プロローグ
素人でございます。
物語の構想自体は結構練っていたのですが、悲しい事に文章構成能力が無く、諦めては失踪を2・3回繰り返しました。
今回は失踪せず最後まで書き切りたいです。
変わった『異世界小説』ですがよろしくお願いします。
文章を忘れてしまった所は黒塗りにしていますのでご了承ください。
追記(私の友人が、結構謎解きや暗号が好きでして、伏線と言うほどではありませんが色々謎を後編集で隠してあるそうなので気になる方は探してみてください。ネット民の方は分かりやすいかもしれませんだそうです)
「今日は少し寒いな…」
そう言って私は首をすくませて、箒を動かす手を止める。
今年は春一番が吹くのが遅い気がするな…
まあ、まだ二月の後半であるし、朝早くだから寒いのは当然か…
「『少し爺臭い哀愁を漂わせながら『西野空我』は今日も市役所の駐車場で落ち葉を掃いているのであった…』」
後ろにある電気自動車の充電ステーションの方から、突然聞きなれた声の謎のナレーションが聞こえてきた。
後輩の『新田香澄』の声である。
スッと姿を見せた新田に目線を下げて挨拶をする。
「おはよう新田。というかさっきの意味不明なナレーションは何だ…」
「おはようございます先輩。いやぁ、先輩が何となく哀愁を漂わせていたので、それっぽいナレーションを付けてみたんですが。先輩も何か私のナレーションをしてみて下さいよ!」
新田がグッドマークを作りながら言ってきた。
それっぽいナレーションってなんなんだか…
まあ、少し話に乗ってやるか…
新田のナレーションね…
「『西野空我の前にいる女性は『新田香澄』。見た目的には女性というよりかは『女子』と言った方が合っているだろう』と、こんな感じか?」
「へいへい、乗ってきましたね『西野空我は身長175と大柄な男性であるのに対し、新田香澄は140と30cm定規があっても届かない身長差がある。だが彼より新田香澄の方が3日だけ年上なのだ』はい!続けて下さい」
「いや、もう続けないぞ、面倒くさい…」
「ええー!楽しくなってきたところだったのにー」
新田が腕をブンブンと振りながら文句を垂れる。
新田のナレーションをしていながら落ち葉を掃いているとはいえ、私も暇ではないのだ…
軽トラから降ろした三つ手ちりとりを使って、掃き集めた落ち葉を軽トラックの荷台に乗せる。
その間に新田は躊躇いもなく車の助手席に乗った。
私は荷台の落ち葉にシートを被せて、運転席に乗り込み、そしていつものように車を発進させる。
「『西野空我はコートを着ているにもかかわらず軽やかな運転で目的地まで向かっている。因みに新田香澄は色違いのお揃いのコートを着ているが身長が小さすぎて丈が合っていない。着ているというよりかは着られていると言った方が正しいだろう』」
…新田がまた変なナレーションを始めた。
確かに私のコートは二つ買うと5000円引きというセール品でブラウンとグレーのコートの二つを買ったのだが、着てみた時にグレーのコートが思っていた以上に似合っていなかったので、買った一年後に入庁祝いとして新田にあげたのだ。
新田はリメイク上手なので自分の丈にちょうどいい感じに直すかと思っていたのだが、見た目のリメイクはフードを付けただけで終わっていた。
『身の丈に合わないコートの方が自分の大きさを把握するのにいいんですよ』と新田は語っていた。
「『西野空我は竹林の落ち葉収集場へ車を走らせる。隣人の遺伝さんから【お前さんなら信用できる】と遺言書の管理を任され、【孫が来るまで山を自由に使っていいから、山の敷地の管理を任せる】と、依頼断れない人間の西野空我は、半ば強制的に敷地の管理を任されたのだ』」
「管理自体、嫌なことではないし、有効活用させてもらっているから『強制的』というのは失礼だぞ…」
「それもそうですね。と言うか話が少し逸れますが、私、遺伝爺のお孫さん見た事無いんですよね」
「私も見たことはないが、前に聞いた話から考えると確か今年大学を卒業する歳だな」
2年前に成人式でこちらに来ていたと聞いたので、四年制大学ならば、今年は大学卒業か、大学院に行くはずだ。
新田は軽くため息を吐いて話し始める。
「そんなにしっかりした歳なら遺言書をお孫さんに渡せば良かったのに…」
「変に遺産問題とか気にさせて、大学生活を邪魔したくなかったらしい」
「なーるほど。と言うか遺伝爺まだピンピンしているんだから自分で管理すればいいと思うんですけどね」
さっきからちょっと縁起でもない風に話が進んでいたがしているが、お爺さんはまだ生きている。
遺伝さんは畑仕事をしつつ発明家としてセカンドライフを過ごしているらしく、かなりの資産があるようだ。
私は新田が問い掛けと言う風に話しかけてきた事に答える。
「『万が一』だそうだ。あと体に負担がかかってしまって山の管理ができていないから若い奴に頼みたいと言うことだ」
「ぬーん」
私が『なんだその返事は…』と言おうとした時、丁度落ち葉収集場に着いた。
厳密には落ち葉収集場の駐車場だが。
………?
