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第14話 2位ではダメでした


 入学試験2位の彼はさっそく登場した、まあ同じクラスだから当たり前なのだが。この国の伯爵家の長男でカール・グスタフソンという。


 この名前にピンきたので一発で覚えた。カールグスタフ無反動砲である。ミリオタとしては常識といえるだろう。



 このカール氏、実はシルビアさんの婚約者なのだが。これが嫌な奴である。やはり2位ではダメだったか。優しくしてやろうという気分が失せてしまった。


 

 グスタフソン家は新興の貴族であり。その歴史は100年にも満たないそうだ。しかし100年で伯爵とはすごいものである。


 公爵家のお嬢様を嫁に迎えるまでに地位を固めるとはやり手といえるだろう。あくまで彼のご両親はだが。



 しかし、このカール氏は本当に学年2位なのか? 言動が馬鹿っぽい。不正をしたんじゃないだろうな。俺は不正をしたからわかるのだ。


 お前の地頭では無理だと。しかしどうしたものか、俺はなかなか微妙な立ち位置に立ってしまったか、3位でも波風が立ちそうだと不安に思えてきた。



 それだけならまだしもシルビアさんに対して態度は横柄である。婚約者であるためなのか。こいつは釣った魚に餌をやらないを地でいく最低な男だ。


 しかも白昼堂々と他の女性をはべらせている。


 

 むう、昔から陽キャは苦手だ。しかも俺に対してもちょっかいをだしてくるから質が悪い。貴様はロリコンか。


 いやこの身体を作ったのは俺だ、ブーメランが帰ってくる。そんなことはどうでもいい、それにやつには見境がない、美しければどうでもいいと言った感じだ。



 最初は歴史の授業で摩訶不思議な俺の英雄伝説に悶絶してた時に、心配して声をかけてくれた程度だったが。

 もう彼氏気取りである。ありがとうと言っただけで俺に気があるとでも思ったのだろう。まったく勘違い男子はまだ理解できるが。権力が合わさると質が悪い。


 次のターゲットは俺だろう。目線がいやらしいのだ。しかも今はその婚約者のシルビアさんと食事中であるにも関わらず平気で声をかけてきたのだ。


「やあ、アール嬢、僕もご一緒していいかな」


 そう聞いてはいたがもう席に座っている。断られるとは思っていないのだろう。まったく貴族のおぼっちゃまといったところか。


 しかもあろうことか俺の隣の席に座ったのだった。対面にはシルビアさんがいるというのに。


 シルビアさんは何も言わないので俺がどうこういうことはできない。というか、俺にこの何とも言えない冷戦状態をどうにかできるほど人生経験はない。


 なんだ俺は100年以上生きてきたが、初めての経験というのはある物だと俯瞰して物事を見ることにした。第三者視点になることで俺の精神衛生は保たれるのだ。現実逃避ともいえるが……。



 しかし、カール氏よ、自己紹介が長い。やれ伯爵家は100年で今の地位を気付いたとか。よかったなご先祖様に感謝だな。


 しかもその話だと君は俺の子孫ということになるな。やれやれ勇者はどれだけ子供を作ったのやら。


 正解を言おうか? ゼロだ。一人もいない。つまりお前の話は全部意味がないのだ。いや、それでもシルビアさんは立派なので彼女が俺の子孫だとしたら嬉しい。


 要は今を生きる人の価値で先祖も評価されるということだろうか。俺はシルビアさんの人となりを短い付き合いだが知っている。



 しかし、カール氏よ、お前の話は本当に長い。俺はドラゴンなど知らないぞ。しかも随分キザなセリフを君の口でアテレコしているじゃないか。


 俺はそんなキザなセリフ一言もいっていない、やめてくれ……。


 ぷるぷると震えているのをシルビアさんは察したのか会話に入ってくる。


「カールさん、余り一方的に喋るのはどうかと思いますわ。アールさんが困ってらっしゃいます」


「おや、これは失敬だったな。僕としたことが恥ずかしい限りだ」


 その通りだ。とても饒舌で恥ずかしかったぞ? 俺のオタク特有の早口と同じくらい恥ずかしいご先祖自慢だった。しかも架空の俺をほめ過ぎだ。


 しかしカールグスタフよ、名前に恥じず、手あたり次第に撃ち過ぎだ。何人、女をはべらせるのやら。くそ、うらやまけしからんとはこのことだ。


 シルビアさんという者がありながらこれではあんまりだ。


 一通り喋りとおしたのかご満悦で席を立つカール氏を見ながら、俺はシルビアさんに声をかけた。


「シルビア……平気?」


 俺はこういう時なんていったらいいかわからない。しかし気持ちは察することはできる。


「ええ、ありがとう。それに親が決めた相手だから、どうしようもないのよ。……アールには謝らないといけないわね。あれでも私の夫になる人なのよ」


 さすが貴族だ。将来、旦那になる人の不祥事をわがことのようにして俺に謝罪している。彼女は幸せになれるのだろうか。



 でも、ここで俺が、君の気持はどうなんだ! などと無責任なことは言えない。熱血主人公属性は俺にはない。だが友達でいることはできる。


 友達として彼女を心配するくらいはしてもいいだろう。


 しかしカール氏はそうとうヤバいやつだ。


 シルビアさんが言うにはかなり甘やかされて育ったのだそうだ。


 シルビアさんとカール氏の両親は仲が良いそうで、甘えた息子には公爵令嬢の嫁を貰うことでしゃきっとしてほしいとのことだ。


 しかしそれは無理じゃないかなと思う。もはや手遅れのレベルだと思うぞ。俺は決意した。シルビアさんとはずっと友達でいようと思う。


 いざとなったら。そうだな、いざとなった場合、俺はどこまで彼女の人生に介入すべきなのか。真剣に考えるべきだろう。


 シルビアさんには幸せになってほしい。俺の正直な気持ちだ。

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