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第15話 生徒会とは


 アールは学年3位の成績である。


 当然、先輩方には一目置かれている。特に生徒会だ、シルビアさんは1位だし公爵家なので当然生徒会に入ることとなった。


 だが俺は断る。俺には無理だ。シルビアさんにも一緒にやりましょうと言われたがこれだけは嫌なのだ。みんな騙されてるぞ。生徒会は雑用係だ。


 勘違いしているが学校の運営を任されるほどの権力を生徒が持てるわけないだろう。


 大体、学内での問題ごとを解決するのは先生の仕事だ。生徒どおしで争わせたらそれこそ火に油ではないか。


 それにこの学院はそんなに治安が悪いとも思えない。だったらなおさら面倒だ、関わらないに越したことはない。


 それにほら見たことか。シルビアさんはさっそく何やら書類を寮に持ち込んで確認しているではないか。


 サービス残業というのだそれは。どれどれ、少し見せてもらおう。


 作業中のシルビアさんを横から覗き込む。 



 ふむふむ。委員会活動についてか、なるほどこの学院もやはりそういうのがあるのか。


「あら? アールさん、あなたどこの委員会にも所属してないじゃない」


 ち、ばれたか。まあ、当たりまえだ。生徒会書記の前では隠しようがない。


「私は、そういうのはちょっと。苦手というか……」


 上目遣いをし訴える。最近俺は可愛いアピールができるようになった。まだシルビアさんにしか見せていないが。


「わがままはダメよ、生徒は何かしらの委員会に所属することになってるんだから」


 俺は口をとがらせながら。シルビアさんから書類を受け取る。どれどれ残り物には福があるのかなっと。



 地味なのがいい、地味で動かないやつがいい。あった。これしかない。


「シルビア、私これがいい」


「え、図書委員? ……まあアールさんには向いているかもしれないわね。わかったわ、登録しときましょう」


 シルビアさんはそういうと書類に俺の名前を書き込んでしまった。あれいいのか? そういうのはクラスで決めるんじゃ。シルビアさんは俺にウインクした。


 可愛い、なるほど。特別待遇してくれたと言う事か。俺は満面の笑みで彼女に答えた。

 

 

 次の日、授業が終わると俺は図書館に向かった。


「おや、君は、Aクラスの……アール嬢だったかな」


 お、そういうあなたはジャンクロード・バンデル先生だ。俺が唯一、フルネームで覚えてる先生。


 魔法学科と魔法材料学科兼任の先生である。 


「ヴァンダ……バンデル先生、こんにちは、私、図書委員になりましたのでこちらに来たのですが」


「図書委員……、ふむ、そんなのがこの学院にあったのだったな。数年ぶりに思い出したよ」


 なに、誰もいないのか。ち、しまったハズレ委員だったのか。ならなくてもいいなら最初に言ってよシルビアさん。


 あのウインクの可愛さにごまかされてしまった。おのれシルビアさん謀ったな。


 いや、まあいい、俺としては目的である魔力スポットを探すのに図書委員は都合がいい。



 俺はバンデル先生に図書委員の仕事を教えてもらった。基本的にはめったにない貸し出しの受付と。


 蔵書の整理である。しかし今時の生徒は本を読まないらしい。嘘だろ、魔法って基本は本じゃないのか。


 どうやら詠唱魔法の発達で、生徒の大半は本を読む必要がないそうだ。図書館を使うのは先生方と、ごく一部の生徒に限られる。


 なるほど若者の本離れか。時代は進んでいるようだ。だがこれも好都合。接客が少ないということは調べものがしやすいと言うことだ。


 しかも、数年間、図書委員が不在だったということは。基本的に何もしなくてもいいと言う意味では。こんな楽な仕事なぜ誰もやらないのだろうか。


 少し離れた席で本を読んでる先生を見ながら、不思議に思った。あとでシルビアさんに聞いておこうか。


 そうしてとりあえずは図書館を一通り周りながら夕方まで時間を過ごし寮へ帰った。本当に誰も来なかったのには驚いた。



 寮に帰るとさっそくシルビアさんに聞いた。きっと俺は怒っているだろうと思っていたのかシルビアさんは少しだけおびえているような感じがした。


 太ももに視線を送っている。流石に銃で女性を脅すのわけがない。いやシルビアさん、お顔が真っ赤だ、彼女はまだ疑ってるのか? これはエッチな道具ではないぞ。



 いや、今は冷静に、怒ってないから。結界オーライだシルビアさん。ということでいろいろ事情を聞くことにした。


 図書委員の人気がないのは若者の本離れ以外に、バンデル先生が図書館の責任者だという理由もあるらしい。


 どうやら、彼はネクロマンサーを輩出していた家系の末裔らしく。今でも怖がられているそうだ。もちろんそれは偏見であるのだが。


 あと、彼自身も黒い髪で怖い顔なので自然と生徒たちから恐れられているのだという。


 え、なんで? ネクロマンサーってめっちゃカッコいいじゃん。あの風貌もハリ〇タのスネ〇プ先生みたいでとてもイケオジじゃないか。



 俺はバンデル先生みたいなのが好きだというと。


 シルビアさんはドン引きしていた。


 ちぇ、どうせあれだろう、君ら女子はキラキラ王子様系が好きなんだろう。

 

