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第87話 プロローグ


「オーライ! オーライ! ちょっとそこ! 危ないったら、ぶつかったら死人がでるわよ」


 地下ダンジョンの最下層から巨大なドラゴンの亡骸が地上へと運搬されている。

 複数のワイヤーによって徐々に地上に引っ張り上げている。

 

 テレポートで運べばいいじゃないかと思ったが、上位の種族であるドラゴンには効果がないそうだ。

 例えそれが死体でもドラゴンの強力な魔法防御力は健在である。



 メカドラゴンとの戦闘の後、俺達は中にいた悲運の少女の亡きがらの埋葬すませると、メカドラゴンを再び組み立てることにした。


 せっかくだし巨大な銅像として観光資源にしようということになったのだ。


 メカドラゴンの頭に乗っているのはディーのボディに入ったシルビー、現場監督になって色々と指示を飛ばしている。

『この際ですから、余計な対人用装備は全部外してください。リッチさん、この奥の部屋に換装ユニットがあったはずです。やはり機竜は初期装備こそが至高です。あんなゴテゴテした武装は美しくありません』


 巨大なコンテナを召喚した土のゴーレムを使って運びだしたリッチさん。

 コンテナの中には巨大な剣が入っていた。


「これは剣かな? ドラゴンも剣で戦うのだな、なるほど興味深い」


 ワンドさんやリッチさんはノリノリで作業を手伝っている。

 まあ古代文明の遺産だしな、気持ちは分かる、だが俺は……。


 そうだ、俺は既に死んでいる。中二病みたいだが、結構ショックを受けている。

 二度目の転生だと思ってたけどそんなことはなかった。


 俺のこの意識はただのバックアップでオリジナルは死んでるのだ。

 下手をしたらあのシルビー2のような存在になったかもしれない。もちろん人類に恨みなどない、あくまで可能性の話だが。


(マスター、自身の存在について悩んでいるようでしたら、それは勘違いです。それにマスターが今考えていることを私は実行しません)


 筒抜けか、そうだな俺の記憶を消すことはマスター権限でできるが、同時に自身の保全を優先するようにこの身体はプログラムされている。

 きっと今の俺はロボさん自身だから、自傷行為となるような行為はできないだろう。


「そうはしないよ、でもな、俺はしょせんバックアップなんだ、それに最終的には君にこの身体を返す、それは決定事項だ」


(マスターがそうおっしゃるなら、……ですがシルビアには責任を果たすべきです、ここでマスターだけ楽になろうなんて思わないでください)


 そうだな、それはその通りだ。

 でもどうして彼女に向き合えようか。俺は勇者なんだっていっても、ただのバックアップだったなんて知ったら、いやそれでも彼女は変わらないだろう。


 変わったのは俺の気持ちか、なんだ、俺は弱いんだな、なにが最強の勇者だろうか。


 とりあえずは学院に戻るか、三年生は実質最終学年だしな。

 一応四年生に進級する学生もいるが、それは学院に残って教員、あるいはそれに準ずる職につこうとした場合だ。

 地球でいうところの大学院といえば分かりやすいだろう。


 そういえば、俺たちのグループで四年生に進級するのはローゼさんとユーギだけだったか。


 ユーギ!

 そうだ、ユーギに話をしてみようか。あいつなら何かいい解決策を、いや何かぶっと飛んだ方法が見つかるかもしれない。

 ……そもそもバックアップなら勇者の魔法が使えるのはなぜなんだ。

 いろいろ疑問がある。

 勇者の魔法は神の権能だ、ここは元神としてなにか助言をもらおうじゃないか。

(マスターその調子です、正直うじうじモードを私の身体でやってほしくないです。とてもみっともないですよ)


 はは、いわれた、確かに、美少女がうじうじするのは見ていていたたまれない、よし俺は俺で最後まで駆け抜けようじゃないか。

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