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赤い空に終焉を  作者: 朝倉春彦
1.初日0時~3時:赤空の亡霊
7/78

初日01:36:11/教会/北原直人

「ふー・・・」


俺は教会風の建物に寄りかかって煙草をくわえる。

桐原と多野の2人とはぐれてしばらくたったが連絡がつかない。

そりゃ・・・携帯の電波が立ってなけりゃ連絡も取れるはずがないが・・・

何よりおかしいのはこの町だ。


俺は煙草をくわえたまま、小高い丘の下にあるさびれた廃墟街を眺めた。

安いテレビの取材で訪れた”跡地”で”更地”のはずが、なぜか今こうして目の前に廃墟として広がっている。


「チィ・・・奴らもしつこいもんだ」


「ひひ・・・ひひ・・・ヒヒヒヒヒヒヒィ・・」


手に持った懐中電灯で来た道を照らせば、元々は人間だったであろう何かが迫ってきていた。

恰好からしてこの町の漁師だった人間だろうか?

手には血にまみれた大鎌を持ち、その目からは赤い液体が流れ出し、最早黒目と白目の区別がつかない眼は得体のしれない不気味さを醸し出していた。


「ケ!」


俺は震える手を抑えて、手に持った角材を、目の前の化け物めがけて振り下ろす。


さっき学んだ。


奴らは人じゃない。


死んでも、死なない。


だから、俺はありったけの力で奴の頭を殴打し、地面に伏せさせる。

どうせすぐに何事もなかったかのように起き上がって追いかけてくる。


俺は地面に血を噴出させて倒れた化け物を一瞥して、丘を降りていく。

町の入り口部分にあるロータリーまで来て、気を引き締める。

桐原も多野も無事でいてくれればそれでいい・・・


「・・・埒が明かねぇ・・でも探すしかない」


やる気を出したところで、土地勘ゼロだということに気づく。

とりあえず目の前に広がる商店街か、奥のほうに見える交番にでも立ちよって地図を探そう・・・もし”正常な”人間がいれば助けを求めるのもいいかもしれない・・・


とにかく、この変な状況が始まって最初に理解したことを乗り越えるには、俺一人じゃダメなんだ。


国道へ戻ろうにも、戻れない。


いつの間にか来た道を引き返すことになる。


さっき1時間も歩いて気づいたんだ。


この場所には死んだ人間が化け物に成り代わるってことと、空が赤い以上、この町からは出られないということが・・・


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