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赤い空に終焉を  作者: 朝倉春彦
2.初日3時~12時:異形の者の狂詩曲
12/78

初日05:36:55/日向町役場/北原直人

「誰もいねぇ・・・というわけじゃねぇな」


俺は乱れた息を整えながらつぶやいた。


ここまで何度も銃声が鳴り響いていた。

近くで鳴ったときは霧の向こうに化け物とは明らかに違う動きをした、人間らしい姿が見えた。


「・・・そろそろ誰か生存者を拝みたいところだな・・・」


そうつぶやいた直後、鳴り響いた銃声を耳にした。

海のほうだ・・・それも遠い・・・


俺はとりあえずそっちのほうへと歩いていくことにして、手に持った鉄パイプを握りしめる。

海辺の方は奴らが多い・・・とりあえず町のメイン通りに戻ってから向かってみよう。


町役場と思われる建物から出て、周囲を見回しながら霧の深い町へと出ていく。


時折遭遇する怪物は、隠れられるなら、隠れてやり過ごし、どうにもならないのなら容赦なく叩く。

化け物になり、生き返ってくるといっても所詮人は人。

そこまで丈夫じゃない。


だが、商店街に戻り、ひときわ大きな鳴き声と音を聞いてからはそういった考えは無残に砕け散った。

違和感と、叫び声に反応して、近くの呉服屋のような商店に身をひそめ、外の様子を見ると、足を3本生やし、頭と胸の部分が一体化?したような姿の化け物が前を横切った。


手には拳銃。

服装は警察官か。


時折、うわ言のように何かをつぶやくが、のどがつぶれかけているせいか、何を言っているのかは聞き取れなかった。


「あんなにもなるのかよ・・・聞いてないぜそりゃぁ・・・」


愚痴をこぼして、壁にもたれかかると、ちょうど横に町の地図があることに気が付く。


小さい町だ。

最初にそう思った。


そして施設案内のほうに目を向けると、一つの建物に目が行った。


「図書館か・・・」


ここなら、町の歴史がわかるかもしれない。

もしかしたら、この怪異を打開するヒントが・・・


そう考え込んだ時、目の前の壁・・つまり地図に弾痕がついた。


全身がこわばるとともに、手近な遮蔽物に身を隠す。


「不   審 者 発          見   応援を  お願       い    し ま  ス  ヒ  ヒ ヒヒヒヒ」


さっきまでの潰れた声はどうした。

しっかり喋れるじゃねーかよ。


声の主は、もはや人間といえない身体になった駐在警官だった。


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