 いぶし銀の良さを理解するには人生経験が足りないのだよ。謎のマウントを取り、俺は眠りについた。




 入学して数週間はたっただろうか。



 歴史の授業は勇者様神話を終えて、その子孫である貴族たちの活躍に移っていた。俺の架空の息子たちの時代である。


 当然、この学校は魔法学院なので俺の魔法も成長している。詠唱魔法を二つか三つは使えるようになった。そういう設定にしている。


 俺はガリ勉タイプで実技は苦手だというキャラ付けである。それに呪文を喋るのはやはり照れがあるのだ。



 逆に魔法材料学に関しては学年一位というポジションで学年三位の面目を保つことにしている。



 まあ単純に魔法材料が好きだからというのもあるのでここだけは自分を隠さずに思いっきり勉強することにした。


 それに卒業後は正式に世界の魔法材料を探し、研究するという動機を世間一般で裏付けすることが出来るし、国の重要機密にも触れることもできるだろう。



 

 図書委員は思ったよりも俺にとって理にかなっている。基本一人なのだ。外に出られないのが嫌な生徒には苦痛だろうが、俺には何も問題はない。


 しかも、本が読み放題だ。それに読書中はロボさんと会話をしても不自然ではない。


 多少、不自然だが声をだして本を読む癖があると周知しておけば、ちょっと変な子であるというだけで、常識の範囲内である。


 常識の範囲内だ。なにも問題ない。



 今日は魔力回収スポットの場所を調査していた。


「なるほど、ドラゴンの谷という場所が怪しいか、たしかこの世界にはドラゴンはいなんだよな?」


(はい、伝説上の生き物です。しかし伝説があるということは何らかの形で存在するかもしれません)


 たしかに、俺だって伝説上の生き物である。現実の勇者が俺だと知ったらがっかりされてしまうだろうな。


 だから、もしドラゴンを見つけてもがっかりしないであげよう。君も伝説疲れしてないかとか語り合いたいものだ。


 俺は尻尾が燃えているトカゲみたいな可愛らしいドラゴンを想像しながらニヤニヤしていると。


「おや、アール嬢、今日も何か調べものかな?」


「……バンデル先生、こんにちは」


 バンデル先生は俺の持っている本の表紙を見ると、普段のこわばった表情を緩め、やや声の調子があがった。


「おや、ドラゴンの谷か、懐かしいな僕が学生の頃は夢中になって読んだよ。いつかその場所にいきたいと思って良く調べたものだ」


 どうやら先生の学生の頃の夢はドラゴンを見つけることだったそうだ。これは好都合だ。せっかくだから彼の知ってる情報を聞いておこう。


 先生曰く、候補地は3つほどあって。どれも山奥にある谷とのことだ。一つは俺たちの故郷、魔王城なのでそれは無し。


 残りの候補は2つか、馬車をつかっても数か月かかるんじゃないだろうか。年単位での活動が必要になる。これは卒業後になるかな。


「君はすっかりドラゴンの虜だね、卒業したら冒険者になる道もあるかもだ。でもそうだな、それには魔法学の成績も少しは上げるといいかな。

 まあ君は材料学の成績は非常に良い、錬金術師としての道もあるが、今から将来の道を狭めることもないからな」


 さすがはバンデル先生、魔法学、材料学兼任のエキスパートだ。イケメンで、しかもドラゴン好きというロマンあるれる人だ。

いい先生にであえてよかった。


 日が暮れ、図書委員の仕事を終える、寮に向かう道中にて。


「さてロボさんや、当面はこの学院でコネづくりだ。バンデル先生の元にいれば色んな情報が入ってくるだろう、それに楽しくなってきた」


(それはよいですね。しかし、お友達ももう少し作られたらよろしいかと思いますよ? 女子達の反応があまりよろしくないかと……)


「それもそうだが、正直、友達はシルビアさんだけでもいいような気もしないではない。いや、そうだなここで自分にブレーキを駆けるのもよくないか」


(はい、せっかくの学校生活ですのでいろいろ試してみるといいと思いますよ? 引きこもりがなおるかもですし)


 引きこもり、君もそういう認識なのね……おっと、それそろ寮に着く。


 ロボさんとの会話は声に出さないと成立しないから、基本は人前で喋ることは控えている。


 念話のように無言でも会話は出来るには出来るのだが。それなりに魔力を使用するし、思ったことが伝わりすぎるのも良くない。


 家族間でもそれなりの距離感は必要なのだ。

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