第81話 メカドラゴンとの戦い①
バババババ!
フロア内に爆音が響く。
メカドラゴンの指先についた機関銃のような物から無数の弾丸が放たれる。
(マスター! あれは、私の防御力では対応できません、回避を推奨します)
周りの構造物を貫通していく無慈悲な弾丸の嵐に、俺はとっさにマークフォーと呼ばれるでかい建物の陰に隠れた。
マークフォーはドラゴンの生体パーツを使っているため弾丸は貫通しない。
「少年! 無事か!」
魔王は氷の壁に守られていたため問題ないようだった。
「はい、なんとか、フリージアのおかげで無事です」
無数の弾丸は氷にめり込んでいた。魔王とフリージアの周囲数メートルは巨大の氷の壁で覆われていた。おお、さすがエターナルブリザードだ。
……あれリッチ君はどこだ?
「僕はここさ」
ひょこっと土の中から骸骨フェイスが出る。土というか影の中にいるようだ。お、これも凄い魔法だ。あとで詳しく聞いてみよう。っとそれどころではない。
「マスター、私の心配をしてほしかったですー。もうお嫁どころか何もできない体になってしまったですー」
俺の右腕に抱えたデュラハンの頭がぶーぶーいっている。残された胴体は、穴だらけだった。ミスリル繊維魔法粘土複合材料でできた俺が作った自慢の最強のボディが紙くずのようにズタズタだった。
「すまん、とっさのことで頭しか守れなかった。ディーは、シルビーは無事か?」
『私はもともとこの程度の攻撃では問題ないのですが、申し訳ありません、このタヌキ型ロボットの身体は穴だらけになってしまいましたね』
「大丈夫だ! あとで修理すれば問題ない。ちなみにネコ型だ、そのやり取りは懐かしくてうれしいが、それよりメカドラゴンを何とかしないと、引き続き情報を頼む、あの指バルカンは弾切れなのか?」
『指バルカンですか? ああ、30mm十指連装機関砲は再装填中のようですね。それにこちらの戦力を探っているようにも思えます』
「なるほど、まだ様子見ってところか……って肩のキャノン砲が動いてるんだが、あれは?」
『キャノン砲? 警告! あれはアドバンスドレールガンです。あれはマークスリーレールガンの進化型で、従来型の威力をそのままに連射性能を獲得しています』
アドバンスドレールガンの砲身が魔王とフリージアに向く。
「まずい!」
その瞬間、ダイヤモンドダストが周囲に巻き起こる。温度が急激に下がったのかフロア全体が霜を張り全てを白色を変えた。
「氷結の魔女をなめるなぁ!」
レールガンの砲身が凍り付く。
『お見事です! レールガンが急激な温度変化で動作不良を起こしたようですね』
「よし、反撃開始だ、やつを倒せるくらいの攻撃魔法はなにがあったっけか……よし、ここは、プラズマを連続照射してビーム砲のように、いや、もっと火力を上げるか……」
勇者の魔法とは、神から与えられた、というか、俺が最初に神にあったときに契約した力で、そのときに俺は何でもできる魔法が欲しいと言ったのが聞き入られたのだった。
神は言った、いや今はユーギか、やつは何でもできる魔法はさすがに無理だけど、俺が知ってる知識の範囲で何でも出来る魔法を授けたのだった。
俺が知ってる最強の攻撃って、あれか、宇宙ヤバいの定番、ガンマ線レーザーか、よーし、やってやるぜ。
『マスター! ストップです! 敵の脚部をみてください』
腰から両足にかけて、それぞれ巨大な四角いコンテナがついてる。あれはミサイルポッドか? それがなにか。
『あれは核ミサイルです。なので余り強力な攻撃をすると暴発する恐れがあります』
ち、対人用ってそこまでか。救いようがないな。
そうこうしてるうちに、メカドラゴンは姿勢を変えるともう片方の肩からレールガンが放たれる。
ドン、ドン、ドン! と、なるほど連射性能が高いし射撃が正確だ、途中に障害がなければ確実に魔王に命中している。
「魔王様、もう少しこちらに、私の側から離れないでください!」
氷のバリアが一撃で粉砕される。その度に新たに展開しては粉砕されるを繰り返す。
あのエターナルブリザードの氷が一撃で壊れるなんて、それにしても氷のバリアは壊される運命にあるんだなぁ……となんとなく思ってしまった。ってそれどころではない。
今は少年とエルフさんが危ない。
ドン、ドン、ドン! このレールガンやばいだろう。一秒に一回撃ってるし、弾切れの様子がない。
氷の壁が砕かれては新たに展開した氷の壁がまた砕かれる。氷の破片が花吹雪のように舞い散る。不謹慎だが、思わず美しいと見とれてしまった。
「フリージア! 僕はいいから君だけでも逃げるんだ!」
「いいえ、魔王様、私の側から離れないでください。……うふ、えへへへ。ほら離れないでくださいな。私、魔王様のぬくもりがないと凍えてしまいますぅ」
あれ? ……あのエルフは余裕なのかもしれない。氷の壁は割れるけど直ぐに元に戻るし。何よりタイミングが完璧だ、余裕があるぞ。
……あいつ、イチャイチャしたいだけだな!
(マスター、それはしょうがないです。彼女にとっては夢にまで見た展開です。最高幹部の魔女が主君を庇うレアなシーンなんです。察してください)
……ああ、わかった、レールガンは問題なさそうだ。ではどうするか、反撃の準備を考えないと。
大火力の攻撃はだめだ、核爆発でも起こったら大変だ。ここには誰も住めなくなってしまう。
それに、……そうだな、ここは、少年に手柄をゆずろう。
フリージアさんの好感度はマックスだ、どんだけ魔王好きなんだ、いや、気持ちは分かる、彼女はずっとこの状況を夢にみていたのだ。
いま、ここで、初めて幸せになれた。
これまでがずっと不幸だった……。彼女にはいい思い出はなかったのだ。何千年も怨念としてこの世に漂うくらいの……ならば!
「少年よ! 君に与えたスコップなんだが、実はそれは魔王の剣なんだ。……俺がスコップに改造したけど。今、君に返そう。えっと、どこだっけ対のアイテムの……」
(マスター、異次元ポッケを返すのですか? 魔王の剣はマスターが危険だと思った神のアイテムで、だからこそ、それを分割したのでは?)
「ああ、そうだ、だが今の少年には必要だ。それに魔王の剣がヤバい武器でも今の少年なら問題ない。俺はそう思う。
それに、フリージアさんにはいい思い出を作ってほしいし、彼女は魔王の幹部として少年に無限の憧れがある。
なら、そのために憧れの対象である少年に活躍させるのがベストだ、数千年の怨念など吹き飛ぶほどのベタぼれイベントだろうが!」
(はい、すでにベタぼれの様子ですが、そうですね。それは素敵です。二人にとっていい経験になるでしょうし、不幸マウントはこりごりです)
ん? ロボさんの本音が……いや、今はそんなことはどうでもいい。俺は取り出した異次元ポッケを取り出すと。
「パスワード入力、『ANANANTOTTEMODAISUKIDORAEMON』」
魔王の持っているスコップに異次元ポッケが重なる。
魔王の剣【クリエイトツール】が再び姿を現した。
少年はその剣を持つと、それは刀身ごと黒いオーラに包まれた。
「少年よ、俺の魔法で倒すといろいろまずいらしい、頼むぞ! それに最高幹部の氷結の魔女! 少年のサポートを頼んだ」
「…………!!! まかせなさい! えへへ、任せなさいなのなのよ。……さて魔王様いかがいたしましょう」




