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第22話 森での戦い


 そろそろ30分たっただろうか。


 何チームか森に入っていく。


 シルビアさんの班も先陣を切って入っていった。多分一番活躍するんだろうな、覇気がちがうのだ。


 ……うちのチームと比べて。


「ほら、強姦魔、行きますわよ」


「ひ、許してくれ……とは言わないけど、その呼び方だけは勘弁してくれよー」


 ローゼさんは相変わらずきつい、まあ気持ちはわかる。このキャンプでちょっとしたロマンスを夢見ていたところがあったからだ。


 暴力沙汰は勘弁してくれよ。まあアンネさんがいるから大丈夫だろう。しかしカール氏よお前は本当に別人になったな。誰だよお前。メッキが剥がれるとはよく言ったものだが。メッキに失礼なレベルだぞ。



 さて、我々前衛チームだが彼らは貴族ではない。平民だ。まあカール氏は今、貴族と同じ班にするとトラブルの原因になってしまうという配慮なんだろう。


 

 しかし、この二人、いかん、名前を憶えていない。どうしよう。


「アールさん、少しの間だけど前衛として頑張ろう、僕の名前はハンスでこっちがドルフ」


「よろしくアールさん」


 ふう、よかった、察してくれた。


「こちらこそよろしく、ハンスさんにドルフさん」


 この二人は前衛向きだと思った。魔法使いとはいえ前衛に向いていないかといえばそうでもないのだ。


 戦闘魔導士というハイブリッドなクラスもある。卒業生の中には魔法はそこそこで騎士になった人もいる。


 二人とも長めの杖を持っている。バトルスタッフというやつである。スケルトン相手には最適解の武器だろう。


 これは思ったよりバランスがいいパーティーかもしれない。



 森を進むと、さっそくいた。スケルトンが3体、あれ? 武器を持っている。槍? いや、あれは木の棒だ。現地調達はありなのか。


 騙された、バンデル先生のニヒルな笑いの正体はこれだったか。割と茶目っ気がある人だ。



「前衛、前にでるよ、ハンス、アールさん、敵の足を止めて後衛の魔法発動の時間を稼ぐよ」


 お、ドルフ君は真っ先に前に出た。彼は勇気があるな。すばらしい。


 いくら非力なスケルトンで、持っているのが木の棒であっても、長い武器というのはそれなりに脅威である。


 

 カチカチとお互いの得物がぶつかり合う音がする。子供のチャンバラのような攻防戦であるが、これがリアルの戦い方なのだ。


 体をひねって紙一重で攻撃をかわすとか。達人のすることだ。忘れてはいけない、俺たちは一年生なのである。


 後衛はどうだろうか、心配しかない……。頼むアンネさん、君だけが頼りだ。


「強姦魔、再び名前を呼んでもらいたいなら、ここで活躍して見せなさい伯爵家なのでしょ? そういえば廃嫡されたのでしたっけ?」


 だめだ、ローゼさんがまだ怖い。


 

「ローゼ、そろそろ真剣に、アールさんたちに迷惑がかかるわ」


 アンネさんはやはりこのパーティーのリーダーだ、しっかり者で、もうすぐお姉さんになるだけのことはある。

 

「さて、カールさん、あなたは以前、ターンアンデッドが使えると言っていましたね? それが出来れば最短なんですが……」


「…………できません、ごめんなさ――」


「そこで、私たちは三人で火の魔法を使いましょう。ファイヤーボールが最適ですね」


 すごい、アンネさんはカール氏が言い終わる前に作戦を組み立てている。しかしカール氏よメッキがぼろぼろだな。少し可哀そうに思えてきた。


 おっと、このスケルトンはよそ見している俺の方に攻撃を集中してきた。しかし三対三でお互い長物を持ってる、この均衡は簡単に崩せない。


 俺のスコップが一番短いが、俺の振動スコップはノックバック効果を付与しているため問題ない。



 しかし、この訓練、実によくできている。スケルトンは前衛と同じ人数で襲ってきている。増援などあってもいいものだが未だに三対三である。


 しかもスケルトンと侮ってはいけない。結構強いのだ。ハンス君は息が上がってきている。魔法使いの一撃が必須の状況を作っているように思える。


 そう、最適なのだ。魔法使いの一年生が魔法の重要性を身をもって理解するためのお膳立てが整っている。


 さすがはバンデル先生、なぜ彼が嫌われているのか理解できない。やはり男は外見なのか、でもバンデル先生もカッコいいと思うけどなぁ。


 ダークな感じが中二心をくすぐるのだが。そういえばご先祖様の件でいろいろあったのだったか。それこそバンデル先生には関係ないのに。



「アールさん、皆さま。準備が出来ましたわ。すこし離れてください」


 俺たちはスケルトンから距離をとると、後衛の魔法が発動した。


 お、カール氏もやるじゃないか、ちゃんとファイヤーボールは完成していた。


 3つの火の玉がそれぞれスケルトンに命中すると燃え上がり。跡形もなく消失していた。



 それから、数回スケルトンとの交戦は続いた。いずれもスケルトンは三体で一組となっており。


 俺たちの連携もうまくなっていった。途中から強めのスケルトンが混ざるようになり、後衛が攻撃されるなど結構苦戦する場面があった。



 午前の訓練が終わるころになると、ローゼさんはカール氏のことを強姦魔と言わなくなっていた。 



 やはりよくできた訓練だとおもった。



 お昼ご飯の時にアンネさんに聞いたのだが、後衛にスケルトンが向かったときカール氏はローゼさんをかばったそうだ。


 へえ、これは彼の評価を改めないといけないのか。しかし、分かってしまった。ローゼさんはツンデレだったのだ。


 しかも、ローゼさんとカール氏は幼馴染だという驚愕の事実が発覚する。そう聞くと、なんだかローゼさんがとても可愛く思えてきた。


 しかしカール氏よ、お前が最低な男だという事実は変わりない。酒を言い訳にするのは最低である。


 俺はこの先もローゼさんの味方になるだろう。君を許していない。


 が、まあ、これからだ、これから頑張んなさいね。

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