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赤い空に終焉を  作者: 朝倉春彦
2.初日3時~12時:異形の者の狂詩曲
15/78

初日10:03:33/向日葵畑/佐藤清志

顔の真横のトタン板を銃弾が貫いた。

奴はしっかりと位置を捉えて撃ってきている。


「あの野郎・・・」


手に握った小銃を一瞥すると、隠れていた廃材置き場を飛び出し、背の高い向日葵で覆われた向日葵畑に突っ込んでいく。


迂闊だった。

最初に始末したあの男。

こうなることくらいは予想ができたはずだったが・・・


頭の中で過去の自分に腹を立ててもしょうがない。

今はもう一度奴を沈め、体制を立て直すことだ。


「清志・・・戻ってこい」


遠い昔の上官の声が聞こえる。

奴らの中でも比較的変化が少ないからか、まだ人の声としてはっきり聞こえた。


「逆らうきかぁ・・・貴様・・・ただで済むとおもうなよぉぉぉぉ」


そういった直後、足元の地面が銃弾でえぐれた。


「けっ!」

「隠れたつもりか?・・・・ええ?」


すぐにその場を離れ、向日葵畑を駆け抜け、加工場につながる道に出る。

振り返らずに、ただただ身を隠す場所を求めて走った。

加工場の駐車場に止められたトラックに隠れ、息を整える。


だがそれも長くは続かない。

すぐさま轟音が響き、むき出しだったトラックの燃料タンクを貫く。


「死ね 死ね 死ね」


トラックから飛び出し、加工場の中に逃げ込む。

そして、銃を構えて振り返り、十字線を滴り落ちたガソリンに合わせ、引き金を引く。

強烈な反動と轟音とともに放たれた銃弾はガソリンの滴る地面に当たり、そこから炎が広がる。


これで奴の追撃も止まるはずだ。

周囲を見回して、次に向かうべき方向を探す。

すると、商店街方面に戻る道につながる裏口を見つけた。


落ちた体力を恨みながら、裏口の方向へと小走りで駆け寄り、ゆっくりと裏口を開ける。

周囲を見回して、奴も、ほかの異形もいないのを確認すると、商店街の方へと駆けていった。


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