第101話 魔法学院襲撃計画
ドラゴンヘッド盗賊団、団長モーガン。
彼はツインズ共和国内のとある酒場にて部下たちと合流する。
ここは冒険者などの腕に自信のある者たちが集まる大衆向けの酒場で、壁には討伐任務の依頼書が張り付けられている。
任務自体は冒険者ギルドで受注をするが、清潔感のギルドに頻繁に通うのが苦手な昔気質の冒険者や、すねに傷のある者たちにとっては好都合である。
いつもなら騒がしい店内だが、今日は客はまばらだ、夏祭りのせいか、空いているテーブルの方が多い。
モーガンは酒場の隅のテーブルに座っている大男と女を見つけるとそのテーブルに近づく。
「おう、お前ら、景気はどうだい」
大男はモーガンに気付くと、返事を返す。
「へへ、団長、ぼちぼちと言いてえところだが、最近仕事がめっきり減ってね、ここらででけぇことやりてぇ気分でさあ」
「ところで、あの貴族さんはどうだい? 何かわかったか?」
「ああ、あの坊っちゃんはまるで隙だらけでさぁ。いつでもやれるが、今回の案件は目立つのはだめなんだろ? でなけりゃ100回は首がとんでらぁ」
男は親指を立てて自分の首を斬る動作をしておどけて見せた。
それを見た女がため息をつきながら言った。
「馬鹿ね、獲物の首は一つだけよ、それに、彼は大物だから、行方不明という体にしないとでしょ?」
「というわけだ、で、団長、司教様はなんと?」
「おおむね順調だと、あとは時間の問題とのことらしい。数か月、議会を混乱させて時間を稼げとのこと。少し手荒にしても構わんそうだ。つまり分かるな?」
「へへ、そりゃあいい。あの貴族様、いつも美人の助手を引き連れてたからムカついてたんだ。女の目の前で殺してやるのはさぞ気分がいいだろうな」
「ふ、女の方はお前の好きにすればいいさ」
「あら、私にもご褒美が欲しいわ、貴族様をやるのはアタシに任せて頂戴な」
「お前の悪い癖だな。なぶるのは構わんが、ほどほどにな」
その時、一人の客がテーブルに近づいてきた。
一瞬盗賊団たちは警戒したが。
すぐにそれが知り合いだと気づくと服に隠していた武器から手を離した。
「まったく、気配を消して近づくのは勘弁してほしいぜ、バンデルの旦那。ところで景気はどうですかい?」
ユリウス・バンデルは深く被ったフードを脱ぐと席に座った。
「まあまあと言ったところか。だがそうだな。面白い発見があった。長年の恨みなど忘れてしまうくらいのな」
「ほほう、それは景気のいい話じゃないですかい。で、旦那は学院への襲撃はするんで?」
「予定が変ったよ。正確には標的が変ったと言うべきか。まあ、対象が教師から生徒へ変ったくらいか。ふふ、あの小娘は今、街にいるようだ。この街の祭りとやらを手伝っているようでな」
普段は感情を見せないユリウスに対してモーガンは興味を持ったのか、提案をする。
「小娘ねぇ、ユリウスの旦那、殺しちまうんですかい? 美人だったら生かしておいてほしいですがねぇ」
「ふん、それは構わんが、いや、やめておいた方が身のためだな。あの娘は選ばれた血の継承者だ、成長しだいで我をも超える才能がある。生かしておいたらお前がアンデッドになって支配されてしまうかもしれんぞ?」
「へぇ、それはおっかねぇ、じゃあ本気で殺るんですね旦那」
「ああ、街中で、堂々と、あれだけの観衆がいるなら。ネクロマンサー同士の戦いに花を咲かせることができよう。死の軍団の奪い合いになるだろうからお前たちは近づかないことだ、どちらが多く殺して支配したかで勝敗は決しよう」
「おぞましいこって、じゃあ、あっしらドラゴンヘッドはその隙に学院に襲撃し。例の貴族さんを暗殺する。それでよいですかい?」
「ああ、そちらは好きに暴れて構わん、どちらにせよ死の祭りの前には些末なことだ」
「決まりだな。おい野郎ども、伏せておいた子分にも連絡だ。ドラゴンヘッド盗賊団復活ののろしに相応しく、男は殺して女は生け捕りだ、好きなだけ稼げってな!」