何故かさっきから心の中で一回状況を整理してから理解する状態が続いているのは何なんだ?
今の心境もそうだった…
まあ別に他人に心を読まれる事なんて無いからいいか…
新田がグローブボックスからクシャクシャになっているゴミ袋を取り出した。
私達は車から降りて落ち葉を袋に入れ始める。
私としては袋が駄目になるから軽トラで直接落ち葉収集場に行きたいのだが、新田が『私が全部持っていくので袋詰して下さい』と言ったので、ここで袋でまとめて持って行くことにしたのだ。
筋トレの一環なのだとか…
「今日は3袋ですか。いつもどこからこんなに集めてくるのか不思議に思いますよ…まぁさっさと捨ててきちゃいますね」
「任せたぞ」
新田は草を刈ってできた山道を走って行った。
あの調子なら10分も掛からず戻ってくるだろう。
この歳になったらもう筋肉付けなくても身長は伸びないと思うんだけどな…
私は軽トラに乗り込み朝刊を読み始める。
大見出しと本の広告をじっくり読めば大体10分だ。
と言っても最近の見出しは医療系のニュースが多くてよくわからないんだよな…
あの事件に進展はなしか…
本の方は…あっ、あの人新刊出すのか…
けどサスペンスか…あの人はミステリーの方が良いんだよな…
独り言を言いながら新聞を読んでいて気付いた。
新田が戻ってくるのが遅い…
時計を見ると既に新田が行ってから20分も経っている。
しょうがない探しに行くか…
新田の足なら片道3分だが私は6分掛かってしまう。
朝早く来ているから仕事の時間には間に合うのだが…
…!?…ちょっと待て…
この落ち葉採集場は地面に私の背丈より大きな木の板を四つ打ちつけて角を補強した、上から落ち葉を投入する大きな箱みたいなものなのだ。
…がそれの角に思いっ切り小型トラックが衝突しているのだ。
当然板はバキバキに割れているのだが、落ち葉はそこまで溢れていない…?
そんなことを考えていた私は我に返り、慌てて衝突したトラックに近づいた。
運転手は無事なのか!?
運転席を覗くが誰もいない…
弁償云々はともかく、遺伝さんにも説明しなければならないから運転手を見つけたいのだが…
いないものはどうしようもない。
トラックのナンバーは…ここの地区と同じだな…
取り敢えず新田を探そう…
このトラック、新田の仕業って訳ではないよな…
あいつ免許取れないし…
…ビックリした!
私は収集場の曲がり角の人影に腰を抜かしかけた。
大きさ的に新田かと思ったが、かなり精巧に作られた落ち葉の人形だった。
この人形のモデルは新田だろう。
背の高さとコートの種類が何よりの証拠だ。
私は顎に手を当てて探偵のように考える。
新田のイタズラか…?
今日は何も持ってきていないから昨日仕掛けたのか…?
しかし昨日は雨でまあまあ風が強かったから流石にこの人形は倒れている筈だろう。
…もしかしてこの衝突しているトラックがこれを運んで来たのか?
しかしこの人形、落ち葉で作られてるにしてはかなり精巧だ…
まるで新田をそのまま人形にしたかの様な…
私が新田の様な人形の手に触れようとした瞬間、突然目の前が真っ暗になった。
物理的に…
暗号解読法① 『モールス信号』
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