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ドロップアウト  作者: 野良猫
朝活仲間と幼馴染
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第15話 体育祭の準備

「え?私と瀬能先輩が?」


 部のミーティングで体育祭のプログラムの一つ、部活動対抗リレーに出てほしいと部員たちから打診があった。


 波瑠と瀬能先輩はあからさまに嫌そうな顔をする。


「お願い!全国一位コンビで出てほしいの!ほら、全中三連覇とインターハイ王者とかもう名前だけで目立ちまくりじゃん?リレー自体はかるーく走る感じでいいからさ」


「どうする、一ノ瀬?」


 瀬能先輩は波瑠に問う。


「まあ、私は先輩方にここまでお願いされたら首を縦に振るしかないんですけど。ただ――――」


 波瑠の表情が険しくなる。


「リレーはかるーく、ですか?それは私のプライドが許さないです。腐っても日本一ですからね。リレーも当然トップを狙ってこそでしょう。全ての競技に手抜きはありませんよ、ねえ、瀬能先輩?」


「全くその通り」と瀬能先輩も頷く。


「後輩がやると言う以上、私も出よう。そして当然女子卓球部が一位だ」


 おおー、と拍手が沸き起こる。


「何、他人事のように聞いている?少なくとも団体メンバーは全員一緒に走ってもらうぞ。日本一を売りにしたいなら団体メンバーも当然含まれるだろう?一ノ瀬、参加者名簿に団体メンバーを全部入れておいてくれ」


「了解です、瀬能先輩!」


 波瑠は先輩たちの名前を名簿に記入していく。その様子をメンバーたちは絶望の目で見るのだった。



 ―――――――――――――――――――――――――――――――



 体育祭直前の体育は全学年合同で準備だった。正宗のクラスは備品の準備だった。正宗はクラスメート数名と備品倉庫でコーンやら何やらを探していた。


「結構あるなぁ」


 先生に頼まれたものを倉庫から出して並べるとそれなりの量があった。正宗のグループは他に女子しかおらず、これを持たせるのは正宗の心が許さなかった。


「みんなは小さいのをお願いするよ。おれはほかの大きいやつ全部持つから」


 そう言って正宗はコーンやハードルなど大きいものを引き受けた。腕にずしっと来たが持てない量でもなかった。


 その様子を見て女子たちはヒソヒソと話す。


「士道くんて……」


 正宗はなにか話してるなーと思いながらグラウンドのほうに歩いていくのだった。


 休憩になり、正宗は体育館前のベンチに腰掛ける。そこに波瑠が現れた。体育服の波瑠は初めて見る。正宗はあることに気づいた。


「あれ、波瑠……身長ちょっと伸びた?」


「あ、気づきました?そうなんです。入学してからさらに一センチ伸びました!一六五センチです!」


 波瑠の身長は平均より高めだ。高身長でスラッとしたプロポーションは周りの見る目を惹く。


「身長あれば卓球は有利になるからな。よかったじゃないか」


「それはそれでいいんですけど……他にも言うことないですか、先輩?ほら、中学のころと違って色んな――――」


「それ以上なにも言うな、波瑠」


 良からぬことを言おうとした波瑠を正宗は黙らせる。分かってて触れてないということを察してほしい。


「そんなことより、部活動対抗リレーに出るんだって?」


「そんなことって……先輩ひどいなぁ。はい、出ますよ?日本一のメンバーを売りに走ります。もちろん一位を狙います。遊びなしのガチ勝負です!」


「大会前だから怪我だけは気をつけろよ?」


「大丈夫です、そこらへんの加減が出来るから日本一なんですよ」


 チャイムが鳴り、波瑠は正宗に一礼してクラスの方に戻っていった。正宗も戻ろうとして立ち上がったところで準備グループの女子たちが波瑠と入れ替わりで正宗の前に現れた。


「ねえ士道くん、さっきの子、卓球部の一年だよね?付き合ってるの?てっきり旭さんと付き合ってるものだと思ってたけど」


「あー……と」


 正宗はこの手の詮索があまり好きではなかった。特に仲が良いわけでもない相手にそれをされるのはなおさら嫌だった。


「ただの幼馴染だよ。それ以上もそれ以下もないし。旭も付き合ってるわけじゃないし」


「へー、じゃあ士道くん今フリーなんだ」


 そう言うと女子たちは居なくなってしまった。


「……何なんだ?」



 ―――――――――――――――――――――――――――――――



「なんで私なんだ……」


 放課後、瀬能先輩は顔を真っ赤にしてプルプル震えていた。瀬能先輩はチア部に交ざって応援合戦の練習をしていた。


 この高校は毎年三年生が各組の代表になって応援合戦に出るのが通例となっている。


 瀬能先輩は学ランを着ていたが、ものすごくダボダボで、それはそれで可愛らしかった。正宗もたまたま通りかかって目に入り、思わず足を止めてしまった。


「いいぞー、聡実!」


 後ろでイケメンが拍手して叫んでいる。恥ずかしがっているが満更でもない様子をみる限り、瀬能先輩の彼氏なのだろうか。


 正宗はちょっと考えて、ないない、と首をふる。正宗の知る瀬能聡実は一言で言うと「鬼」である。色恋とは無縁のタイプだ(正宗主観)。


 あのデレデレしている瀬能先輩は本当に瀬能先輩なのだろうか。正宗は思わず尋ねてしまった。


「あの、先輩は本当に瀬能先輩ですか?」


「は?」


「瀬能先輩、あの後ろで輝いているイケメンは彼氏ですか?」


「んっ!?」


「先輩も女子ですね」


「おい、後輩。一発殴らせろ」


 瀬能先輩が拳を握る。


「あ、すいませんでした」


 結論。あのイケメンは瀬能先輩の彼氏だった。最近付き合い始めたらしい。



 体育祭が始まる。


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