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第25話 在りし日の文化


 スポーツの秋である。


 

「シルビア、その格好はエッチだと思う」


「あら、そうかしら、でもそれをいったらアールもとってもエッチよ」



 まだ太陽は上っていない、そんな薄暗い寮内での会話。



 俺はシルビアさんの早朝トレーニングに付き合うため早起きをしている、シルビアさんと俺は運動着に着替えていた。


 シルビアさんは、バンデル先生に嫉妬してアクションスターを目指すそうだ。俺が先生を持ち上げすぎたのか。


 だって好きなんだからしょうがない、B級アクションものはいつの時代も変わらない味わいがあるのだ。



 シルビアさんはこの間のキャンプでのユニソル戦で思うことがあったのか、近接戦闘についての課題を話すことがあった。



 切っ掛けは図書館で俺とシルビアさんでバンデル先生に質問したときだろう。



 バンデル先生は言った、あのアンデッドは自身の体術スキルをやどしていると。


 なるほど、言われてみればその通りだと思う。自分よりも遥かに強いアンデッドの召喚など不可能だ。できたとしてもその瞬間に殺されてしまうだろう。



 あれは、日ごろの訓練のたまものなのだ。


 魔法使いだからといって貧弱なままだと足手まといにしかならない。従軍はおろか長旅にも耐えられないお荷物になるだろう。



 バンデル先生は細マッチョだ。実際にその肉体はローブを着ているため分からないが、立ち姿のシルエットを見ればわかる。


 それにあの手、本を持っているときに何度か見たが間違いない。あれは格闘家の拳だ。



 俺はバンデル先生を見て、また目をキラキラさせていたのだろう。シルビアさんは俺を睨んだような気がしたが……。


 気にしない。シルビアさんのことは愛してる。でもそれはそれなのだ。


「アール! 私、決めました。近接戦闘を本格的に学びます! 付き合ってくれるわよね!」


 うん、俺たちは付き合ってるんだ。俺は上の空だったがそこは聞き間違えない。快く返事をした。



 それからAクラスの皆で作戦会議が行われた。


 基本的には近接戦闘は魔法使いの仕事ではない。


 後衛である魔法使いを守るのは前衛の仕事であるが、ユニソル相手では意味がなかった。バンデル先生の洗礼を受けた我々一年生の共通認識であった。




 ……でも、だからといってそれはない、下着と変わらない。まさか俺がこの世界で、彼女たち貴族の女子が自主的に開発した戦闘服、を否定する日がこようとは。


 だってブルマじゃん……。



 皆さんはブルマとはなにか知ってるだろうか、野菜星人の奥さんのことではない、女子用の体操服のことである。今は亡きロストアイテムだ。


 俺の学生時代もそんなもの既になかった。友達の姉ちゃんの世代にはかろうじで存在していたという代物である。


 その姉ちゃんはパンチラ対策だと言っていつも制服の下にはいていた。


 当時は女子のスカートは短ければ短いほど気合が入っているという価値観の世代だったのだ。



 俺たちの世代の男子はそれは何の対策にもなっていないと心の中で思ってたはずだ。それで充分なのだと……。遠き昔の青春の話である。




 だが今の俺の立場は違う、見るのはいいけど着るのは嫌だ。男子の目があるし。


 それにどこ開発だよ、絶対だまされてる。



 たしかにぴっちり身体にあう服は運動能力を高めるのは認める。



 しかし、遅かった。もう人数分が作られている。Aクラスの女子全員分である。


 ズボンでいいじゃないか? と言ったときはすでにもう完成品はできていた。素早いな、しかし誰がこんなことを思いついた。


「へい、ロボさんや、誰の尺金だ?」


(おや、マスター、このあいだのキャンプの時に女子が身軽に動くために必要な衣服があるといっていたではないですか)


 俺だった……。そうだ、俺も結構飲んでいた。周りの泥酔具合のひどさで薄まっていたが俺も饒舌に語っていたのだ。



 足を取られて、すってんころりんした女子たちはとても悔しがっていたので、俺は運動能力を鍛える必要があると言ってたっけ。


 それに動けるようになるには体操服を作ればいいじゃないと。この世界の衣服はざっくりというと中世風である。


 制服はまあ現代風と言えるがそれでも女子はスカートなのだ、動きずらいのは変わりない。


 日本では男女共に運動会など行われていた。おっと俺はどこまで喋ったのだったか。日本とは言っていない、俺の故郷と言ったはずだ。


 ギリギリセーフだ。後で少年に運動会の説明をしとかないと。


 とにかく体操服を着れば貴族平民、男女問わず平等に運動できると熱弁してしまったのだ。



 そういえばカール氏は俺に質問をしていた。


 それでも男と女は区別されるべきだと、男は女を守るのが貴族としてのうんぬんかんぬんだっけか。


 カールよ、お前がそれを言うか、まあいい、だから我が国にはズボンとブルマがある。これで男女の区別はできるだろうが! と、言ってしまったのだったか……。


 あ、俺が悪い、おれも酒に飲まれるやつだった。


 しかもカール氏の実家は服飾店も経営しており、気づいたときには試作品が目の前にあった。


 誰もが嫌がるかと思われたブルマだが、機能性から近接戦を真剣に考えるシルビアさんを含めたアスリート系女子には受けは良いようだった。



 しかし、俺は知ってるのだ、問題はこの先だろう、文明は愚かである。


 やがてこれが男子にとって、とてもエッチなものに価値観はシフトしていくのだ。



 結局は、俺を含めた反対派の女子達の意見で学院側に正式採用の申請はながれた。


 しかし、カール氏の服飾店には女性用体操服として今も店にならんでいる。結構売れるらしいのだ。男女問わず……深くは突っ込まない。


 それにたとえカール氏の独断だったとはいえ言い出しっぺは俺である。それなりにお金が動いたことだろう。


 それを販売中止にしてしまっては彼の家族や関連の服飾店に迷惑がかかる。



 そんなこんなで、今朝のジョギング限定であるが、シルビアさんは見事なブルマ姿を披露していたというわけである。


 俺も早朝なら人に見られないということでOKしたが。恥ずかしい事には変わりない。


 シルビアさんの履いているブルマと肌色の境界線に白いラインが見える。ほらそういうことだ。


「シルビア、はみパン」


「あら、でもアールだって。黒でごまかしてもバレバレよ」


 ち、わざわざ恥ずかしいのを我慢して、黒い下着を購入したがシルビアさんにはばれたか。


 ちょっと運動すると下着ははみ出る。だって布面積はほとんど変わらないのだから。


 だから、ブルマは廃れたのだ。だれが考えた、この変態共め。

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