと思うが、やはり気になるのだろうか。

 伏していた目を上げると、何故か苦笑いをして右手を差出してきた。


「……感謝する」

「よろしく。えっと……雪ちゃん、で良いのか?」


 笑みを返して伺うと、彼女の白い肌が見る間に紅潮した。


「ちゃ……ちゃん!? やめてくれ! ……呼び捨てで良い! 俺も『彩羽』って呼ぶから!?」


 耳まで赤く染めて、必死に訴えてくる。

 なるほど、女の子扱いされるのに慣れていないわけか。

 初めて、彼女の「素」を見た気がする。案外、可愛い所もあるじゃないか。


「あぁ、わかったよ――雪」


 内なる笑いをこらえきれない俺を、雪は不満そうに睨んだ。




 金糸雀、君がいたらこう言うんだろうな。


「この子、あやはと同じ眼してるね」


 ……ってさ。



 俺も、そう思うよ。





突如現れた「雪」に、調子が狂いっぱなしの「彩羽」。ひとまず手を取り合った二人ですが、この先は-…?

口論アリ、戦闘アリの攻撃型コンビ(笑)

無事に相方まで辿り着けるのか!?


次回、乞うご期待です☆

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