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第16話 夏休み

 夏休みである。


 この世界でも長期休暇はあるようだ。

 貴族の皆さんは結構な遠方に実家がある人も多く大体は帰省する。


 当然シルビアさんもである。しかしここで俺は彼女から重要なことを聞いた。


 シルビアさんはカール氏からデートに誘われたというのである。あのカール氏がである。


 16才の誕生日パーティーを主催したいということらしいのだが……。


 ちなみにこの国は女性は16才で成人なのである。


 しかしなんだ、正式に大人になったからっていきなりデートだと? 無反動砲の癖にそんな気を使える玉かよ、いや弾はあるのか無反動砲なだけに……。



 そんなことはどうでもいい、今まで、釣った魚に餌をやらない、を地でいくあいつが急にデートとはおかしい。



 大人のデートというやつをしたいのだろう。あれはそういうことをやらかしかねない危うさがある。



 俺にはわかる、その手の有頂天な男の妄想など手に取るようにわかるのだ。妄想の世界で済ませればいいものを、やつはそれを現実のものにしようとしている。


 厄介なことにそれだけの権力はあるのだ。……シルビアさんを守らないと。



 俺は最悪の状況を想定する。それこそ強姦でもされようものなら取り返しがつかない。

 いや、それでも公爵令嬢相手にそんなことするか? ……いや、やつはするだろう。馬鹿だから。


 俺は心配になったのでシルビアさん専属メイドとして随行することにした。


「ロボさんや、変身! ……いや変装だ、すまん今回は真面目に行こう、俺もこの状況を茶化すほどの余裕はない」


 髪色を黒にする。ミスリル繊維で出来ている俺の髪は魔法伝導率がよい。これで光をカットする魔法を施せば自然と黒髪になる。


 これを三つ編みにしツインテールを作る。


 次は身体を盛る。パッドではない、胸部に多めの冷却水を溜めれば自然とそうなる。


 身長は厚底ブーツでごまかす、長めのスカートのメイド服を着ればばれることは無い。仕上げは丸眼鏡だ。これで顔ばれすることは無いだろう。



 麻酔弾を詰め込んだマガジンを拳銃に差し込みスライドを引く。


 二連式散弾銃( ソードオフ)に二発のスラッグ弾を装填する。



 これらをスカートの中に隠す。鏡の前に立ち違和感がないか確認、おお、今の俺はまごうことなき戦闘メイドである。さあ狩りの時間だ。


「ロボさんや、準備はいいか?」


(はいマスター、今回のことは全面的に支持します。女の敵は抹殺あるのみです)


「いや、それはそれで、俺が言ったのはメイドの仕事をそつなくこなせるように常にアドバイスよろしくという意味だ」


(はあ、真面目に行くのではなかったのですか? やはり締まりがないですね。まあお任せください。久しぶりにメイドロボットとしての矜持をお見せしましょう)



 たのもしいかぎりだ。



 水辺のロマンチックな場所でキャンプか。ありだな、俺は周りのメイド、カール氏の部下たちに混ざりながら給仕の仕事をする。


 伯爵家のメイドは意外と理性的だ。この露骨な演出にドン引きしている娘もいた。なるほど、伯爵家自体はまともなのだ。



 しかしこのぼんくらは何を企んでいるのか。やはり無反動砲の名に恥じぬ行為を求めてくることだろう。



 そういう展開は両者の合意があってのことだ。そうでない場合は強姦である。許せない。シルビアさんは俺が守る。



 しかし今はメイドの仕事で大忙しだ。俺はなぜ、あのぼんくら相手にあくせく働かなくてはならない。



 それにここはキャンプ飯だろう、アウトドアでフルコースは馬鹿のすることだ。水が貴重なのに皿ばっか増やしてどうする。



 俺は皿洗いに来たんじゃないぞ。しかし、ロボさんの指示は的確である。汚れが残っているとうるさい。いや実に的確なアドバイスである。



 メイドの仕事になれてきたころ、シルビアさんは悲鳴をあげた。



 やつはシルビアさんのドレスを引き裂いていたのだ。どういう状況だ。そういえば酒を飲んでいたな。



 こいつは酒を飲んでやらかすタイプか、質が悪すぎだ。



 周りのメイドも青ざめておりこれは言い訳など無用だ。ここまで馬鹿だったのか。男は狼であるというのは間違いない。いやこれは狼に失礼なレベルだろう。


 恥ずかしながら日本でも酒がはいると、政治家の先生や大企業の社長さんなどの偉い人でもこうなるのは良く知っている。


 だが擁護などできない。悪即斬である。



 俺は、スカートから拳銃を取り出す。パンパンパン! と両足に三発うつ。もちろん麻酔弾である。


 おっと人間の足は二本だったか。


 三本目の足かと思って間違えて撃ってしまったじゃないか。もちろん非殺傷用の魔法を使った麻酔弾なので物理的なダメージはない。たぶんほとんどな。


 しかし、死ぬほど痛いだろう。


「おやおや、カールグスタフ君よろこびたまえよ、君のそれはある意味で無反動砲になってしまったようだ」


「ひ、ぐううああ、いたいぃい、おまええええ」


「その痛みはよくわかる。よーくわかるが。安心するがいい。打ち込んだのは麻酔弾だ。すぐに痛みも取れてしばらく眠りにつくだろう」


 彼は両手で股間を抑えている。よくわかるよ、小学生の時にキャッチボールでやらかしてしまった記憶に思いをはせる。だが今の俺にはそれは無いから知ったことではないのだ。


「……しかし飲み過ぎだよ、胃の中をすっきりするといい」


 俺はスカートからソードオフショットガンを取り出す。ん? なんだこいつ。この状況でもスカートに夢中か?


 やつの目線がスカートの中に向かうのを感じておぞけがはしった。


 ショットガンを折り、入っていたスラッグ弾を抜き取るとゴム弾に入れ替える。二発装填し、やつの腹部に向けて構える。


「さて、君はこれに懲りてお酒はやめるべきだ、今回の君は、酒の席での行動ですので、では許されない、俺基準ではこれくらいの罰はひつようだろう。」


 パァン、パァン! 二発の銃声が鳴り響いた。


「おげぇぇぇぇぇ」


 おお、グロイ、だがシルビアさんにしたことに比べれればこれくらいは当然だ。安心しろ回復魔法はかけてやるさ。


 彼は胃の中のすべては吐いて、泡をふいている。痛そうだな。そうだろう痛いに決まってる。いい気味だ。


「こんなものか、これ以上君を苦しめるのは俺としても気が引ける、この辺で終わりにしようか」


 おれは拳銃のセレクターをフルオートに変える。残り14発だ、安心するがいい、名探偵のおっちゃんは数百発の麻酔銃をくらっても平気なのだ。


 君に耐えられないわけがない。トリガーを引く、バババババババ……! すべて撃ち尽くすと彼は意識をうしなった。


 ことが終わると俺は。周りのメイドに指示を出す。あと俺はシルビアさんの友人だということで、言い逃れが出来ない状況にしておいた。


 その場を離れた。おそらくはこれで問題なく終わるだろう。流石にグスタフソン家としても言い逃れはできない、というかさせない。



 どうしてあんな子に育ってしまったのか。やはり優秀な人物の家系でも二代目はだめとかそういうことだろうか。



 いや、そんなことより。今はシルビアさんである。大事には至らなかったが、ひっかき傷など多少の怪我をしていたようだ、それに気を失っている。


 睡眠薬でも飲ましたのか。最悪だ。もう数発お見舞いしておくべきだったか。

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