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1-01 プロローグ 出逢い
『生まれこなければよかったのに』
俺はこの世界が大嫌いだった。
この世界の奴らが俺に向けるのは嫌悪、侮蔑、恐怖のいずれか。
すり寄ってくる奴らは俺を利用しようと考えている者だけ。
必死に努力しようが、笑顔を振り撒こうが、誰も俺を認めてはくれやしない。
そんな世界を好きになれという方が無茶な話。
今の今まで縋り付く様に生きてきたのは、俺を蔑んだあいつらより、先に死ぬのが気に食わなかった。
ただの意地だったと思う。
だからあいつに完膚なきほどに叩きのめされて、あのごみ溜めから連れ出された時は。
もうどうとでもなれ。
簡単に生を諦めたほどだ。
なのに彼女と出会ってから運命は変わった。
きっとこの時の出来事は。
他人からしたらたったそんなことだと笑うだろうし。
彼女からしても取るに足りない些細なことだっただろう。
けど俺にとっては。
初めて自分の存在を認められた気がしたんだ。