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赤い空に終焉を  作者: 朝倉春彦
1.初日0時~3時:赤空の亡霊
4/78

初日00:52:10/日向小中学校/高橋美奈子

「先生・・・どうなってるの?」

「・・・大丈夫よ恵美ちゃん・・もう少ししたら・・・」


私は教室の隅でしゃがみ込んだ女の子の頭を撫でながら、周囲を見回していた。

突然の大地震に襲われて、学校に逃げ込んだまではいいが、学校の半分は崩壊し、地元の人は恵美を除いて誰も避難していなかった。


とりあえず私は恵美を連れて体育館にいたのだが、そこで人間の形をした怪物のようなものに襲われ、命からがら逃げてきたわけだ。


今振り返れば、あの怪物の顔は・・・私のクラスの村田さんのような気がする・・・

当たっててほしくはないが・・・


「もう少ししたら・・・・ん?」


私はふと聞こえた声に反応して窓の外を見て、絶句した。

先ほど見かけた怪物が、一人の人間を追いかけまわしている。


「あの子・・・」

「先生・・?」

「シ!・・・しゃがんで、目を閉じてて・・・」


私は見覚えのある男の子が学校内に逃げ込むようにして入ってくるのを、窓越しに確認した。

あの子は平元さんのところの長男坊に違いない。

従妹がいないが・・・ひとまず、無事な人を見かけて、妙な安心感を覚えるとともに、怪物の数が増えたことで体が強張った。


「待っててね・・すぐに戻るから」


私は恵美を置いて、教室の扉を静かに開ける。

そこから顔だけを出すと、ちょうど浩司が階段をかけ上げって来るところだった。


「うお!・・」

「浩司!先生だから!」

「ああ、ああ、先生・・無事だったんだ」

「ええ・・・」

「それよりも奴らが来る!もう5人はいるから早く隠れないと!」


浩司は教室に駆け込んでくるなり、そういった。


「逃げるといってもどこに・・」


私は浩司が走ってきた階段とは逆の方向に顔を向ける。

非常階段が見えた。


「外にもあんなのがウジャウジャいるけど、ここにいても5人に囲まれる・・」


浩司は恵美の手を取り、私のところまで恵美を連れてくるとこういった。


「ひとまず図書館まで逃げてみよう・・奴らは俺がひきつけるから」

「そんな!・・・でも」

「生きてない人間殴っても罪にはならないよね!行って!」


いつの間にか、浩司の手には木製のバットが握られており、浩司の向こう側には、階段を上がってくる複数の影があった。


「・・・」


私は恵美を見て、浩司の顔を見る。


「・・・わかったわ・・・すぐに追いついてきて・・・」


私はそう言って恵美の手を引いて非常階段に向かって走り出した。


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