プラシーボ
なんか最近、胸が苦しい。
きゅうー、となって、涙目になる。
びょーいん、行こうか?
心筋梗塞の前触れかもしれんし。
「ミサキちゃん、どうかしたのかい?」
前田くん。
「あー」
胸がきゅー!
「胸が苦しいの。病院に行ってくる」
「えっと、それって、ほんとに病気かな?」
「だよ。じゃなきゃこんなに苦しいわけないじゃない」
「ていうか、原因アレだろ?」
「?。病院に行ってくる」
精神科医の女医さん。美人の女医さん。
心なしか、彼女も瞳を潤ませて、胸を押さえ気味。
「あー、なるほどね。その症状によく効く薬出しとくから。私も飲んでる薬」
さすが、頼もしい。
「前田くーん、薬もらったら良くなったよー」
「え」
「全然苦しくない」
「本当かよ?プラシーボか!?」
「なにそれ」
今度胸がキューってなった時は、俺が飴玉で治してやる、と前田くんは言った。
飴玉で治るの?どーゆーこと!?
きゅー。
「く、苦しい」
「ほれ、よく効く飴玉」
いちごミルク。
美味しい。
はっと我にかえると胸の痛みがなくなっていた。
ところで、プラシーボってなに?