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赤い空に終焉を  作者: 朝倉春彦
2.初日3時~12時:異形の者の狂詩曲
16/78

初日11:02:05/日向町立病院/北原直人

「結構やっちまったな」


病院の診察室で一人つぶやく。

無我夢中で窓を突き破ってたどり着いたのが、病院でよかった。


適当に包帯とかを探してきて、診察室に入り、扉に鍵をかけると、先ほど負った傷を包帯で覆っていった。


一通り処置し終えると、診察室のベッドに横になる。

今思えば、この町に迷い込んでから、今の今までずっと働きっぱなしだった。


ちょうどここには化け物もいない。

病院内をだいぶうろついたが、奴らのうめき声すら聞こえなかった。

そしてここは3階。

念を入れて窓にはブラインドを下したし、扉には鍵もかけた。

安心しきるわけにはいかないが、ちょっと休むにはいいだろう。


俺はため息をつくと、改めて診察室を見回す。

綺麗に整頓された机の上には誰かの診断書。

ふと手に取ると、平元浩司という人物の診断書には、何かのプリントが挟まれており「機密事項」と赤い判子が押されていた。


「ん?」


俺は何気なしにその診断書を見てみると、最初に書かれた文章で絶句した。


”8月15日 午後10時00分 死亡予定”


「予定?」


俺は興味を惹かれ、診断書と、プリントを読み進めていく。


”死因 ーーー”

”翌日より0号電波の発信”

”8月22日までに全町民の記憶から忘却させること”

”その後、確認ののちこの文書を破棄すること”

”日向町 町長 桜井十郎”


奇妙・・・の一言に尽きた。


この・・・平元浩司という男・・・中学生が?死亡した後にこういう診断書が書かれるのはまだわかる。

死亡予定ってなんだ予定って・・・?


俺は頭を押さえて、診断書を眺めた。


文章をそのままの意味で読み取ると、この平元浩司という少年は8月15日に”殺して”、その後1週間をかけてモミ消すつもりだったらしい。

ただし、モミ消すならできるだろうが”記憶から忘却させる”ってことは町民の記憶からこの少年を忘れさせるってことだよな?

できるのか、そんなこと・・・

そして、”0号電波”というのが何なのか気になるが・・・


「ただ、この町がただの田舎町だなんてことはなさそうだな」


俺はそう呟いて、診断書とプリントを織り込み、着ていたベストのポケットに入れる。

直後、強烈な眠気に襲われ、そのままベッドに倒れこんだ。


少し、休もう。

話はそれからだ。

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