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第95話 夜の街

 夕方になると、街はあわただしくなる。

 夜の街にふさわしく、いろんなお店に明かりが灯る。

 それに伴い、お店の前には着飾った女性が道行く男性に声を掛けている。


 ここが貧困街だとしても、ここだけは別次元の感じがした。

 これが社会の表と裏なのだろう。


「はーい、学生さん、お姉さんと遊んでかない? 初めてならお安くするわよ?」


 帰り道で、客引きのお姉さんが僕達に、というか男子たちに声をかける。

 女子同伴だというのにお構いなしだ。まあ魔法学院というだけでほぼ貴族確定だし、お金の臭いを感じたのだろう。


「ぼ、僕は、その、初めての相手は決めてあるので、その、また今度ということで……」


 カール氏よ、その断り方は結構な下衆っぷりだぞ。


 しかしこのお姉さん、ハンス君ではなくカール氏に真っ先に声をかけた。


 失礼だが、ハンス君の方がイケメンなのだが、……なるほど、カール氏の身なりか。

 彼は学生としてよりも実業家として面がある。

 それに着ている服、制服は普通は既製品だが、彼の場合は服飾店を経営しているためかオーダーメイドである。

 その仕立ての良い制服を見て彼の経済状況を見抜いたのだろうか。やるな。さすがプロだ。


「違和感があるわ」

 ローゼさんが呟く。普段ならカール氏の失礼な態度に文句をいうところだが、考え事をしているのか、そこは気にしていなかった。


 次々と来る客引きの強引な誘いに困惑している男子たちを尻目にローゼさんが何かに気付いた。


「ローゼ、どうかしたの?」


「香水よ、さっきの客引きのお姉さんの香水の匂い、教会でかすかに漂ってた匂いと一緒だった。あの香水は結構な値段がするはずよ、ほらシルビアにも貸したことがあるでしょ? 去年のキャンプの時に」


「そういえば、そうね、でもそれがどうしたの?」


「こんなこと言うのはあれだけど、あそこは貧困の少女たちを保護してるのよね。なのに高級な香水っておかしいと思わない?」


「まあ、女の子だし、その辺はしょうがないんじゃないの?」


「そういうことじゃなくて、あの香水は男性を誘惑する効果がある魔法の香水なのよ。もちろん合法な品で、効果自体は微弱で気分的なものでしかないけど、娼婦たちに人気のブランドなのよ、おかしいでしょ?」


 たしかに、おかしい、……ん? なんでローゼさんがそんな怪しい香水持ってるんだよ。いやそこは黙っておこう。


「そうだけど、でも場所が場所だし。そういう人も教会には足を運ぶでしょ? 考えすぎじゃない?」


 たしかにシルビアの言う事ももっともだが、あそこは別室であって孤児院の役割もある、一般の人は入れないはず。

 まあ、招待されてたとしたらあるいは、でもそれは性善説で考えてのことだ。


 それに、アンという少女の言葉が引っかかる、早くここから出たいような話し方だ。

 まだそれを根拠にするのも強引だと思うけど。やはり違和感はある。

 疑惑は深まったという感じか。引き続き調査をする必要があるな。


 ユーギはどう思うかって、いないと思ったら、客引きの女性にウザがらみをしているようだ。

 嫌がるお姉さんにお構いなしのユーギ、何を話しているんだろう。


「お姉さん、素敵だねー、僕も将来はそういう仕事もありかなって思うんだけど。どうしたらなれるの? 教会に相談したらなれるのかな?」


「なにかしら、この子は、あなた魔法学院の学生でしょ? だったら娼婦になる必要なんてないでしょ? ふざけてるんじゃないわよ、それに教会の子は嫌いよ。お高くとまってるんだから、同じ娼婦の癖に

私に偉そうに説教して。気に入らないったらないわ」


「あはは、ごめんよ、馬鹿にしてるわけでもないんだ、僕はお姉さんが綺麗だから聞いてみたかっただけなんだよ」


「そう? なら、卒業してもその気があったら。私に声をかけなさい? 教会は駄目よ、教会出身の娼婦はみんなどっか変になるって噂だから、薬でもやってんじゃないかってね」


 ユーギ、ナイスだ、教会出身者で娼婦になるって、そもそもおかしい。いろんな事情を考えても黒だ。

 アンという孤児が逃げたそうにしていたのは孤児院から出たら娼婦になるのを知っていたからだろう。

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