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第58話 ランドタートル


「鑑定魔法がレジストされた。年代くらいは分かるかと思ったけど。これじゃあドラゴンの牙かどうかわからない。でもユーギさんが言ってるしな……」


「おや、ハンス君、鑑定魔法がレジストされるという事実がいい証拠じゃないかい?」


「そうなんだけど、もっと詳しく知りたいじゃないか。すごい発見だと思うんだ。

 研究室に持ってきたいところだけど。さすがに領主さんに渡した方がいいし。欠片だけでも持ち出せないかな、この根元に傷があるし」


「なら、俺に任せろ! 肉体強化、ハッ!」


 ドルフ君は魔力を拳にまとわせ正拳突きをドラゴンの牙に放つ。


 ガンと大きな音が洞窟内に響く。無傷だった。ドルフ君の拳の方が痛そうだ。なるほどならこいつはどうだ。


 俺はショットガンに一発、スラッグ弾を装填して、ドラゴンの牙に放つ。


 パァン! という音の後にキーンという甲高い残響音が洞窟内に響く。牙は無傷だった。


「おい! 撃つなら先に言えよ!」


 カール氏の足元に穴が開いていた。そしてカール氏はガクガクしている。おっと跳弾したか。ほんとごめん。わざとじゃないんだ。


「どうだい? 確定だろ? この世界にこれより硬い物質はないだろ? その弾丸は弾芯にミスリルを使ってるんだろ?」


「むう、たしかに、これを壊すのは無理じゃないかな。それにさっきからゴゴゴゴとカール氏の唸り声が、ってなんの音だ?」


 洞窟の奥から、ゴゴゴゴという音が聞こえてくる。


「デュラハン、音響センサーでなにか分からないか?」


 デュラハンはリュックサックからウサギ耳型の外部デバイスを装着する。俺も装着できるのだが恥ずかしいのでデュラハンにやらせる。


「反響音がひどくてよくわからないですー。でも音はこちらに近づいてますー。あ、どうやら四足歩行の生き物みたいですー」


 しだいに音と共に振動が感じられるようになって。ズシン、ズシンという巨大な何かが歩いてくるような音に聞こえてきた。



 巨大な亀だった。 


「あれは、ランドタートル? いいえ、あんな大きな個体は見たことがない。でもそうね、外見からすると間違いなくランドタートルよ」 


 シルビアさん曰く、ランドタートルは生きる化石とよばれる、太古から伝説にたびたび現れる巨大な亀のモンスターらしい。


 基本的に温厚な性格で、人間のいる場所には現れない。しかもほとんどが寝ているそうで。仮に人間が住処に街を作ったとしても、ほとんど寝ているので影響はないそうだ。


 知性もあり、交渉が可能だという、なるほど。タートルロックって街の名前の由来はこの亀の住処に街を作ってしまった人間が名付けたのだろう。


「シルビア、あれが温厚な性格なのかい? なんか怒ってる風な感じがする」


「ええ、そうね、私もわからない、なにか怒らせることしたかしら、大きな音で驚いたとか、なら謝りましょうよ」


「シルビアちゃん、それは無理じゃない? ランドタートルには天敵がいてね、そう、ドラゴンのことなんだけど、ランドタートルはドラゴンに食べられるだけの存在だったからね。ドラゴンの歯ぎしりなんか聞くと我を忘れるらしいよ」


 歯ぎしり、この牙で歯ぎしりか、さぞうるさいのだろう。さっき弾丸を当てたときの音もかなりの高音で不快だった。あ、俺がやらかしたパターンだ。 



 暴走したランドタートル。これは国が亡ぶ規模だろう。まずいな何とかしないと。


 こいつはドラゴンに継ぐ凶暴なモンスター、そう、お城みたいにでかいカミツキガメといったらわかるだろうか。


 たかい攻撃力と、甲羅の防御力は要塞のようだ、危険度ランキングではドラゴンの次の2位の強さを誇るらしい、ドラゴンがいない今では最強のモンスターといったところか。


 それに、こいつは随分と長い事ここに居座っている主だ。ドラゴン亡き後は天敵がいないためおそらく万年単位でここにいたのだろう。


 シルビアさんの知ってるランドタートルはもっと小さいらしい。それでも家を踏み潰すくらいの大きさというのだが。



 カミツキガメとはいっても、あの巨体だ、下手したら一日で都市一つ、いや国一つ、かみ砕いてしまうだろう。


「ロボさん、やつの弱点はわかるかい?」


(氷が弱点じゃないですか? マスターの記憶にありますよ、爬虫類は氷が弱点だと)


 それはゲームの話だ、だが、たしかにな、変温動物は寒さに弱いはずだ。


「デュラハンにディー、準備はいいか?」


「はいですー、ウエポンラック展開、ミニガンをセットしたですー。氷の弾丸、装填完了ですー」


 ディーの背中に背負わせているリュックサックからミニガンが取り出される。


 前回、盗賊団対策で準備したはいいが結局は使わなかった。


 だが今こそ活躍の時。


 弾丸には氷の魔法を仕込んである。着弾地点を急速に冷却させる魔法だ。


 ズシン! ズシン! という音はいよいよ大きくなり。目の前には巨大な岩山が見える。


 やはりカミツキガメだな、顔が怖い。誰にでも噛みつく怖い顔だ。いや、それでもどこか可愛い部分がある。亀をペットにする人間の気持ちもわからなくはない。 


 射程距離内に入っただろう。


「よし、前方のランドタートルに向かって射撃開始だ!」

 

 ヴァアアア! 氷の弾丸がランドタートルに襲い掛かる。


「のろまな亀さん、さっさと失せろベイビーですー、アスタラビスター!」


 おい、口が悪いぞ、それに亀をのろまだと馬鹿にすると逆転されるフラグだ。お前の頭につけたウサギ耳型の音響センサーがまさしくウサギと亀を思わせる。


 ……これは負けるかもしれない。


 2~3秒ほどミニガンを撃ち込んだが、氷の弾丸は傾斜になっている亀の甲羅にはじかれ真上に跳弾して洞窟の天井には何本ものつららができている。


「おい、デュラハン、わざわざ甲羅に撃ってどうするんだ。頭か足をねらえよ」


「無理ですー、重くて制御できませんですー。あと、もう弾切れですー」


 のろまはどっちだよ……。

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