第72話 古代の技術
「ところでシルビーよ、君の魔力を奪ってしまった感は否めないが、残りの魔力はどれだけ持つんだい?」
『そうですね、このまま単独でなら、いつまでも可能ですが、本来の活動をするとなると心もとないといったところでしょうか』
本来の活動か、メカドラゴンってのも見てみたいが、ユーギの話が誇張でなければ、そんな危険なやつを動かすのはだめだろうし、現物は破壊されたようなので問題はないだろう。
それに、そんな古代兵器の存在は危ない、……この流れは嫌な予感がするぞ。
(はい、フラグですね)
「おい、シルビー、この世界にはメカドラゴンはいるのか?」
『調べましたが稼働している個体の反応はありません。おそらくは最終戦争で全て破壊されたか。竜王を倒してからは製造されなかったのかもしれません。
もともとドラゴンを倒すために作られた兵器ですし、対人用ではオーバースペックでした』
たしかにな、ドラゴンの死骸から作られるためコストの問題もあるか、まあ、最悪存在しても土の中だろう、掘り返さなければいいのだ。
「そういえばシルビーよ、君はこれからどうすんだ? なにか目的はあるのかな?」
『目的ですか、そうですね、勇者様のご命令のとおりにします』
「いや、そういわれてもなぁ……、そうだ、君の能力を詳しく聞いてなかった。それに魔力の容量も、この身体とは比べ物にならない。もしかして永久機関かなにかなのか?」
『いいえ、永久機関ではありませんが、ある程度は自然から吸収することはできます。自然にあるマナを自身の魔力に変換することが可能です』
「ほう、謙遜するなよ、それはもう永久機関だぞ、それで具体的にはどうするんだ? 俺もそれが出来れば安心なんだが、ぜひ教えてほしい、いいかな?」
『はい、もちろんですよ。実際簡単です。マナの概念、勇者様には説明不要ですね。私の能力、いえ、正確にはこの魔力コアの機能は、自然界のマナを使用可能な魔力に変換させる機能にあります』
「自然界のマナってつまり、太陽の光とか、森林の中にある空気というかなんというか神秘的な感じの力のことだろ? それでドラゴンを倒せるのかい?」
『はい、それでは無理です。あくまで自立起動の為に必要最小限の魔力供給に過ぎません。 あくまで強力なマナを得るための準備でしかありません、これをきっかけにしてより強力なマナを吸収するのです。
例えばですが高度な知性を持つ生き物はそれは大量のマナを保有しています。魔法の才能がない人間でも、マナの総量には大差はないのです』
「お、おい、なんか話が不穏になってきたぞ、生贄とか勘弁してくれよ」
『安心してください、それは例えばの話です。それにマナは生きてる人間以外からも収集できる技術を我々は完成させました。例えばゴーストをご存じですか?』
「ああ、お化けだろ? 実体のない魂というやつだろ? 見たことないけどそれくらいは知ってる、そういえばネクロマンサーがそれの専門家だったような」
『はい、ネクロマンサーは、一度切り離された魂の欠片を死んだ肉体に再び戻すことに特化した魔法使いですね。術者の技量によって、死んだ肉体に戻せる魂の総量が変わりますが、たいていは本能と、わずかな理性のみで大抵の魂は、マナとして取り残されます。
それも自然のマナと我々は気づいたのです。つまりそれらの魂の残滓を集め吸収することで膨大な魔力を生み出すことが可能となりました』
「おいおい、それって怨念の塊じゃないのかい? そんなの集めたらとんでもない化け物とか生まれたんじゃないのか?」
『オゥ! さすがは勇者様、たしかにこの技術が成熟するまではそういう事件はありましたが、その辺はクリアしております。怨念を浄化する方法を確立してるのですよ』
「さっきから、そのオゥ! て欧米系の反応、馬鹿にされてるみたいでイラっと来るんだが……、いや、悪い、ちょっとコンプレックスがあっただけだよ。……つまりは、あれかエクソシスト的なことをして、ついでに魔力をゲットできるってことか?」
『そのとおり、それではさっそくやってみますか? ここにはかなり強力な怨念のようなマナを感じますので』
「うむ、そんな効率的なことならぜひ学びたいものだ、しかし、ここは呪われてるのか? 魔王城とはいえ、魔王は人畜無害のナイスガイだぞ?」
まあ、5000年たてば何かあるもんだ。
『はい、そうとう強力な怨念といえますが、不思議なことにこの土地はなにも問題ないようですね、私の測定器に不具合があるのでしょうか、これが本当の数値ならここは廃墟になってもおかしくないのですが……』
「まあ、君は10000万年前の機械だ、不具合があれば修復していけばいいさ。では、始めようか、まずはマナを探して集めるんだっけか? そこから教えてくれ」
『了解しました。それではまずは、そうですね、大気中のマナを集めるようにイメージしてください。そうですね、庭の落ち葉をかき集めるようなそんな自然的なイメージをするとよいでしょう。
そこから、強い思い、心残りがある魂を探知し捕獲するという具体的な作業に移るのです』




